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Photo bytomoji8988

私と洗濯機の変遷記



    🧺冬の二槽式

    小さいころ、洗濯機は庭にあった。
    二槽式洗濯機である。洗う槽と脱水の槽が分かれていて、洗いが終わったら、濡れている洗濯物を自分で脱水槽に移して脱水する。
    すすぎの後も、また同じ作業を繰り返す。なんとも手間がかかる洗濯機なのである。
    でも、昔はそれが普通だった。
    洗濯は私の役目であった。
    冬の洗濯が、とにかく、つらかった。
    びちょびちょに濡れた4人分の洗濯物を、両手で取り上げて脱水槽に移す。
    2回も。それも寒空の下で。
    脱水槽は意外に容量が小さい。
    濡れた冷たい洗濯物を、上からぎゅーっと押さねばならない。
    私の手は冬になると、しもやけで真っ赤になった。
    今でも、洗濯をしている夢を見る。
    夢の内容はいつも同じ。二槽式洗濯機で洗濯をしている。
    なぜか洗濯機は洗面所にある。
    洗っているうちに、水が溢れそうになるところで、目が覚める。
    大変な尿意を覚え、トイレに駆け込む。


    🧺ベランダの洗濯機

    大学に入って、1Kの安いアパートで一人暮らしを始めた。
    洗濯機はベランダに置く造りだった。
    ある夏、でかい台風が福岡を直撃し、夜、通過していった。
    私はどこでも寝られる特技があり、
    その日も、嵐の音などなんのその、すうすう寝ていた。
    朝、ドドドという轟音で目が覚めた。
    何事かと思って、音のするベランダに出ると、洗濯機が倒れていた。
    倒れた勢いで、水道管ごと壁からもげて、水がドドドと噴き出ている。
    急いで元栓を閉めた。
    困ったのは、トイレである。流せない。
    幸い、アパートの目の前にセブンイレブンがあった。
    事情を話して、水道が治るまで、トイレを借りた。
    セブンイレブン、いい気分であった。
    先日、何年かぶりにそこを通りかかったら、空き店舗になっていた。
    大学の移転で、そのあたりはもう学生がいないのだろう。
    私が住んでいたドドドのアパートも、なくなっていた。
    アパートの名前は「アンシャンテ」だった。フランス語であいさつの言葉らしい。
    私はずっと「イーシャンテン」だと思っていた。
    テンパイまであと一手。
    なんのこっちゃ。
    勘違いの証拠も消えた。


    🧺10円問題 ちり紙問題

    子供が小学生の頃。
    洗濯機から「カラカラカラカラ」と音がする。
    誰だ、また裸銭をポケットに入れたな。
    壊れそうな音がする。開けたい。
    でも洗濯機を途中で開けると「ピーッ」と怒られるから、ビビりの私は、開けられない。
    終わるまで待つ。
    やっぱりねと10円を拾い上げ、犯人捜しである。
    「誰ね!またポケットにお金入れとるやろ。お金の神様が逃げるよ!」
    たいてい、ちゃっかりものの下の子が名乗り出る。
    言っても聞かない。
    また「カラカラカラカラ」と、あざ笑うかのように鳴っている。
    もう!と拾い上げると、100円。
    ……そっとポケットにしまう。
    次また「カラカラカラカラ」。
    ……またか、まったく。
    100円。
    あれ?
    よくよく考えたら、自分ががめた100円であった。
    チリ紙はもっと悲惨だ。
    「誰ね!」
    こちらは誰も名乗り出ない。
    洗濯物をパタパタさせられるからである。


    🧺洗濯機、水族館、六月灯

    とある番組で、洗濯機の呼び方が話題になっていた。
    せんたっき。
    「せんたくき」ではなく、「せんたっき」。
    水族館も、「すいぞっかん」。
    鹿児島には「六月灯」という夏祭りがある。
    「ろくがつどう」ではなく、「ろっがっどう」。
    ちなみに、パソコンでちゃんと変換できるのは、洗濯機だけである。
    「せんたっき」に軍配があがった。
    なんの?
    それだけの話である。


    🧺洗濯機を運ぶお値段

    子育てにひと段落ついて、一人暮らしの引っ越しをしたときのこと。
    見積もりの際、「全自動洗濯機だとお安いです」と言われた。
    聞けば、ドラム式は重いうえ、運ぶのも設置も繊細で手間がかかるらしい。
    その分、料金は全自動の倍ほどになるという。
    デリケートなものほど、手がかかる。
    そして、大事に扱われるということ。
    そういえば先日、赤ちゃんを抱っこしている、若くて華奢なお母さんを見かけた。
    「あんな身体で赤ちゃん抱いて大変だよね」と相方が言う。
    嫉妬深い私は、
    「いーよね。可愛いと大変って気を遣ってもらえて。私が抱っこしててもスルーよね」
    と、全自動洗濯機みたいなことを言う。
    私たちはケンカにならない。
    相方は話をよく聞いてくれるし、私の憎まれ口も笑い飛ばす。
    何より、料理が上手だから。
    この日も、イカ墨のパスタが、私のどす黒い嫉妬を洗い流してくれた。
    そのあと、食べこぼしの多い相方の服を洗濯機に放り込んだ。



    また、洗濯物が乾かない季節が来る。


    (おわり)



    GW、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

    GW中は、投稿をここまでにして、
    お休みにしようと思います。
    (記事は読みにいきます♪)

    楽しく、ご安全に、お過ごしください。


    (マガジン用記事「エッチアスケッチ展覧会vol.4」は、どこかで投稿しようと思っています)


    私は仕事です。GWのばか。


    では、また!


     
     
    青色が好きです たまにエッチアスケッチを描きます 数学と推理小説とウイスキーとピアノと 太極拳と本とビートルズと刑事コロンボと ※Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています

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