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Photo byyamcha789

本を書くのをやめて、noteを書く理由~作家の印税の闇

    私はこれまで哲学の入門書を書いてきたが、2025年、「本を書くのをやめて、noteを書きます」とSNSで宣言した。もちろん、「作家を引退します」というわけではない。しかし、少なくとも当面の間、「本という形での執筆はやめる」ことにした。

    その理由は簡単に言えば

    「作家業はびっくりするくらい実入りは少ないし、なにより疲れたから」

    なのだが、もう少し詳しく説明しようと思う。

    ■(1)本を書くのにかかる時間的コストが大きすぎる

    本を書くのは、とにかく大変だ。特に哲学関係の本は、下調べや勉強を含めると1年以上はかかる。たとえば、私が以前書いた『あした死ぬ幸福の王子』という本は、ハイデガーの『存在と時間』を題材にしている。執筆中は、1年間ずっとハイデガーの本ばかり読み、四六時中ハイデガーのことを考え続けていた。

    道を歩いていても、ふとした瞬間に考えてしまう。
    「この部分、どう説明すれば伝わるかな……?」
    「こういう比喩ならわかりやすいけど、本質からズレるかも……?」
    頭の中はいつもハイデガー漬け。それ以外のことはいっさい手につかない日々だった。

    その結果、ありがたいことに、読者からは高く評価され、Amazonレビューも好評だったが、問題はその後である。「次の本を書きましょう!」と、出版社から次々に声がかかるのだ。

    だが、一冊書き終えた時点で、こっちはもう燃え尽きている。たとえるなら、息も絶え絶えでフルマラソンを走り切った直後に、ニコニコ顔のコーチがたくさんやってきて、「さあ、もう一度走ろう!(×10)」と言われるようなものである。そのときの心境を一言で表すなら、こうだ。
    「……コーチ……俺もう……無理です……」

    ■(2)本は儲からないし、副業ではモチベが続かない

    はっきり言おう。本は儲からない。
    これは出版業界では常識で、一般の読者には意外と知られていないことだが、本の印税は通常8%〜10%である。つまり、1,500円の本が1冊売れても、著者には150円しか入らないのだ。

     
     
    哲学入門の定番『史上最強の哲学入門』著者/IT企業経営者。著作累計74万部以上。哲学や科学など、人類が考えてきた「知」を、面白くわかりやすく解説しています。 メンバーシップ登録ですべての記事(文庫4〜5冊分以上)が読めます。

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