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まだ見ぬサリンジャー


    サリンジャーが亡くなってから16年経った。
    生前最後に発表した「ハプワース16,1924」は1965年のもので、これはグラース家の中心人物であるシーモアが子供の頃に家族に宛てた手紙(それを弟のバディが書き写したという体裁)の小説だ。
    サリンジャーはそれから半世紀近くもの間、出版せずにタイプライターや手書きで小説を書き続け、金庫に保管していたそうだ。


    亡くなってから3年ほど経った頃、サリンジャー の遺稿には少なくとも5作品の小説があると報道された。(その中にはサリンジャー の最初の結婚についての話や、ライ麦のホールデンが登場する話が含まれると云われていたが、その噂については後に息子のマット・サリンジャー氏のインタビューにて否定されている)

    JD Salinger's unseen writings to be published, family confirms 2019/2/1


    このインタビューの中で、マット氏が述べているのは、
    ・出版を止めた後もずっと亡くなる直前まで執筆活動を続けていた事
    ・その作品はいずれほぼ全てが公開されるだろう、という事
    ・遺作にはグラース家に関するものが多く含まれる事
    ・息子であるマット氏に作品をまとめ上げるよう望んでいた事(そのためマット氏は膨大な量のテキストをまとめる作業を10年かかると話した)

    2023年の報道では「あと1、2年で出版できるかも」という話もあった

    El hijo de Salinger trabaja en las obras inéditas de su padre: «Todavía quedan dos años» 2023/10/25


    結局はそれ以上かかったのだが、最近の報道でまとめ作業がもう少しで終わるという話があった。
    ただ、マット氏のお母さんの方も執筆業だったようで、そちらのテキストもまとめたり保存したりという作業があるらしく、やっぱりサリンジャーの遺稿が本という形で出版に漕ぎ着けるのはまだまだ先になりそうな気がする。

    Growing up with my dad, the reclusive writer of Catcher in the Rye. 2026/7/21


    アメリカでは雑誌のみに掲載された初期の短編や、サリンジャー自身が絶版させた短編集等、現在では原文の入手が難しいものもあるが、日本ではなぜか定期的に新訳が出版されている。
    先月も柴田元幸さんの訳でサリンジャー 初期短編全集が出た。まだ読めてない。


    柴田さんは、過去にナイン・ストーリーズを新訳された方。
    村上春樹さんがライ麦の新訳を出す時にも、サリンジャーについて対談してその内容も本になっているので、今後、日本で遺稿の翻訳が出るとしたら柴田さんが訳す可能性が大きい。かも?
    一方、新潮社でも金原瑞人さんによる初期短編の新訳が出ているので、こちらも可能性としてはある。
    私は「フラニーとゾーイー」も「ナイン・ストーリーズ」も野崎孝訳(新潮社)の文庫で読んだし、それが一番愛着があるので、できれば新潮社で出してくれたら嬉しい。

    なにはともあれ、はやく出版されますように。(そして名作でありますように…)

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