
All-In Podcast 解説:カリフォルニア再生への挑戦──Steve Hilton氏とSpencer Pratt氏が語る規制撤廃・投票制度・州政改革(ゲスト: Steve Hilton氏、Spencer Pratt氏)
2026年9月23日
概要
ポッドキャストAll-In Podcastの今回のエピソードでは、カリフォルニア州知事選挙に出馬している元英国首相顧問・起業家のSteve Hilton氏と、ロサンゼルス市長選に出馬したメディア起業家のSpencer Pratt氏をゲストに迎え、カリフォルニア州が直面する深刻な経済・社会問題や州政の刷新に向けた具体的な方策について議論が交わされました。
長年にわたる民主党の一党支配がもたらした過剰な規制や生活コストの高騰、治安の悪化、住宅危機に対して、有権者の間で高まる変化への要求が浮き彫りにされています。Steve Hilton氏は、肥大化した州予算の削減や所得税の減税、ガソリン価格の引き下げ、DMV(Department of Motor Vehicles=車両管理局)の廃止を含む行政改革案を提示し、中間層や無党派層を取り込む勝機について語りました。
さらに、山火事で自宅を失った経験からロサンゼルス市長選に挑んだSpencer Pratt氏が加わり、行政の怠慢や都市機能の麻痺、合法化された「票集め(Ballot Harvesting)」制度をめぐる選挙システムの実態について当事者の視点から鋭い問題提起を行いました。
一党支配がもたらしたカリフォルニアの衰退と構造的課題
カリフォルニア州は世界屈指のイノベーションエコシステムや恵まれた自然環境を誇る一方で、過去16年間にわたる民主党の一党支配によって深刻な制度疲労に陥っています。全米で最も高い貧困率や失業率、高額な生活費が常態化しており、住宅価格の中央値が約100万ドル(約1億5741万円。1ドル=157.41円換算)に達する一方で個人の所得中央値は6万5000ドル(約1023万円)にとどまるなど、中間層の生活は限界を迎えています。ビジネス環境ランキングでも全米50州の中で最下位に甘んじており、数百万人の住民や企業が州外へ流出する事態が続いています。
この衰退の背景には、強大な労組や法廷弁護士などの特定利益団体と結びついた政治構造があります。州議会では毎年1000件を超える法案が可決され、現在では42万件以上の規制が積み上がっており、起業家や中小企業に対して過度な訴訟リスクと官僚主義的な負担を強いています。
また、シリコンバレーが巨額の富と税収を生み出し続けることが、かえって行政の質を改善する必要性を失わせる「資源の呪い」として機能してきた点も指摘されています。州政府の規模が過去10年で倍増する一方、パンデミック以降の民間部門における純雇用創出は実質的に停滞しており、経済の歪みが一段と深まっています。
Steve Hilton氏が掲げる減税と規制撤廃のロードマップ
Steve Hilton氏は、知事選に向けた世論調査で民主党候補のJavier Becerra氏との支持率差が急速に縮まっているデータを提示し、生活苦に直面する無党派層や一般労働者を支援するための具体的な政策パッケージを打ち出しました。
年間所得の最初の15万ドル(約2361万円)まで州所得税を非課税化
莫大な予算を消費してきた高速鉄道計画の中止と州政府人員の10%削減
42万件を超える州の規制を1期目の終わりまでに20万件未満へ半減
隠れガソリン税の撤廃によるガソリン価格の半減(6ドル(約944円)から3ドル(約472円)近辺へ)
DMVを廃止して車両登録料を一律年73ドル(約1万1491円)に制限
民間主導の成長を促す「10の新しい都市」開発構想の推進
特にガソリン価格に関しては、低炭素燃料基準や排出量取引制度による隠れた課税が1ガロンあたり約1.50ドル(約236円)上乗せされている現状を是正し、州内のエネルギー資源を現実的に活用することで家計の負担を直接軽減する方針を示しています。また、長蛇の列と高額な手数料で悪名高いDMVを解体し、行政サービスの簡素化を進める姿勢を強調しました。
ロサンゼルスの行政崩壊とSpencer Pratt氏の出馬
ロサンゼルス市長選に無所属で挑んだSpencer Pratt氏は、パシフィック・パリセーズの山火事によって自身や両親の自宅が全焼した惨状を契機に出馬を決意した経緯を語りました。市やLADWP(Los Angeles Department of Water and Power=ロサンゼルス市水道電力局)が貯水池の維持管理を怠り、消火用水が確保できなかったことや、州立公園局が長年放置した枯れ木の除去を環境規制を理由に怠ったことが大火災を招いたとして、行政の過失を追及する1万人規模の集団訴訟を起こしています。
さらに、都市部における治安と公衆衛生の崩壊も深刻です。マッカーサー・パーク周辺などでは、税金が投入された非営利団体を通じて薬物器具が配られる一方で、40年間納税を続けてきた地域の中小店舗が歩道を埋め尽くす違法露店によって廃業に追い込まれるなど、遵法精神を持つ市民が不利益を被る逆転現象が起きています。
Karen Bass市長をはじめとする現行の行政指導層は、法令順守やインフラ整備という基本責務を放棄しており、都市の崩壊を防ぐためには常識的な法執行を取り戻すことが不可欠であると訴えられました。
郵便投票と票集め制度をめぐる議論
選挙制度の信頼性をめぐっては、カリフォルニア州で合法化されている郵便投票の運用実態について白熱した議論が交わされました。Spencer Pratt氏は、DSA(Democratic Socialists of America=アメリカ民主社会主義者)などの組織が集合住宅を巡回して投票用紙を回収する「票集め(Ballot Harvesting)」を組織的に展開している実態を指摘しました。
現行制度では、回収された投票用紙が計票所で外側の封筒から分離されるため、事後的な署名検証や不正の監査が極めて困難な構造になっています。また、転出者や死亡者が有権者名簿に残ったまま投票用紙が送付されている問題もあり、選挙の透明性を担保するために有権者ID(Voter ID)の導入が必要であるという主張がなされました。
一方で、現状のルール下であっても共和党や保守派の登録有権者が棄権せずに投票所へ足を運べば組織票を上回ることは十分に可能であり、諦めずに投票行動を起こすことが州政を正常化するための唯一の道であると結論付けられました。
▶ 同じシリーズの前回: All-In Podcast 解説:SpaceX上場とAI安全性・Terafab構想(ゲスト: Gwynne Shotwell氏・Elon Musk氏) https://note.com/yondo/n/nb2b37933d5c5
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