
断捨離で残したレコード50枚、SL-50Cを注文したら神に止められた
レコードを全部手放したはずが、50枚が手元に戻ってきました。そして、その50枚のためにプレーヤーを買おうとしたら、カード会社に2回、ヨドバシに1回止められました。
今回はそんな、断捨離の果てに起きたちょっと間抜けな話です。
300枚で終わりのはずだった
もともと店長の手元には、オタ部屋にはとても置き切れない量のレコードがありました。それを長い時間をかけて、「これはもう聴かない」「CDでも持っている」と少しずつ手放しながら、最終的には約300枚まで絞り込んでいたのです。正直なところ、300枚まで来たときには、これで自分のレコード整理は終わりだろうと思っていました。
ところがある日、ここまで来たのならいっそ全部手放してしまおうと思い立ち、最後の300枚をまとめて放出し、ついでにレコードプレーヤーまで売却してしまいました。これでレコードもプレーヤーもゼロになり、長かったレコードとの付き合いもいよいよ終わりです。
……のはずでした。
査定を見て、50枚を救出する
話が変わったのは、査定結果を見たときでした。あまりにも「それはないだろう」という内容だったので、結局50枚ほどを救出してしまったのです。
もちろん、金額だけの問題ではありません。最後まで残ったレコードには、それぞれ「なぜ残したのか」という理由があり、それを納得できない査定で手放すのはどうなのか、と考えてしまったのです。
そう思って振り返ると、この50枚は単なる売れ残りではなく、長年聴いてきたレコードの中から最後の最後まで残った50枚ということになります。だったら、これから先も手元に置いておくべきレコードなのではないか。
そう考えた瞬間、次の問題が発生しました。
「じゃあ、どうやって聴くんだ?」
プレーヤーは、すでに売ってしまっていたのです。
懲りずに、プレーヤーを探し始める
我ながら懲りないなと思いますが、今さら「聴ければ何でもいい」というわけにもいきません。これまでダイレクトドライブ(モーターがターンテーブルを直接回す方式)だけでも、Yamaha GT-1000、DENON DP-500M、ONKYO CP-1050、Technics SL-1200MK2、audio-technica AT-LP120XBT-USB、Pioneer DJ PLX-500と、かなりの数を使ってきたからです。
今回の条件は、ダイレクトドライブで、できればフルオート。ところが今の市場では、ダイレクトドライブ自体がかなりの少数派で、フルオートまで求めると選択肢はさらに狭くなります。
そのなかで、今買えて、しかも過去に使っていない機種として気になったのが、次の5台でした。
TEAC TN-4D-SE
JBL TT350
audio-technica AT-LP8X
Technics SL-1500CW-S
Technics SL-50C
候補を眺めては、ケチをつける
TEAC TN-4D-SE

木目がきれいで威圧感が少なく、部屋への収まりはかなり良さそうです。ただ、筐体の薄さと軽さがどうしても気になり、アンチスケーティング(針が内側に引っ張られる力を打ち消す機構)の目盛りが3段階しかないのも、見た目として少々寂しく感じました。
JBL TT350

木目にシルバーという組み合わせが部屋に馴染みそうですが、前面のボタンやアーム周りが少し安っぽく見えてしまいます。約14万円となると所有する喜びまで含めて納得したいので、今回は見送りです。
audio-technica AT-LP8X

再生が終わるとアームを持ち上げてくれるオートリフト付きで、実用面ではかなり魅力的です。ただ、そこまでやるなら「だったらフルオートにしてくれれば」と思ってしまいますし、真っ黒で分厚い筐体は、店長のオタ部屋ではかなりの威圧感を放ちそうです。
Technics SL-1500CW-S

操作性もダイレクトドライブの実力も文句なし。それでも、どうしても気になるのがダストカバーでした。アームを避けるために中央がドーム状に膨らんだあの形が、店長にはどうにも野暮ったく見えてしまうのです。スペック表には出てきませんが、毎日見るものだからこそ、こういうところが意外と大きいのです。
発売当初に酷評した、SL-50C

最後に残ったのがTechnics SL-50Cでしたが、実はこの機種には少し因縁があります。発売当初、店長は「これがTechnicsなのか」と思うほど従来らしくない風貌だと感じ、左側にまとめられたスイッチ類の配置も含めて、かなり酷評していたのです。

ところがあらためて見てみると、最初は戸惑ったつや消しの色も、LUXMANの木箱と並べて意外と違和感がありません。操作部の配置は今でも少し微妙だと思っていますが。

それでも、SL-50Cには店長の環境にとって決定的なポイントがありました。RCA端子そのものがフォノ用とLINE用に分かれていて、本体側でどちらに出力するかを切り替えられるのです。
LUXMANのアンプにはフォノで、MARANTZのレシーバーにはLINEでつないでおけば、一台のプレーヤーを二つの環境で使い分けられます。これは、オタ部屋では非常に便利です。

さらに、ダストカバーがドーム型ではなく、すっきりしたフラットなものだというのも気に入りました。音質とは何の関係もありませんが、店長はプレーヤーを「音が出ればいい箱」とは思っておらず、部屋に置いて、眺めて、レコードを載せて、操作する、その一連の行為まで含めてレコードを聴くことだと考えているのです。
こうして、発売当初あれほど文句を言っていたSL-50Cを、とうとう注文することにしました。
一度目の妨害:カード会社
注文先はヨドバシでした。ところが、いざ決済しようとすると、カード会社のセキュリティチェックに引っかかります。
もう一度試しても、また引っかかる。
面倒になったので別のカードで決済し、ようやく注文が成立しました。このときは「まあ、高額だしな」くらいにしか思っていませんでした。
二度目の妨害:ヨドバシからのメール
あとは届くのを待つだけだと思っていたところへ、ヨドバシからメールが届きました。予定どおりには納品できなくなったので、キャンセルも可能だというのです。
普通なら「まあ仕方ない」で済む話ですが、店長はそこで妙なことを考え始めました。
「……これは、買ってはいけないという神の意志では?」
発売当初にさんざんディスっていたプレーヤーを急に「やっぱりいいじゃないか」と注文しようとしたら、カード会社に二度止められ、別のカードで強行突破したら、今度は「キャンセルできます」。
・・・ちょっと出来すぎています。ドラマチックすぎる!
もちろん、神様がカード会社や家電量販店を通じてメッセージを送ってくるはずもありません。それでも、こういうときは一度立ち止まったほうがいいと思い、注文をキャンセルしました。
50枚のために、本当に必要なのか
考えてみれば、今回の買い物には最初から少し勢いがありました。全部手放したはずが50枚戻ってきて、気がつけば「50枚しかないのだから、むしろちゃんとした一台を買おう」という話になっている。冷静に考えると、ちょっとおかしいのです。
しかも、最初は「できればフルオート」と言っていたのに、最終的にはフルオートではないSL-50Cを選びかけていました。SL-50Cが悪いわけではなく、むしろ自分の環境にはかなり合っているのですが、「必要だから買う」のか「せっかく残したのだから聴きたい」という気分に押されて買うのか、その境目が曖昧になっていたのは確かです。
あれだけあったレコードを50枚まで減らしたのですから、プレーヤー選びくらい、もう少し時間をかけてもいいでしょう。
50枚は、本当に50枚なのか
そもそも、この50枚が永遠に50枚のままである保証もありません。「これもやっぱり手元に置いておきたい」が少しずつ加わって、50枚が100枚に、100枚が200枚になって、気がついたら「またレコードが増えているじゃないか」ということになっているかもしれません。
オタ部屋に置き切れなくなるところまで戻ることはないと思います。
……たぶん。
一度手放したからこそ本当に残したいものが見えてきて、それが見つかると、今度は「これも残しておこう」が始まる。レコードというのは、そういうものなのかもしれません。
今回の一件は、本当に神の意志だったのかもしれません。
……いや、たぶんカード会社の不正検知と、ヨドバシの納期管理です。
経済学では、Adam Smithの「見えざる手」が市場の需要と供給を自動的に調整してくれることになっています。日本ではなぜか「神の見えざる手」と呼ばれることが多いのですが、原文には神様は出てこないそうです。
ただ、店長の場合は、今回たしかに神の手が働いていたような気がします。市場ではなく、オタ部屋の需要と供給を調整するための手が。
さて、50枚から始まる第二次レコード増殖期は本当に始まるのでしょうか。それとも、神の手によって、ここで再びレコード生活は終わるのでしょうか。
まだ、分かりません。
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