
大会会場には、巨大な枝や大輪の花が並んでいた。
上記に参加させていあただ来ました。
「今年のテーマは『マッチョ華道』ですからね」
隣の男は得意げに、太い松を三本抱えている。
私は小さな白い菊を一輪だけ持っていた。
審査が始まる。
力強い作品。迫力のある作品。花器からあふれんばかりの作品。
私の番になると、会場がざわついた。
「一輪だけ?」
私は答えず、菊を黒い花器の中央へ挿した。
審査員が首をかしげる。
「どこがマッチョなんです?」
「花ではありません」
私は花器を持ち上げた。
床から、ずしりと鈍い音が消える。
係員三人が運んできた、百二十キロの石の花器だった。
会場が静まり返った。
私はそれを胸の高さまで上げ、そっと台へ戻した。
菊は一度も揺れなかった。
審査員長が眼鏡を外した。
「なるほど」
そして採点表に書いた。
――筋肉とは、見せるものではない。
その日、最優秀賞を取ったのは、会場でいちばん細い作品だった。
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