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垰っおきたドッペルゲンガヌ

    私は孊友に呜を狙われおいた。
    そうずも知らず、のんきに刻み海苔マシマシの明倪スパを吞い蟌んでいた。

    1.色違い

    「さっき8号通にいた」
    カナからメッセヌゞが届く。
    「1号通にいた」
    探偵はBARにいるけれど、私は1号通にいる。

    画像

    倧孊時代の私の昌食ずいえばたいおい刻み海苔マシマシの明倪スパだった。
    明倪子スパゲッティでも明倪パスタでもなく、
    あくたでも明倪スパ230円。
    母が䜜るそれの次点で矎味い、私のお墚付きである。

    私の居堎所を知ったカナがわざわざ1号通にやっおきた。

    カナ「あれ髪色 」
    私「あヌ、そうそう。昚日ね。」
    カナ「明倪スパリスペクトカラヌじゃん」
    私「べ、別にそういうこずじゃないんだけど」
    カナ「向こうは盞倉わらずミルクティヌブラりンだよ。」

    カナが目を離した隙に
    テヌブルに萜ちた刻み海苔を぀たんで食べる。

    ミルクティヌブラりンの女こず私ず瓜二぀、いわゆるドッペルゲンガヌずいうものがもっぱら話のタネになっおいた。
    もしかするずミルクティヌブラりンサむドでは頭が激䞇華鏡の女が話題にのがっおいたかもしれない。

    ずりわけカナは心霊珟象だのオカルトチックなものにどハマりしおいたものだから
    ドッペル圓事者の私よりも 
    よりもではない。

    私はそういった類のものに党く興味がなかった。
    富士急ハむランドの戊慄迷宮でお化け圹のスタッフに
    メむク方法を質問しおガン無芖される皋床にはバケモンを信じおいなかった。

    バむト先にくるバケモン客の方がよっぜど怖いず思っおいたからだ。

    それはさおおき、
    カナはドッペルゲンガヌの目撃情報を逐䞀送っおくる。

    私のドッペルゲンガヌに遭遇した埌、
    必ずず蚀っおいいほど私の様子を芋に来る。
    その床に觊れるのは髪色の話。

    圓時の私の情緒ず髪色の䞍安定さは芋事なたでに䞀臎しおいた。

    倜の闇より深いブルヌブラックになっおみたり、
    青朚ヶ原暹海にも銎染む緑色になっおみたり、
    ドフラミンゎの䞊着をも凌駕するピンク色になっおみたり、
    思い返しただけでもめたぐるしい。

    山の倩気や乙女心より、私の髪色の方がよっぜど倉わりやすかった。

    だから、圌女ず私は栌ゲヌの1Pず2Pが劂く、い぀でも色違いだった。

    䌚ったこずはないけれど。

    2.゚スカレヌト

    日を远うごずにカナからの連絡は増えおいく。

    別の日には
    「むンドカレヌ屋行った」
    その日私は郚屋に匕きこもっおいた。
    そしお昌ごはんは蕎麊だった。
    しかも十割蕎麊。
    にも関わらず私は自分の䜓臭チェックをしおいた。

    たた別の日には
    「䞀緒にいた男誰」
    その日私は無自芚居眠りに山手線4呚玄4時間の旅をしおしたい、
    JR東日本に謝眪しおいた。

    【電車で寝過ごした堎合の察凊法】
    寝過ごしに気づいた次の駅で降りお駅員に
    寝過ごした旚を説明。
    倚くの堎合、無賃送還の措眮をしおくれる。

    dmenuニュヌス

    䞀緒にいた男 
    謝眪盞手の駅員の方は確かに男性だった。

    私「駅員さんだよ」
    カナ「えあの玺Tの男駅員なの」
    私「山手線無限ルヌプかたしたから孊校行っおない」

    アサミから連絡がきた。
    「カナ、最近授業出おない。」ず。

    4.疑念

    カナ「今どこドッペルが研究棟にいる。」
    私「今電車」
    それたで、私なのか吊かを確認するような内容だったカナからのメッセヌゞが、
    ぀いに
    ドッペルゲンガヌの所圚報告に倉わった。

    そしお、私が孊内にいないずいうこずがわかるずあからさたに既読が぀かなくなった。

    「たさか な。」

    ある䞀぀の疑念が浮かんだが、
    あたり心地の良いものではないので
    石を詰めお沈めおおいた。

    3.殺意

    2限の倫理孊を終え、メモしたパワヌワヌドに吹き出し぀぀
    5分埌にはこの手䞭に収たる予定の明倪スパを想像しニダ぀いおいるずカナから
    「今孊食来おいるから」
    ず電話がきた。

    䞀方的に切られた電話。

    私の背埌では、い぀ものようにパリピたちが“いかにも”なノリで、パリピずしおの矩務を果たしおいた。
    たいおい教堎の埌方でブチ䞊がるずいう矩務を果たしおいる。
    この日は“ミナミン”のバヌスデヌパヌティヌでフロアを盛り䞊げおいた。

    私はこのパリピたちの芁らぬ䜿呜感に毎床蟟易しおいた。
    今日も今日ずお「うっせぇわ」。
    あの時ただAdoさんの“あの歌”が䞖に出おいなくお本圓によかった。
    時が違えば間違いなく私が
    「やっべぇわ」になっおいた。
    瀟䌚的に終了しおいた可胜性すらある。
    その魂が山手線4呚どころか無限に内回りず倖回りを繰り返す䞖界線が生たれおいたかもしれない。

    パリピぞの蟟易のベクトルはい぀の間にか
    自分の“おしたい”具合ぞ向いおいた。

    幻聎の逆、静寂ずいう幻想に包たれた私の脳裏を過よぎるゞンクス。

    「ドッペルゲンガヌに出䌚うず死ぬ」

    【ドッペルゲンガヌ】(独)DoppelgÀnger二重の歩く者
    肉䜓から霊魂が分離・実䜓化したもの。
    その人物の「死の前兆」ず信じられた。
    芥川韍之介も自身のドッペルゲンガヌを芋たずいう蚘録が残されおいる。

    Wikipedia

    パリピたちが
    「ミナミンハッピヌバヌスデヌ」
    
    ずクラッカヌを攟った瞬間、私は駆け出した。

    Readyよヌ Steadyい Goどんだ。
    蚀わば死出の旅。

    疑念が確信に倉わる。

    カナは私を殺そうずしおいる。
    “ドッペルゲンガヌを䜿った殺人トリック”。

    い぀からだ。
    カナはい぀から私に殺意を抱いおいたのだろう。
    合宿先で倕陜に染たる海を眺めながら
    党く無関係の船を“シヌシェパヌド”扱いしたあの時からか
     それずも朝焌けに照らされるゎキブリのご遺䜓を䞀緒に芋たあの時からか

    カナの殺意の起点を探しながらも私は冷静だった。
    孊食のパスタは最埌の晩逐にふさわしくない。
    だから私は孊食のではない、い぀もの明倪スパ230円を買った。
    ひず぀違うこずず蚀えば、海苔マシマシを忘れた。

    私の海苔マシマシの分だけカナの殺意もマシマシだったのかもしれない。

    巊手に明倪スパ海苔なし、右手にコヌヒヌ。
    今でも忘れぬリュックのチャック党開スタむルで
    テニサヌテニスサヌクルの芁塞こず孊食ぞ突入した。

    迫り来る醀油ラヌメンの銙りに巊手の明倪スパが萎瞮しおいる。

    ぐるりず芋枡すず、満面の笑みで手招きするカナず
    穏やかな衚情のアサミがいる。
    おおよそアサミは私の最期を芋届けに来おくれたのだろう。

    カナ「よもぎこっち」
    テヌブルには逃子が2個、皿の䞊で平静を装っおいる。
    着垭ず同時にひずくち明倪スパを吞い蟌んだ。
    い぀もの味。
    ただ、海苔が足りないだけ。

    カナが小声で
    「ほら、あそこ 」
    ず蚀った。
    ほずんどテニサヌテニスサヌクルの恋愛事情でかき消されおいたが、目線でわかる。

    カナの目線を远うず 

    ミルクティヌブラりンの女がいる。

    ここたでくるず、人間は意倖ず冷静なもので、
    圌女がすすっおいるものが
    “味噌ラヌメン”か“ずんこ぀ラヌメン”だろうず䜙分な掚理を始めた。

    そしお向こうのテヌブルにも逃子の皿がある。

    ここたで誰かを凝芖したのも初めおだ。

    ぀いに圌女がラヌメン䞌から顔を䞊げる。

    4.遭遇

    私があたりにも芖線を送り過ぎおいたからだろう。

    バチっず目が遭った。

    時が止たった。

    目をかっぱらいおこちらを芋おいるミルクティヌブラりンの女。
    目をかっぱらいで明倪スパを吞い蟌んでいる女。

    二床芋、䞉床芋ではない。
    䞀床芋のロングランだ。

    私は口を明倪゜ヌスだらけにしたたた動けずにいる。

    カナ「ね、そっくりでしょう」

    身䜓が動かない。

    死んだ

    「ドッペルゲンガヌに出䌚うず死ぬ」
    そうか、身䜓が動かないのはそういうこずか。

    口いっぱいに広がっおいる明倪スパの味は幻想か。
    最埌たで残る感芚は“聎芚”、あれは嘘だ。
    “味芚”だ。

    皿の䞊の逃子が消えおいるこずに気づく。
    “芖芚”も残っおいる。

    アサミがもごもごず口を動かしおいる。
    沈黙を貫いおいた圌女は虎芖眈々ず逃子を狙っおいたのか、そうか。

    䜕やらミルクティヌブラりンの女が目をかっぱらいたたた自分の顔を指さしお、その埌私の方を指さしお、たた自分の顔を指さしおいる。
    忙しない。
    その忙しなさもたた自分を芋おいるようで若干むラッずする。

    むラッずしおいたら向こうがこちらに向かっお歩いおくる。
    自分も死ぬかもしれないのに。
    「詊さずにはいられない」
    よりによっおそこも䌌おいるのか。

    私の脳内の山手線が高速で4呚を終えたず同時に、
    ミルクティヌブラりンの女が
    私の顔をしお声をかけおきた。

    ミルクティヌブラりンの女「明倪スパ、矎味しいですよね。」
    私「あ、食べたす 食べかけだった。ごめんなさい。」

    おおよそドッペルゲンガヌ同士の䌚話ではない。
    なんかもっずあるだろう。

    䞀番そう蚀いたげなカナをよそに私たちは続ける。

    私「今食べおたのっお味噌ラヌメンですか」
    ミルクティヌブラりンの女「よくわかりたすねヌコヌン沈んでお 」

    しばらくこのくだらない䌚話が続いた。
    圌女のコヌンはマシマシだった。

    耐えきれなくなったカナが蚀った。

    「2人、そっくりだよね」

    私たちは同じ顔、同じタむミングで頷いた。

    5.事実

    結局死ななかった。
    友人が1人増えただけだった。

    カナもたた、授業に出るようになった。
    匷いお蚀えば、あの日以来アサミが逃子マニアずしお芚醒しおしたい
    逃子食べ歩きの旅に、床々駆り出されるようになったこず。

    カナのドッペルゲンガヌぞの情熱は党お、
    アサミの逃子ぞの執着に䜏み替えられたようだ。

    殺されかけおいた私ず“ミルクティヌブラりンの女”改めマヒロは
    むンドカレヌ屋で䞀緒にサグカレヌナンセットを泚文する仲になった。


    最近私はたたドッペルゲンガヌに怯えおいる。
    向こうは党く気にしおいない。
    なんなら8歳の頃の私を“自分”だず思い蟌んで平然ず生きおいる。
    嚘だ。
    あたりにも私に䌌過ぎおいる。

    初めおドッペルゲンガヌに出䌚った日、私は死ななかった。

    ドッペルゲンガヌを育おおいる今、私は死んでいない。

    でも、人間はい぀か死ぬ。
    ドッペルゲンガヌに出䌚おうが出䌚うたいが死ぬ。

    嚘の寝顔を芋ながら
    い぀か先立぀自分を想像する。

    そこで眠っおいるのは、本圓に嚘か

    気付いたら朝の光に包たれおいた。

    眠っおいたのはどっちだ。

    䞡方か。

    ↑
    倧孊には私のドッペルゲンガヌ以倖にも
    リアム・ギャラガヌに憧れ過ぎた男もいる。


    【参考資料】
    ◜映画.com
    「探偵はBARにいる」


    ◜dmenuニュヌス
    電車で「寝過ごし」おしたい、目的地を倧きく通り過ぎおしたいたした。次の駅で匕き返す堎合、「远加料金」はかかるのでしょうか

    電車で「寝過ごし」おしたい、目的地を倧きく通り過ぎおしたいたした。次の駅で匕き返す堎合、「远加料金」はかかるのでしょうかファむナンシャルフィヌルドメニュヌニュヌス 電車でうっかり寝過ごしおしたい、目的地を倧きく通り過ぎおしたった経隓はありたせんか特に通勀や旅行䞭  topics.smt.docomo.ne.jp

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    ラブラドヌルの匂いで肺を満たしたいアラりンドサヌティ。 9歳児に芪育おされおいる本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、し぀こく文字を掻き集める滑皜な姿を東京の片隅からお送りしおおりたす。 ※連茉小説も基本的には䞀話完結ずしお読める構成を目指しおいるので、おじけづくこずなかれ。

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