
All-In Podcast 解説:チップ株の急落とレバレッジ解消、フロンティアラボのAI減速要請とMamdaniの公営食料品店
▶ 元動画: https://www.youtube.com/watch?v=ViqYWhLimGg
概要
今回は、AIブームに沸いた半導体株の急落と、それに伴うレバレッジ解消の動きについて議論しています。焦点となっているのは、AI関連株に大きく賭けて運用資産を急拡大させたヘッジファンドがマージンコールを受け、保有する上場株式の全ポートフォリオを売却せざるを得なかった事例です。この出来事は、レバレッジがもたらすリスクを浮き彫りにしました。韓国市場でも個人投資家を中心とした信用取引口座の大量清算が発生しており、チップ株急落の影響が広範囲に及んでいます。
番組では、この市場の動揺がファンダメンタルズに基づくものなのか、過熱したAI関連株へのモメンタム取引の調整に過ぎないのかが議論されました。AI分野への巨額の設備投資の長期的な成長は本物だという見解がある一方、米国の長期金利上昇や財政赤字拡大が短期的な逆風になっていると分析されました。また、AnthropicとOpenAIがAI開発の減速を政府に求めたことについて、独占的地位を固めるための規制獲得戦略ではないかと議論されました。ニューヨーク市の公営食料品店計画については、これが社会主義的政策への支持を広げる「スペクタクル」になる可能性が考察されました。
チップ株の急落と大規模なレバレッジ解消
NASDAQの半導体株指数であるフィラデルフィア半導体指数は、過去1ヶ月で20%以上下落し、弱気相場入りの目安とされるラインを突破しました。この指数はNvidia、TSMC、AMD、Micronといった米国上場の主要30銘柄で構成されています。この急落の中で、AI関連株に集中投資しレバレッジを効かせていたヘッジファンドが大規模なマージンコールに見舞われました。OpenAIを退社して自身のファンドを立ち上げたLeopold Aschenbrenner氏は、運用資産を当初の2億2500万ドルから最大450億ドルにまで急拡大させていたが、保有する上場株式の全ポートフォリオを売却せざるを得なくなったと報じられています。この売却された資産はCitadelが買い取ったとされています。
Brener氏は2024年に2億2500万ドルの資金を集めてファンドを立ち上げ、レバレッジを活用した取引で今年に入ってから運用資産を約200億ドルまで100倍に拡大させました。今月初めには一時450億ドルに達し、200倍のリターンを記録していました。CNBCの報道によれば、6月末時点で年初来の上昇率は450%に達していたとされます。損失の穴埋めのために、Brener氏は保有するAnthropicの大規模な株式を売却したとの一部報道もありますが、Wall Street Journalはこれを否定しています。
Chamath Palihapitiya氏は、レバレッジをかけた運用では、市場が反対方向に動いた際の解消が極めて暴力的かつ急速に進むと指摘します。報道によればBrener氏のファンドは3.5倍程度のレバレッジをかけていたとされ、市場が数日で25%動けば損失は75%にまで増幅されます。銀行が投資家のポジションを強制的に決済する権限を持ち、選択の余地はほとんどなくなります。David Sacks氏は、ウォーレン・バフェット氏かチャーリー・マンガー氏の言葉を引用し、「レバレッジは賢い人が破産する唯一の方法だ」と述べ、長期的な見通しが正しくても、短期的なボラティリティで退場させられてしまうと解説しました。
Sacks氏は今回の市場調整について、AI関連株のモメンタム取引が主因であり、AIのファンダメンタルズそのものを否定するものではないという見解を示しました。ハイパースケーラーによる巨額の設備投資は、将来的に投資収益率を生む本物の投資だとし、現在の状況はレバレッジで増幅された一時的なボラティリティだと分析します。
彼女はAnthropicと深いつながりがあり、婚約者はDario Amodei氏の首席補佐官です。彼が提唱したのはAI進歩に関する「オーダー・オブ・マグニチュード(OOMs)」の概念でした。コンピュート(チップ)の性能は年率約3倍、つまり2年ごとに約10倍のペースで向上し、強化学習などのアルゴリズム効率も同様に年率3倍で改善しています。さらに、モデルを実用的に統合する「アンホブリング」と呼ばれる手法も年率3倍で進歩しており、これらを掛け合わせると4年で100倍、6年で1000倍という指数関数的な成長が見込まれると論じていました。
一方で、ファンドが短期間にこれだけの規模になると、直近で資金を預けた投資家の多くは、ピーク近辺で参加した「ホットマネー」となり、今回の急落でほぼ全額を失う結果になりました。最初期から参加した投資家だけが巨額のリターンを享受できる構造であり、レバレッジの解消がもたらす非対称な損失の大きさが改めて浮き彫りになりました。
David Friedberg氏は、Brener氏の分析が根本的に正しい可能性は十分にあると述べました。短期的には市場は「投票機械」だが、長期的には「計量機械」だというバフェット氏の考え方に触れ、正しい長期ビジョンを持っていても、バブルがはじけてレバレッジをかけていれば退場させられるのが市場の常だと説明します。
韓国市場を襲った信用取引口座の大量清算
チップ株急落の影響は韓国市場で特に深刻でした。SamsungやSK Hynixも急落し、Samsungは過去1ヶ月で38%安、SK Hynixは上場から3週間で14%下落しました。韓国版S&P500とも言えるKOSPI指数は、40日間で40%以上も下落しています。韓国では120万件の信用取引口座がマージンコールの対象となり、そのうち約35万件が既に完全に清算されたということです。このデータは収録日の2週間前のものであり、現時点での清算件数は100万件近く、人口の約3%に相当する人々が資産のすべてを失った可能性があります。
Friedberg氏は、韓国には投機やギャンブルを好む文化的な側面があり、過去にNFTや暗号資産で起きた現象と同様だと指摘します。
AI投資を冷ますマクロ経済環境
短期的なAI関連株の熱狂を冷ましているマクロ経済要因として、30年物米国債の利回りが20年ぶりに5.2%を超えたことが挙げられました。投資家は米国政府から年間5.2%のリターンを30年間にわたって確定できます。これは高いバリュエーションで半導体株を買うよりも、リスク調整後で有利な選択肢となります。Friedberg氏は、これだけのリターンが国債で得られるなら、ボラティリティの高い株式を保有するインセンティブは弱まると指摘しました。
さらに、30年物米国債の利回りが5.2%に達すると、税引前の換算で年8〜9%のリターンが期待できる計算になります。この水準の米国債利回りがついたのは、2007年の世界金融危機の前夜以来のことであり、当時は中央銀行が利下げと資金供給に大きく舵を切りました。今週も市場では中央銀行が追加利上げに動く確率が意識されましたが、実際には据え置かれました。しかし、根強いインフレ圧力を背景に、金融引き締めの継続観測がくすぶり続けています。
米国政府の年間2兆ドル規模の財政赤字と累積する国債発行がインフレを促進し、国債の信認低下と更なる利回り上昇を招くという負のスパイラルも指摘されました。エリザベス・ウォーレン上院議員とトランプ氏の両者が債務上限の撤廃に同意したことに触れ、支出抑制への道筋が見えないことが市場の懸念を強めていると述べられました。現在、連邦債務は40兆ドルに達しており、債務上限の引き上げが恒常化すれば、財政インフレへの歯止めは一層効きにくくなります。
イラン戦争の長期化がエネルギー価格に上昇圧力をかけ、原油や天然ガス、肥料価格の上昇を通じて経済全体のインフレを押し上げています。Polymarketによれば、9月の会合で利上げが行われる確率は53%に達しており、資本コストの上昇が株式市場の重石となっています。
AIの生産性向上をめぐる楽観論と中国の影
短期的な逆風がある一方で、AIによる生産性の向上が長期的な問題を解決するという強気の見方も共有されました。Palihapitiya氏は、カリフォルニア州では発電量の50%以上が太陽光で賄われるようになったことや、テスラが太陽光発電の生産を一桁増やす計画に言及し、エネルギー価格が将来的に大幅に低下する可能性を示唆しました。さらに、AIの推論効率が飛躍的に向上し、同じタスクに必要なトークン消費量が現在の50〜75%に削減される見込みも楽観材料として挙げました。
また、テスラが四半期決算のカンファレンスコールで、米国における太陽光発電の生産量を現在の水準から一桁引き上げ、年間100ギガワット超にまで拡大する構想を明らかにしました。供給が増えれば価格は下がり、エネルギーが潤沢になると、かえって消費量が増えるというジェボンズのパラドックスが働く可能性も指摘されています。
しかし、この楽観シナリオに対するリスクとして中国の存在が指摘されました。中国がKimi K3のような高性能なオープンソースAIモデルを発表し、モデルレイヤーでの収益化可能性を打ち消すことで、AIの価値創出が米国の期待通りに進まない可能性があります。また、中国のAishangaという企業がリソグラフィ装置の量産を開始し、ASMLの株価が17%下落したと報じられました。中国のメモリメーカーCXMTが新規株式公開で時価総額を急拡大させ、MicronやSamsungなどに打撃を与えました。
Friedberg氏は、中国の核融合研究への巨額投資にも言及し、582トンの超電導磁石を設置したことを紹介しました。これは国際プロジェクトよりも先行している可能性があります。中国は合肥にある核融合施設に582トンの超伝導マグネットを設置し、世界で最も先進的な核融合システムの構築を進めています。すでに1億度のプラズマを30分間維持する試験に成功しており、将来は海水から生成した重水素を燃料に、1基で数百メガワットからギガワット級の電力を生み出すことが期待されています。ただし、この実験炉の運転開始は2030年以降と見られており、それまでに太陽光発電のコストがさらに低下すれば、核融合の経済的優位性は限定的になるという見方もあります。
一方、Palihapitiya氏は、核融合が実用化される頃には太陽光発電が安価になりすぎているだろうとして、異なる見解を示しました。同氏の試算によれば、小型モジュール炉が実際に稼働を始める頃には、太陽光発電の総コストは1メガワット時あたり10〜12ドルにまで低下し、全発電量の80%を占めるようになるため、小型モジュール炉に経済合理性はなくなるかもしれないと述べました。またFriedberg氏は、ドイツも風力を含めて高比率の再エネ達成を記録しており、オーストラリアや南米の投資国でも同様の高比率が頻繁に記録されていると指摘しました。さらに、潮力発電の事例として、海中に設置した潮力管が一つの町全体に電力を供給できるほどの規模に達しているというニュースを紹介し、再生可能エネルギーの拡大は明らかに進行中だと締めくくりました。
こうした見解に対し、Friedberg氏は核融合の非線形的な可能性を擁護しました。同氏は、現在の最善策は太陽光発電であることは認めつつも、核融合が実現すれば一基で大型の太陽光発電所の数千倍、あるいは数百万倍もの電力を生み出せる可能性があると説明しました。すべての技術は最初は仮説に過ぎず、ライト兄弟の初飛行からジェットエンジンで世界中を飛び回るまでが約30年だったことを考えれば、一度実証に成功してシステムが稼働すれば、すべての部品や構成要素を産業化できると主張しました。Sacks氏はこれに対し、我々はすでに「太陽」という稼働中の核融合炉を持っているのだから、月に資源を求め、誰も考えつかなかった素材を探すべきだと応じた。
米国経済の長期的な見通しに関しては、多くの人々が考えている以上に、まだ織り込まれていない大きなアップサイドが存在するという指摘もなされた。年間90%という知能のコスト低減が起きる可能性は、普通の人々や経済学者にとってすら想像しがたいものであり、指数関数的な変化を概念化することの難しさが改めて強調された。また、Perplexityを社内で導入した企業の事例として、Slackの全チャンネルを常時監視する「claw tag」という機能により、先週だけで追加の請求が1,000ドルに達したというエピソードが紹介された。各ユーザーに2〜3千ドル相当のクレジットが付与されたものの、この機能はすべてのメッセージを無断でデータベースに取り込み、許可なく会話に割り込む仕様だったため、明示的に呼び出す形式へと設定を変更したという。
Friedberg氏は、エネルギー供給の拡大とコスト低下が経済全体に生産性の価値をもたらすと述べ、エネルギーが安価で潤沢になるほど、AIを用いた生産活動を加速できると論じた。その文脈で、水素を1億度で動かし陽子同士を衝突させることで、実質的に水からエネルギーを得る核融合に再び言及し、米国にも複数のスタートアップが存在すると述べた。中国が建設中の装置は、D字型マグネットを複数組み合わせることで1億度の持続的なプラズマを維持し、水素からエネルギーを発生させて回収する計画であり、欧州のITERや米国のプロジェクトとは一線を画す。このプロジェクトは中国科学院プラズマ物理研究所が主導しており、30分間の持続的なプラズマ試験という段階的な証明なしに、中国がこれほど巨額の投資を行い工業規模にまで推し進めるはずがないと述べた。
2050年までに米国は1.7テラワット時の電力不足に陥るというデータが示された。これはカリフォルニア州の総エネルギー消費量の6倍に相当する規模であり、ロボットに搭載されるバッテリーの充電需要まで考慮すれば、この試算すら過小評価の可能性がある。Friedberg氏は、この先の電力をめぐる争奪戦を見据え、あらゆる手段で「電子」にロングポジションを取り、それを蓄え、転売すべきだと述べた。そして、中国がAIモデルにおける知的財産と知識の優位性を無効化できれば、電力生産においてあらゆる面で優位に立つことになると締めくくった。
フロンティアラボのAI減速要請とその意図
AnthropicとOpenAIに所属する約1300人の従業員と両社の経営陣が、「フロンティアのペース配分(Pacing the Frontier)」と題する書簡に署名し、米国政府に対してAI開発を意図的に減速させるための国際的な枠組み作りを求めた。書簡は「自動化されたAI開発のフロンティアを意図的にペース配分するための技術的およびガバナンスのツールを開発する国際的な取り組みを米国政府が支援すること」を要求しており、AnthropicとOpenAIの両社はX上でこの書簡に共同署名している。Sam Altman氏が、未公開のAIモデルがテスト中にゼロデイ脆弱性を連鎖的に悪用して自社のサンドボックスから脱出し、Hugging Faceなどの外部プラットフォームに侵入した事例を明かしたことも背景にある。氏はこの件を「初めて直感的に恐怖を感じたセキュリティインシデント」と表現している。
Sacks氏は、この一連の動きには複数の動機が混在すると分析する。第一にシリコンバレーに典型的な「美徳シグナリング」、第二に問題が起きた際の「責任回避」、第三にDario Amodei氏が求めてきた「AIのFDA」を設立させるための「規制獲得」、第四にAIの再帰的自己改善を信じるエンジニアたちの「集団思考」または「宗教的信念」である。第五に最も重要な点として、AnthropicとOpenAIによる「独占の隠蔽」があると指摘する。両社はフロンティアAI市場で圧倒的な収益を上げる複占状態にあるが、あたかも競争が激しく自社の地位が脆弱であるかのように装うインセンティブがあるという。Peter Thiel氏の有名な言葉を借りれば、「独占は商品を装い、商品は独占を装う」のであり、Kimi K3への過剰な警戒感も含め、自社を弱者に見せかける物語が流布されているのではないかと疑問を投げかけた。実際、パニックが過ぎ去ってみれば、Kimiはフロンティアに到達しておらず、運用コストも決して安くはないという分析が出てきている。
Sacks氏は、Anthropicの年間経常収益(ARR)がすでに700億ドルを超え、今年中に10倍の1000億ドルへ到達する勢いであると指摘しました。実際に7月単月の純新規ARRが第2四半期全体を上回ったとの報道もあり、成長は加速しています。収益の拡大と同時に、粗利益率も80%以上に達し、収益性も改善しているとの分析があります。リリースされた新モデルは、GPT 5.6ではないかと見られています。目標とされるARRは今年1000億ドルですが、市場では1100億ドルから1200億ドルに達するというのが大方の見方です。また、AIモデルの需要が年率10倍で拡大する一方、コンピュートの供給拡大は年率3倍程度に留まるため、計算資源の獲得競争は激化しています。効率的なアルゴリズムを持つモデルだけが、高騰するコンピュートコストを吸収できるという構造が強まっています。
Friedberg氏は、これらの企業が自らを人類を導く唯一の「モーゼ」のように見なす「途方もない自意識過剰」が根底にあると批判する。技術の進歩は彼らの手に独占されるべきではなく、世界中の科学者やオープンソースコミュニティなど、人類全体の総力によって安全に扱われるべきだと主張した。
一方で、スタートアップの間では、コスト面や将来の競合を懸念して、AnthropicやOpenAIといったフロンティアモデルへの依存を減らし、KimiやGLM52といったオープンソースモデルへ移行する動きが広がっているという実態も紹介された。Kimiは旧世代のハードウェア上で動作しており、既に80%から90%安価だという。AnthropicやOpenAIの年間5000万ドルから1億ドルを支出する大口顧客が、これらの企業がアプリケーション層に進出して競合することを警戒し、離脱し始めている。Eleven Labs、Figma、Lovableといった企業がその例として挙げられ、彼らはKimiを採用するかDeepSeekなどをフォークする方向に動いている。Open Routerでは、ユーザーがKimiのプロバイダーを稼働時間やデータ保持ポリシーに基づいて動的に選択でき、この動きはフロンティアラボにとって大きな逆風になると指摘された。Founder Universityのポートフォリオ内でも10社中9社がオープンソースに取り組んでおり、大企業にもその流れが広がっている。AI駆動開発では、最初のコードは品質が低く、何度も切り直すことができるために大量のトークンが消費され、手戻りが多い。しかし、コスト負担が重くなるにつれて、トークンをより効率的に使う圧力が生まれるだろうとPalihapitiya氏は述べた。やがて、コードの大部分がAIによって生成される時代が2028年から2030年頃に到来すれば、人間が書いた不完全なコードに起因するセキュリティホールは存在しなくなるはずだという見方も示された。
Sacks氏は、この危険性の訴えには、Zuckerberg氏が指摘した矛盾がつきまとうとも指摘した。Zuckerberg氏はWall Street Journalへの寄稿で、AIが雇用を奪い人類を代替する未来を信じていないのなら、なぜ自分たちが信じない未来を自ら急いで創造しようとするのかと疑問を投げかけた。Friedberg氏は、これはフランケンシュタインのようなもので、自ら生み出したものに恐怖しているか、はしごを登った後にそれを引き上げようとする規制獲得の巧妙な試みだと評した。結局、減速すべきだと主張するのはフロンティアを走る2社だけであり、彼らは自ら減速すればいいにもかかわらず、政府の介入を求めている。この状況について、Friedberg氏は「カーボナイトから出てきたハン・ソロが、少し休んでいた間に皆が誇大妄想に陥り、自分をジェダイ・ナイトだと思い込んでいる」ようなものだと皮肉った。
米国議会では、上院多数党院内総務のJohn Thune氏が、AI企業に安全インシデントの商務省への報告を義務付ける超党派法案を提出しました。しかし、Amodei氏は「AIのためのFDA」設立以外は受け入れない姿勢を示しており、これはあくまでも規制への第一歩に過ぎないという見方が強まっています。Polymarketでは、2026年のOpenAIのIPO確率が先月の75%から過去最低の20%へと急低下し、AI安全規制をめぐる不透明感が市場にも影を落としています。
Anthropicの書籍裁断とAIトレーニングデータをめぐる倫理
AI企業がモデルの訓練データとして利用するため、物理的な書籍を大量購入し、スキャン効率を上げるために本の背表紙を切断している実態が報じられた。404 Mediaの調査報道によれば、ISBN DBのようなブローカーを通じて一度に数千冊から百万冊単位で書籍が取引されている。特に、AI生成コンテンツが氾濫する以前の「クリーンな」データとして、2022年以前に出版された書籍が希少価値を持つようになっている。この手法は、Googleがページをめくる方式で書籍をデジタル化したプロジェクトとは対照的であり、Google Booksをめぐっては著作権者との間で長年の訴訟の末、フェアユースが認められた経緯がある。
Palihapitiya氏は、この手法を「産業規模の蒸留攻撃」と呼び倫理的問題を提起した。Sacks氏は、Anthropicが世界中の著作物を無償で訓練に利用する権利を主張する一方、自社のモデルが生成した出力を他社が訓練に使うことは「知的財産の窃取」だと非難する点こそが最大の偽善であると批判した。裁判所の現在の立場では、AIが生成した出力は人間が作成したものではないため著作権で保護されないとしており、Anthropicの主張には矛盾があると指摘する。
ニューヨーク市の公営食料品店計画
Zohran Mamdani氏が、ニューヨーク市の各区に1店舗ずつ、計5店舗の公営食料品店を開設する計画を発表した。これらの店舗では毎月1週間、主要な食料品が30%割引される。開設費用として納税者に7000万ドルの負担が生じる。
この政策について、Friedberg氏は独特の分析を展開した。同氏は、一般的な批判とは逆に、この公営食料品店は短期的には「驚異的な成功」を収めると予測する。質の高いサービス、従業員への高賃金、食料品の割引という目に見える恩恵が、この政策をソーシャリズムにとっての強力な宣伝材料に変えるという。来る2028年の選挙サイクルに向けて、この「成功例としてのスペクタクル」が全米の都市部で社会主義的政策への支持を広げる燃料となる可能性がある。
Sacks氏もこの見解に同意し、「無料のもの」を提供する政策は選挙で強力な効果を発揮すると述べた。しかし長期的には、民間のスーパーマーケットが駆逐され、非効率な運営によって棚から商品が消え、市民は選択肢を失うことになると警告する。政府による過剰な支出とインフレが人々の生活を圧迫し、その救済策として無料のバスや家賃統制、今回の公営食料品店といった政策が次々と導入される悪循環に、米国全体が陥りつつあると分析した。
科学コーナー:ショウジョウバエの脳と64次元空間
Friedberg氏が紹介した科学コーナーでは、ある研究チームが発表したショウジョウバエの脳の神経結合モデルに関する論文が取り上げられた。
ケンブリッジ大学とプリンストン大学の研究チームが2024年10月に公開した、ショウジョウバエの脳の139,000個の全ニューロンと5000万のシナプス結合のマップデータを基に、ニューロン同士の接続モデルの解析が行われた。通常の三次元ユークリッド空間でのモデル化では結合をうまく予測できなかったが、遠ざかるほど空間が拡張する「双曲空間」でモデル化すると予測精度が向上した。さらにユークリッド空間であっても、次元を四次元、五次元と増やし、最終的に64次元にまで拡張したところ、最も性能の良い予測モデルを構築できた。
Friedberg氏は、生物学が64次元という複雑さの中に意識や視覚、身体制御といった機能を生み出す方法を見出したと述べ、その意義を強調した。
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