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Photo byrikiboh1575

【創作のようなもの】小松菜とチューリップ

    僕は小松菜。
    生まれたときから小松菜。
    ビタミン、鉄分、カルシウムが豊富な野菜だ。
    あまり花は知られていないけど、黄色くて可憐な花なんだ。

    だけど僕の周りはみんな、チューリップが良いって言う。
    家族にも友だちにも、チューリップであることを求められる。
    色とりどりのきれいな花。
    小さい子どもでも知っている。
    さいた~さいた~、なんて歌だってある。

    親は僕にチューリップになれ、チューリップであれって言う。
    だから僕は頑張った。
    怒られないように、ガッカリされないように。
    すごくすごく頑張った。

    頑張った僕は、チューリップみたいになった。
    親は喜んで自慢した。
    チューリップみたいになった僕の周りに、たくさんの蝶々が集まった。
    きれいなチューリップねって、みんなが言う。

    小松菜の僕には見向きもしなかったのに。
    チューリップみたいになったら、集まってきた蝶々たち。
    だから僕は、自分が小松菜だって言えなくなった。
    ひたすらチューリップであろうとした。

    それはとっても苦しかった。

    いつしか僕は、自分がチューリップだと思い込んでいた。
    小松菜の気持ちを押し込めた。
    なんだか苦しいのに、自分の気持ちが分からなくなった。
    みんな僕を褒めてくれるのに、なんだかいつも苦しい。

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    歩いていたときに見かけたチューリップ。上から。

    君は小松菜なのに、どうしてチューリップのふりをしているの?
    ある日、チューリップが僕に話しかけてきた。
    生まれたときからチューリップの君にはわからない。
    僕はチューリップじゃないといけなかったんだ。

    そんなの、おかしいよ。
    チューリップにだって色々いるんだ。
    それに、小松菜は栄養たっぷりで立派な野菜じゃないか。
    それを隠すなんて勿体ない。

    僕は驚いた。
    今まで僕にそんなことを言ってくれた人はいなかった。
    チューリップじゃなければ、怒られたりガッカリされたり。
    見向きもされなかったのに。

    そんなの、おかしいよ。
    小松菜には小松菜の、チューリップにはチューリップの良さがある。
    君をチューリップだと思って寄ってきた奴らは、本当の君を見ていない。
    奴らの都合が良い君を好んでる。

    君は必死でチューリップのふりをしているけど。
    それじゃあ、小松菜の君が良いって思ってくれる人に見つけてもらえない。
    小松菜にチューリップを求める人が、そんなに大事?
    ボクはチューリップのふりをする君より、小松菜の君の方が素敵だと思うけど。

    ボクはチューリップだから、小松菜にはなれない。
    バラが好きだと言う人のために、バラになろうとも思わない。
    チューリップが好きだって言ってくれる人がいれば、それでいいんだ。
    君は小松菜の中で一番の小松菜を目指せばいいんだよ。

    もちろん、一番じゃなくたって良いんだけどね。

    小松菜としての僕を見てくれたチューリップと、僕は友だちになった。
    チューリップは小松菜の僕の良い所を褒めてくれた。
    僕自身を認めてもらえることが、こんなに嬉しいなんて。
    チューリップのふりをしていたら気づかなかった。

    僕は小松菜。
    生まれたときから小松菜。
    ビタミン、鉄分、カルシウムが豊富な野菜だ。
    あまり花は知られていないけど、黄色くて可憐な花なんだ。


    こんにちは。羽根宮です。
    心を病んでいたときに、心理学の本などをたくさん読んでいた時期がありました。
    チューリップが絶対である家に生まれ、チューリップであろうとしていました。

    もがいていたときに読んで、気持ちが楽になったのが加藤諦三さんの本でした。


    小松菜には小松菜の良さがある。
    小松菜を良いと言ってくれる人もいるんです。

    あ、小松菜とチューリップは本の中にちょこっと出てきた比喩です。
    小松菜を下げるつもりも、チューリップを特別視するつもりもありません。
    小松菜のおひたし、好きです。

    読んで下さってありがとうございました。
    羽根宮でした。

     
     
    本が好き。ぬりえ好き。手芸好き。インドア派。 昼夜逆転傾向。短歌。日記や雑文。創作文。 過酷な環境で働いていた結果メンタルダウン。 親の価値観の中で生きてきた。おふとんマン13号サラブレッド。 Amazonのアソシエイトとして、羽根宮糸夜は適格販売により収入を得ています。

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