
東京二十四節気日記#45 処暑 歌集と教科書、あとは雨
✈︎処暑→白露
8月24日 処暑
気温34度。湿度が高い。仕事場のチームメイトと「今年の夏は涼しいなって思ってたのに」「もう秋だって思ってたのに!」とおしゃべり。
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ロン・ミュエクの作品から受けたものをぐるりぐるりずっと考えている。こうやってひとつの作品が観た人の中に入って、その人のものになっていくのだなあ。良いARTとの出会いは、頭の良い人とお話しする体験ととてもよく似ている。
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傘をさす一瞬ひとはうつむいて雪にあかるき街へ出でゆく
おまへもおまへも皆殺してやると思ふとき鳥居のやうな夕暮れが来る
わたくしのハイパー名歌がけなされてあなたの駄歌がほめられて、夏
という短歌を目にしてよくわからない衝撃を受ける。藪内亮輔さんという歌人で本職は高校の数学の先生?2018年の作品とのこと。
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藪内亮輔の短歌集「海蛇と珊瑚」を買いに行く。冒頭の歌を立ち読みして本を閉じ、レジに向かう。眼の奥に良い映画のはじまりのような風景が広がる。
その足で洋書コーナーへ。ロン・ミュエク展のパリ/ミラノ版の図録を探す。途中、MANGAエリアで足がとまる。まず目に入ったのがNARUTO。続いてチ。ー地球の連動についてー、ルックバック、そしてJOJOも。あの作品もこの作品も、ああ日本の漫画はこんなにも翻訳され、違う文化圏で読まれているんだなあ。私と同じようにこれらの作品に育まれている人が世界にはいるのだなあ。
考えがあってロン・ミュエク展のパリ/ミラノ版の図録を探していたが、猛烈に「否、そういうことではない」と思い至り、図録は買わずに書店を出る。
外は雨が降っている。
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藪内亮輔の短歌集「海蛇と珊瑚」を読む。「花と雨」と題された冒頭50首は、近しい人が亡くなる一年あまりを詠んだ連歌。50首読んで顔をあげ、小さく息を吐いてまた繰り返し歌に目をおとす。哀しさと苛立ちと、その時間の折々に差し込まれる美しさと。三十一文字×50首、たったこれだけの言葉なのに一編の映画のよう。苛烈さと繊細さのあわいが生む作品の色気にくらっとした。
そして私はこういうことを、作品や展覧会でやりたいのだが。
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いいなって思ったことを私もやってみようと思ってやってみる、そんなあなたが私は大好き。
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自宅閉架図書を本棚に並べる。一冊、大きくて変形サイズで全く棚に収まらず、それでも持ち続けている本がある。高校時代の美術の教科書だ。
前書きが素晴らしいのだけど、普段はそんなことをすっかり忘れて、本の整頓をする時になって捨てない理由を思い出す。
最初の授業で「ハイ、ここに線引いて」と言われ、当時の恩師はこれさえ伝えられたらあとはヨシ、と言う風体で、よく放っとかれそしてよく褒められ、それはそれはのびのびと授業を受けさせてくれた。この本を教科書として採用してくれて良かったなあ。当時はわからなかったけど、今この本は立ち返れる場所のひとつとなっている。
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終日制作。
いでよ色気。
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終日制作。台風にて夜半より雨とのこと。
夜になって、ご紹介いただいた「abさんご」黒田夏子 を読み始める。詩のような絵本のような小説。口の中で音読するように読み進める。古本で買ったせいか頁をめくるたびほのかにパフュームの香りがして作品に妙にマッチ。
9月7日
白露
今節の日記を読みにきてくださりありがとうございます。
次回は9月23日、秋分の頃更新します。