
人を指すということ
苦手なことが多い私にとって、理事長という職は学ぶことが多い。
学生時代から今まで、人に指されると、いい答えを出さなければならない。そんな気持ちが強かった。
だから、指されないように目立たなくしていた。
私は理事長に就任して以降、月に1回の会議を進めているが、会議を上手に回すには、テクニックが必要であることに、初めて気づきだした。
特に喋らないタイプの私だ。
でも会議では、私とは逆に、どんどん切りなく喋っていくタイプの人がいる。
止め方がわからないから、話し終えるのを待つしかない。
私は立場上、発言者の方を向いて意見を聞くが、ほかの理事には、うつむき加減の人も多くなる。
私では、流れを変えることができないのだろうか。
会議中でも、頭の中で迷いが始まる。
そんな私が、理事長に就任して8か月目。
ついに、それまで指したことのない一人の理事を指して、意見を求めてみた。
すると、その理事は自分の経験から、スイスイと意見を述べ始めたのである。
それを聞いていた、よく喋る理事が「なかなかいい意見」と感謝し始めた。
それまで発言する人が限られていた理事会に、静かに明かりが差し始める。
理事会という流れに、新たな道が加わった。
人を指すなんて、ほかの人にとっては小さな行動なのかもしれない。
でも、私にとっては大きな一歩だった。
人を指すことは、自分を、さらには人を変えるための大切な行動なのかもしれない。
今日は、役員の新たな役割分担を、理事長の立場で考えている。
「指す」という小さな行動が、学びとなって私を動かしていく。