
雨降る休日にしたいこと
ゴールデンウィークだというのに、お天気がすっきりしない。
羊が見たいなぁ、と思って、牧場に行くべくレンタカーを予約していたのだけれど、天気予報を見て少し前にキャンセルしてしまった。
悔しいので、雨降りの休日にこそしたいことを書き連ねて、気を紛らわせようと思う。
1.朝寝をする
休日に寝坊をして、外がぴかぴかに晴れていると、なんとなく損をしたような気分になることがある。 こんなに気持ちの良いお天気なら、早起きをしてお布団を干して洗濯もして、どこか遊びに繰り出したほうがよかったんじゃないか、と。
雨が降っていたときは真逆だ。
スマホの時計とカーテン越しの薄暗さから、なんとなく雨の気配を察する。 外が暗いからか、雨音のせいか、はたまた気圧が影響しているのか、雨降りの日は身体がなんとなく気だるい。 平日ならそれでも目覚ましを止めて頑張って起きて、PCの前に座らなければいけないのだけれど(出社日なら更に化粧をして雨でも大丈夫な服と鞄を考えて外に出なければいけないのだけれど!)、今日はお休み。なんて素敵!
貴族にでもなったような気分で、布団の中でぬくぬくと寝返りを打つ。 そうはいってもそろそろ起きようかしら、それともn度寝しちゃおうかしら。
世界一幸せな悩みだと思う。
2.本を読む
別にお天気に関係なくしていることじゃないか、と仰ることなかれ。雨の日の読書は特別である。
ポイントは、窓を開け放って雨音を部屋の中へ呼び込むこと(窓の配置によっては雨が降りこむので注意)。
しとしとと降り続く雨の音が、本への没入感を高めてくれる。
「雨音を聴きながら読書をしている私」に酔うこともできる。
雨音を聴きながら読書をしている私、は、活字に飽きることなんかないはずなので、いつもより難しい本も読みとおすことができる、気がする。
傍らにはコーヒーか、紅茶。
雨がその香りをより冴え冴えとさせてくれる(、気がする)。
3.美術館へゆく
雨の日は、なるべく外に出たくない。傘を持ち歩くのは煩わしいし、足元は濡れるし、髪はばさばさになるし、人とすれ違うにも気を遣う。
それを押してでも行きたいと感じるのが、美術館や、博物館。
雨の日(特に午前中)は、よっぽど人気のある展示以外は空いている可能性が高いので、ゆっくり見ることができる。
建物自体が美しかったり、立派な庭を備えていたりするところも多いので、それらがそぼ降る雨に濡れている様子を見るのもまた、楽しいもの。
特に雨と相性がいいな、と感じるのは、京セラ美術館や21世紀美術館、ポーラ美術館といった、壁や天井がガラス張りになっている箇所のある美術館だ。
視界を覆うほど大きなガラスの面が、小雨ならぽつぽつと細かな水滴を宿す。強い雨ならまるで滝が出現したかのように、水の帯が表面を走る。
晴れの日よりも少し存在感を増した透明な膜を隔てて、外界の気配が少し遠くなるのを感じるのが好きだ。
ところで雨の美術館が好きだな、と最初に気づかせてくれたのは、六本木の森美術館だった。
上京して最初の年に、「我都会の女ぞ」という気持ちで意気揚々と展示を観に行った。「愛」をテーマに、古典的作品から現代アートまで幅広く集めるという趣向だったと思う。
地上53階に位置するこの美術館の中にいると、外の気配がまるで感じられない。没頭するように展示を見てから、エレベーターで下へ下へと下っていき、宇宙船のようなゲートをくぐってミュージアムショップを通り抜け……
外に出た瞬間、雨音に包み込まれた。
建物の中も、人の話し声でざわざわとしていたはずなのに、なぜだか「ああ、音が戻ってきた」、と感じた。
遠いところから戻ってきたような、不思議な感覚だった。

4.長風呂をする
なんにもする気が起きなかった雨の日でも、気だるい身体を浴槽に延べてじわじわと汗をかくと、不健康に過ごした休日がすこし報われる気がする。
大学を卒業するまで母と住んでいた団地は、古く、畳の部屋ばかりで、実家以外の家で暮らしたことのない人間の目から見てもぱっとしない家だったけれど、浴室に小さな窓があった。
雨の日にその窓を開けて、雨音を聴きながら湯船に身を沈めるのが好きだった。
私が社会人になると同時に母は引っ越し、新しい実家の浴室にも、私が今暮らす家の浴室にも、窓はついていない。
あの団地に戻りたいとは思わないけれど、お風呂に窓がついてるの、よかったな。
雨の日に長風呂をしていると、毎回そんなことを考えてしまう。
5.生春巻を食べる
雨が降ると、生の野菜を食べたくなる。
雨に濡れた街路樹の緑がさえざえとする様子が、レタスやきゅうりのみずみずしさを連想させるからだろうか。
生野菜をたっぷり食べたくなったときに最近重宝しているのが、自分で作る生春巻。
ベトナム料理店の店先でライスペーパーが安く売られていたのを気まぐれに買って試して以来、はまってしまった。ありあわせの野菜で思い立ったらすぐに作れるのがよい。
ライスペーパーは高価だ、という先入観を持っていたのだけれど、業務スーパーなんかで探すと、驚くほど大量に入って安いものがある。乾物なので、賞味期限をあまり気にする必要がないのもよいところ。
タレとして添えるスイートチリソースも、鷹の爪とお酢、ニンニクと砂糖で簡単に手作りできると知って、ハードルが下がった。
いつもお世話になっているレシピ↓
大根にレタスにきゅうりに水菜、にんじんとパプリカ、冷蔵庫にある野菜を片端から刻む。根菜は千切りに、葉野菜は適当な大きさにちぎって。
パクチーがあればうれしいのだけれど、近所では質の良いものを手に入れられないことがほとんどで、少し悲しい。
加えて少しのたんぱく質。海老とか、サーモンとか、どちらもなければ鶏むね肉を蒸して割いたものだとか。アボカドやクリームチーズがあるとなおよし。ピーナッツやアーモンドなどのナッツ類があれば、砕いて入れると香ばしくておいしい。

具材が用意できたら、ライスペーパーを湿らせて好きなように巻くだけ。
巻き方には性格が出る、と思う。夫の巻く生春巻は、具のバランスを考えたうえで細めの巻きで丁寧に作られるので見た目が美しく、噛み切ったときに具が落ちなくて食べやすい。
一方私が巻くと、とにかく野菜をたくさん食べたいという一心で具を入れられるだけ入れてしまうので、酒樽のようにずんぐりしたものが出来上がる。生春巻を食べているのかサラダを手づかみで食べているのか定かでないほどに。
性格が出る、というか、食い意地が出る、のかもしれない。
家で作る生春巻のよいところは、好きなだけ具を入れて、好きなだけ食べられるところ。
コンビニやスーパーで生春巻を買って、紙のようにぺらぺらした、歯ごたえも風味も薄い海老(やサーモン)にがっかりしたり、春雨が7割を占める具の構成に憤ったりしたことはないだろうか。自分で作れば1本に海老をまるまる3尾入れたり、野菜をこれでもかと投入することができるのだ。
お店で出てきたり、レシピサイトで紹介される画像はたいてい美しくカットされているものが多いけれど、私が巻いたものでそれをすると絶対に崩壊してしまうので、節分の恵方巻のように丸のままかぶりつく。
ざくざくざく、と種々の野菜を噛みしめる音が、脳天に響くような快感をもたらしてくれる。
そして味付けが、わりに自由なのもよい。
先ほど紹介したスイートチリソースは鉄板。
蒸し鶏を入れたものを青じそドレッシングで食べたり、サーモンとクリームチーズを巻いたものをオリーブオイルに醤油とわさびを混ぜたタレで食べたりしてもおいしい。
要はラップサラダなわけで、ライスペーパーもクセのある味がするわけではないので、エスニック風にこだわらずゆるく作っている。
簡単に作れて、野菜が摂れて、しかもおいしい。
素晴らしきかな生春巻。
6.涼しいお酒を飲む
雨の日、特に春から夏にかけての雨の日には、涼しいお酒が飲みたくなる。できれば炭酸がきいていて、身体から湿度を追い出してくれそうな。
ビールはいつ飲んでもおいしいけれど、なんとなく、晴れの日のほうが合っている気がする。陽気なお酒だ、というイメージがあるからか。
雨の日は、麦や米といった「実りそのもの」が香るお酒よりも、根っこや葉っぱのような、植物のどこか青いにおいがするお酒が飲みたくなることが多い。
生野菜を食べたくなる理由と根は同じなのだと思う。
最近はなにかと「クラフト」を冠する飲み物が増えてきたな、と感じるけれど、お酒のジンもその波に乗っている様子。
あまり飲んだことがなかったのだけれど、焼き鳥屋さんで「六」のソーダ割を飲む機会があって、梅雨時にぴったりのお酒だな、と感じた。青いにおいと、柔らかな苦みが喉を滑っていく感覚が涼やかだ。
家用に、SUNTORYの「翠」をたまに買う。スーパーでも入手できるのでありがたい。
他のもいろいろ飲んでみたいところ。
銘柄によって多様な植物や果実(ボタニカル、と呼ばれることが多いよう)が漬け込まれていて、原材料名を読んでいるだけで楽しい。
スタンダードなジンに山椒を漬け込んだものが美味しいらしいので、はしりの実山椒が出たら自分でも試してみたいな、と思う。
他にも、安い白ワインを炭酸で割ってつくるスプリッツァーや、モヒートなんかも雨に合いそうだなあ、と思う。
ベランダで育てたミントをこれでもかと入れてモヒートを作る、というのにあこがれるけれど、いわゆる「茶色の指」持ちの私にはすこしハードルが高い。
つらつらと書いていたらお昼時になってしまった。
午後の半日でどれだけ実践できるかな。
とりあえず、お昼ご飯は生春巻にしようと思う。