
産後、妻が夫を嫌いになる理由。身体の仕組みと、夫にできること
「妻が急に冷たくなった」
「何を怒ってるかわからない」
「触れさせてくれない」
……こんな言葉で検索して、ここに来てくれたのかもしれません。深夜にスマホで、一人で。
奥さんの中で何が起きてるか、妻側から全部書きました。なぜ変わったのか。何を考えてるのか。あなたが何をしたわけでもないのに、なぜ拒否されるのか。
理由がわかれば、やっていいこととやっちゃダメなことの区別がつきます。知らないまま関わると、たぶん距離はもっと開く。
note始めます。ゆうかです。
32歳、結婚7年目。5歳の娘と2歳の息子がいます。
このnoteを書こうと思ったのには、きっかけがあります。
産後の2年間、私は夫のことが本気で嫌いだと思ってました。触れられるのも無理。匂いすらダメ。離婚届を検索した夜もあった。
でもね、振り返って気づいたんです。あの頃、私が苦しかったのと同じくらい、夫のことも苦しめてた。
何が起きてるかわからないまま、ただ拒否されて、冷たくされて、それでも隣にいてくれた人。あの人がどんな気持ちだったか、今ならわかる。ごめんね、って本気で思ってます。
で、最近ね。知り合いの夫婦が離婚しました。産後がきっかけで。
話を聞いたら、うちとほぼ同じパターン。妻が急に変わって、夫が何が起きてるのかわからないまま夫婦の距離が開いて、そのまま戻れなくなった。
話を聞いていてすごく悲しかった。
でもこれって、誰が悪いって話じゃないんです。産後の身体の変化が気持ちを変えてしまうだけ。誰のせいでもない。
だからこそ、知っていれば防げるし、知った後からでも戻れる。うちが2年かけてそれを実感したから。
あの時に私の経験とこの知識を渡せてたら、知り合いのあの夫婦は離婚しなくて済んだのかな。とか今でも定期的に思ってしまいます。
知り合いの夫婦のように、知らないままだと「俺が何かしたのか」って一人で悩んで、そのまま距離が開いて、戻れなくなる。
だから書くことにしました。読む側ではちょこちょこ使ってましたが、少しでも誰かの役に立てればと思って書いてみました。
産後の身体って、壊れてます
奥さんが変わった理由。全部ここから始まってます。
ちょっと想像してみてほしいんだけど。
虫歯が痛くて夜眠れなかった経験、ありませんか?
あるいは、ひどい頭痛で何も手につかない日。
外から見たら何ともないのに、本人はそれどころじゃない。健康な人が普通に笑ってるのを見ただけでイラッとくる。話しかけられても「今それどころじゃないんだけど」ってなる。優しくされても受け取れない。
あの感覚。あれが全身で、24時間、何ヶ月も続いてるのが産後です。
具体的に何が起きてるかというと
・授乳で乳首が切れる。血が滲む
・そこに3時間おきに赤ちゃんが吸いつく
・夜中の2時も、明け方の5時も
激痛。でも「母乳が一番」って言われるから、やめられない。やめたいって口にしたら「母親失格」って思われそうで、誰にも言えなかった。
出産のとき、会陰切開っていう処置がある。産道の出口をハサミで切る
その傷、半年くらい痛い。円座クッションがないと座れない
くしゃみのたびに尿が漏れる
……夫の前ではくしゃみ我慢してた。くしゃみがつらいって言っても理解してもらえないと思って言えなかった。
産後3ヶ月くらいから、びっくりするくらい髪が抜ける
排水溝に溜まる自分の髪を見るたびにゾッとする
帽子で隠してた時期があった。鏡を見るのが怖かった。明らかに髪が薄くなってるのを自覚してたから尚更。
これが全部、同時です。眠れない。24時間、休みがない。
さっきの虫歯の話に戻るんだけど。虫歯1本ですら余裕なくなるのに、身体中のあちこちが壊れた状態で毎日を回してる。笑顔でいるのも、優しくするのも、物理的に無理になるの、想像できますか。
奥さんの「冷たさ」も「怒りっぽさ」も、性格が変わったわけじゃないんです。「いつも通りの自分」でいる余裕が、身体のどこにも残ってないだけ。
壊れてるのは、身体だけじゃなかった
身体が壊れてるだけなら、まだ「大変だね」で済んだかもしれない。でもね、産後は頭の中まで壊れます。これを知ってるかどうかで、奥さんの「冷たさ」の見え方がたぶん変わる。
私ね、産後、ずっと怖かった。自分が壊れていくのが、自分でわかるんです。
たとえば、夫が靴下を脱ぎっぱなしにしてる。それだけで、頭の中で怒りがバーッて広がるんです。ものすごくムカつく。
……でも、どこかで「靴下でここまでキレることじゃない」ってわかってる。わかってるのに止められない。
じゃあこの怒り、どこにぶつければいいの? 夫にぶつけたら喧嘩になる。赤ちゃんにぶつけるわけにいかない。自分の中に押し込むしかない。でも押し込んだ怒りは消えないんです。次の「些細なこと」が来たとき、さっきの分も一緒に爆発する。
それだけじゃない。
突然、涙が出る。理由がない。洗濯物畳んでたら泣いてた。泣きながら赤ちゃんをあやしてる。赤ちゃんが泣いてるだけなのに、「もう無理」って頭をよぎる。
——その自分に、ぞっとするんです。
怒りたくないのに怒ってしまう。
泣きたくないのに泣いてしまう。
優しくしたいのにできない。
助けてほしいのに言えない。
好きなはずなのに、嫌いだと感じる。
全部が矛盾してる。全部が同時に起きてる。
どれが本当の自分なのか、わからなくなる。
「ダメな母親なのかもしれない」が、朝から晩までずっと頭の中にある。消えない。消し方がわからない。
ここが、たぶん夫にとって一番見えにくいところ。でも、一番知っておいてほしい。
そしてね。頭の中で、タスクも止まらなくなるんです。
次のミルクは何時。おむつのストックあと何枚。離乳食の冷凍いつ作る。保育園の持ち物リスト。予防接種の予約。上の子の靴、もうサイズアウトしてる——
一個一個は大したことじゃない。でもこれが同時に、途切れずに、毎日、何ヶ月も続く。しかも寝てない頭で。
仕事にはオフがある。帰りの電車でぼーっとできる時間がある。産後の育児にはそれがない。完全にオフになれる瞬間が一日のどこにもない。
夫は「言ってくれればやるよ」って言う。
……その「言う」が、もう一個の仕事なんだよ。
この状態が何ヶ月も続くとね、感情の回路が焼き切れるんです。
優しくする余力が、一滴も残ってない。
ここまでが、身体とメンタルの話。
でもね、本当にあなたに知ってほしいのは、この先なんです。
なぜ「嫌い」になるのか。あんなに好きだった人を、なぜ身体が拒否するのか。触れられただけで心臓が跳ねて、匂いすらダメになるのか。
そこには、ホルモンの仕組みがある。知ってるかどうかで全然違う。
ここから先には、その仕組みと、うちで実際に起きた4つの夜のことを書きました。
パスタを作ってくれた日。「ありがとう」が出てこなかった理由。
肩に手を置かれた夜。身体が勝手に振り払った、あの3秒間のこと。
「大丈夫」って答えた日。——その夜、スマホで何を検索してたか。
そして、全部話して、2人で泣いた夜のこと。
4つの夜の「何が起きたか」だけじゃなく、そのとき妻の頭の中で何が走っていたか。善意がなぜナイフに聞こえたか。「大丈夫」がなぜ嘘になるのか。全部、仕組みごと書きました。
そして最後に、「奥さんは今どの時期にいるのか」「やっていいことと絶対にやっちゃダメなこと」「戻ってきてるサイン」。
うちが2年かかって気づいたことを、全部まとめました。