
おやつの時間No.4 シロクマ文芸部 小さな手
小さな手をぎゅっと握りしめた、小さな女の子が
立っていました。
女の子は不思議そうに、のんびり寝そべっている
ブルドッグのホヨヨンを見つめていました。

女の子は1人で通学路を歩いて帰る途中で、
いつの間にか小さなお家ができていたのを見つけたのです。
キレイなミモザの咲くお家。
つい足を止めたところで、ミモザの足元で寝転がるブルドッグに出会ったのです。
キレイなミモザだけど、他に立ち止まって見上げる人はいません。
というより、いつも人通りが多いのに、この日は
誰1人いなくて、女の子は自分とブルドッグしか
この世にいない様に思いました。
ホヨヨンは小首を傾げて女の子を見つめました。
女の子は不思議な子でした。
モジモジしていて、ホヨヨンに話しかけたいみたいだけど、少し近づいては戻ったりしています。
ホヨヨンはふわあっとあくびしました。
ふふっと女の子は笑いました。

それから時々女の子は、お家の前でホヨヨンが
ミモザの足元に出てくるのを待ってる様に
なりました。
誰もここにはいません。
ここに来ると、いつも女の子とブルドッグだけしかいないかの様に思えるのです。
女の子はいつも少し汚れた服を着て、いつも1人ぼっちです。
そしてその小さな手は、何かを守る様にぎゅっと
握りしめていました。
ホヨヨンは、女の子が通り道に来たのを見つけると、縁側からぽてっ、ぽてっと出てくる様に
なりました。
そして女の子の前で昼寝をします。
女の子はふふっと笑います。
握りしめたままの小さな手を口元に寄せて。
たまにホヨヨンを見ながら弛みそうになりますが、またすぐぎゅっと握られました。

それからずいぶん時がたった様です。
「ホヨヨン、いらっしゃい。」
ママが縁側からホヨヨンを呼びます。
ホヨヨンは、ポテポテと表庭から縁側に座ってる
ママのところへ向かいました。

ママは両手を広げてホヨヨンを抱き上げます。


それからママはお庭のミモザに降り注ぐ光を
見上げながら、膝のホヨヨンを撫でます。

ここは暖かい、静かなお家です。
家族の様な犬もいます。
ホヨヨンは撫でてもらいながら、大きな手になったなあと思いました。


文中に出てくるミモザにまつわるエッセイも
書いてます🎵