
20001023 秋の夜長に
秋の夜は長い。長いと感じるのは秋は夜の時間の長さの変化率が大きいからだろう。秋分の頃は夜が一日一日長くなるのがはっきり判る。夜が長いと色々考える機会が増える。いつも様々なこと考えているが、秋の夜長にはその日一日あったことが更に気になってくる。
だからと言うわけではないが、最近のテレビでの言葉の乱れは目に余るというか耳に余るというか、多すぎる。公共性の高い媒体で間違われると腹が立って仕方がない。どうして放送する前に確かめようとしないのか。これほど頻繁にいい加減な言葉の使い方を聞いたり見たりすると切れた堪忍袋の緒が蘇生する暇もないほどだ。テレビを見る時間が少なくてもこうなのだから実際はもっと多くの間違いが氾濫しているに違いない。
先日、朝のNHK教育の子供向け番組でこんなことを言っていた。料理の基本は「さしすせそ」。「さ」は砂糖、「し」は塩、「す」は酢、「そ」は味噌。さて「せ」は何でしょう。
するとボケ役が「セロリかなぁ」と子供らしいボケをかましていた。すかさずお兄さんが 「『せ』は醤油です、昔の人は『しょうゆ』を『せうゆ』と書いていたのです」と誇らしげにボケ役を諭していた。
歴史的仮名遣いでは「醤油」「正油」の振り仮名は「しやうゆ」である。「醤油が『せうゆ』ならソースは『さふす』なのか」と抗議したくなる位の恥ずかしい思い違いだ。しかし本当に抗議するとしてもそれだけはどうしても言えなかっただろう。すれば今度はこっちが恥ずかしくなってくる。
お兄さんには罪は全くない。「せうゆ」が正しい表記かどうかの確認を怠ったNHKに罪がある。
歴史的仮名遣いでは、勝利は「しようり」、正直は「しやうじき」、微笑は「びせう」、交渉は「かうせふ」となる。
「ひょう」や「ちょう」も勘違いされやすいだろう。歴史的仮名遣いでは全部が全部「へう」や「てふ」に置き換わるわけではない。氷山は「ひようざん」、評判は「ひやうばん」、秒は「べう」だ。
徴収は「ちようしふ」、町長は「ちやうちやう」、長調は「ちやうてう」、蝶々は「てふてふ」である。歴史的仮名遣いなら「幹事長も感じちゃう」が「かんじちやうもかんじちやう」になる。
色々感じる秋の夜はまだ続く。
*1 こよみ(暦)のページ
*2 教育テレビ番組表 インデックス
*3 歴史的假名遣ひは三時間で習得出來る
*4 ヤマサ醤油ホームページ
*5 まるゆきの正油蔵
※この記事は、「雑文祭」というweb上の催しに参加するため、「切れた堪忍袋の緒が蘇生する暇もないほどだ」「それだけはどうしても言えなかった」「幹事長も感じちゃう」の三題を無理やり入れて作ったもの。細かい規定はこちら。「20000807 無保険車」も同様。