
ショートショート『半透明ハイキング』|半分、居ない
田原にか様のお題に参加します!
421字
「ちゃんと東欧だ」
バルカン 教会 黒海 山岳地帯
そしてヨーグルト。
日本から飛行機でピューンとやって来た。
「ぜんっぜん、知らない街だ」
当たり前か。
「何話してるか分かんない」
分かるはずない。
日本ではお陰様で、知名度も上がって
目立つ役も貰えるようになってきて。
でも、その分付き纏う窮屈さも増えて。
それで、事務所にこっそり
日本を抜け出てきた。
街を歩けば
西欧とは違うデザインの教会が
異郷の雰囲気をかき立てる。
ふらりと立寄ったお店、
冷蔵ケース全て。
「一面ヨーグルトだ」
感動。
で、なんでこの国にしたかって?
そりゃ私のことを知ってる人がいないから、
前みたいに堂々と大袖振って歩きたいから。
「ほんとに誰も話してこない」
おやつを買う少年も
店主のおばちゃんも。
「あんた!」(現地の言葉)
え…
「売っといてなんだけど、
自分ちで作るヨーグルトが一番だからね!」
この街の人の目に私は写っている。
けど、認識はされてない。
半分、居て、半分、居ない。
私は半透明で街を闊歩する。
最後までお読みいただきありがとうございます!
東欧のミステリアスな雰囲気が好きです。
【これまで書いた作品も良ければ】
【大体百合が咲きます】