
子育て中は、本当に毎日が事件だった。
大人からすると「なんでそうなるの!?」の連続なのに、子どもはいたって真面目で、悪気なんてこれっぽっちもない。
そんな我が家には、今でも時々話題に上る「二大ハンバーグ事件」がある。
ハンバーグ事件その1
あれは長男が3歳になるかならないかくらいの頃。
次男(1歳)を昼ご飯のあとに和室で寝かしつけていた。長男は隣のリビングでおもちゃ遊び。食後だったこともあり、私もしっかりウトウトしてしまった。
ハッと目を覚ます。
長男がいない。
しかも、やけに静かだ。
子どもが静かな時は、大抵ろくなことをしていない。嫌な予感がした。
「長男くん?」
台所から小さな物音が聞こえ、私は慌てて飛び起きた。
そこにいた長男は、私の姿を見るなりビクッと肩を縮めた。きっと私は、ものすごく怖い顔をしていたのだろう。
長男の前にはプラスチック製の米びつ。
中をのぞくと、生米が真っ黒になっていた。
濃口醤油、薄口醤油、みりん。
一リットルの調味料たちは、見事に空っぽ。
長男は泣きそうな声で言った。
「……ハンバーグ作ってたんだもん。」
「そっかぁ。ハンバーグ作ろうとしてくれたんだねぇ(白目)」
私はそっと長男を抱きしめた。
怒る気なんてどこかへ飛んでいってしまったのだ。
なお、その日から我が家の食卓には、「漆黒の醤油炊き込みご飯(※若干みりん風味)」がしばらく並ぶこととなったのは言うまでもない。
ハンバーグ事件その2
それから7年後。
夕方、長男のピアノ教室の振り替えレッスンという急な予定が入った。猛スピードで夕飯を仕上げ、次男と三男に言い渡す。
「ご飯食べてて! お母さん、お兄ちゃん送ってくるから!」
車で5分ほどの送迎を爆走でこなし、帰宅。ドアを開けると、二人はすでに満腹の表情でくつろいでいた。偉いぞ、ちゃんと食べたんだな。
そう思いながら食卓に目をやった瞬間、私は絶句した。
大皿に鎮座していたはずのハンバーグたちが、ほぼなくなっている。
そして見事に残された、白米。
手つかずの、スープ。
一切減っていない、生野菜(サラダ)。
「なんでハンバーグだけ食べたの!!!」
私の声がリビングに響き渡った。
二人はその夜、阿修羅と化した私にこっぴどく雷を落とされることとなる。
あれから何年経っても、私は未だにネチネチとこの話を持ち出す。
「あの時、ハンバーグだけ食べて野菜全部残したよね?」
すると二人は、心底ウザそうな顔でこう返すのだ。
「……その話、何回も聞いたからもういいよ。」
子育てって、本当に色々ある
事件が起きた当日は、到底笑い事にできない。
落ち込んだり、モヤモヤしたり、悲しくなったり…頭を抱えた日もたくさんあった。
それでも時が経ち振り返ってみると、本能に忠実な息子と一生懸命で若い私が、なんだか愛おしくて笑ってしまうのだ。
以上、我が家の殿堂入り「ハンバーグ事件」の話でした。