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なんのはなしですか── Paradigm Shift《その178》美術と科学と心理学vol.2

    前回、
    「人間は、世界をそのまま見ているのだろうか?」
    という話を書いた。

    人間と蜂では、
    同じ花を見ても、
    たぶん違う世界が見えている。

    人間に見えないものが、
    蜂には見えている。

    そう考えると、
    「見える」ということ自体に、
    ずいぶん人間中心の匂いがする。

    ──では、
    見える人のほうが、
    偉いのだろうか?

    これも、
    なんだか違う気がする。

    たとえば、
    「音が見える」
    という表現がある。

    あるいは、
    「そこにないものが見える」
    「人には聞こえないものが聞こえる」

    そんな話を聞くこともある。

    僕たちは、
    そういうものに出会うと、

    つい、

    「特殊だ」
    「すごい」
    とか、

    場合によっては、

    「普通ではない」
    と考えてしまう。

    でも、ちょっと待って。

    それって、
    何を基準にしているんだろう?

    「普通」

    この言葉は、
    便利だけれど、
    ときどき怖い。

    多数派の感覚を、
    いつの間にか、
    「正解」にしてしまうからだ。

    人間に見える。
    人間に聞こえる。
    人間が感じられる。

    その範囲を、
    僕たちは、

    いつの間にか、
    「世界の標準仕様」
    にしてしまう。

    でも、
    前回の話を思い出せば、

    それは、あくまで

    「人間というフィルターを通った世界」

    だったら、

    違いは、
    優劣ではないのかもしれない。

    見えているもの。
    まだ見えていないもの。

    聞こえているもの。
    聞こえていないもの。

    感じやすいもの。
    感じにくいもの。

    それぞれに、
    顕れているものと、
    潜んでいるものがある。

    僕は最近、
    これを、

    「顕性」と「潜性」

    みたいに考えると、
    少し楽になるなと思っている。

    どちらが上で、
    どちらが下、
    ではない。

    ただ、
    今は顕れている。
    今は潜んでいる。

    それだけ。

    人間と蜂が違うように、
    人間同士だって違う。

    同じ映画を観ても、
    泣く人がいる。
    何も感じない人がいる。

    同じ言葉を聞いて、
    胸に刺さる人がいる。
    「へえ」で終わる人もいる。

    同じ景色を見て、
    「きれい」と言う人もいれば、
    「なんか寂しい」と言う人もいる。

    どちらが正しいのか。

    たぶん、
    そんな問い自体が、少し違う。

    『私と小鳥と鈴と』

    金子みすゞの詩の結びのフレーズ

    「みんなちがって、みんないい」

    この言葉を知ったとき、なんとなく、

    「多様性って素晴らしい」
    という意味だと思っていた。

    もちろん、
    それも間違いではない。

    でも、今になって考えると、
    もう少し深いところにある言葉なのかもしれない。

    みんな違う。
    ということは、そもそも、

    みんなが同じ世界を見ているわけではない。

    同じ世界に、一緒にいる。

    でも、
    見えている世界は、少しずつ違う。

    それでも、
    一緒にいられる。

    これは、なかなか面白い☺️

    「分かり合う」ということを、
    「同じように感じること」
    だと考えると、
    どこかで無理が出てくる。

    そうではなく、

    「あなたには、そう見えているんだね」

    と、違う見え方を、
    そのまま置いておく。

    その余白が、もしかすると、
    「調和」の入口なのかもしれない。

    美術🎨

    そして、この話は、
    やがて美術につながっていく。

    「見る」ということ。
    「描く」ということ。
    「ありのまま」ということ。

    写真が登場したとき、
    美術は、大きなParadigm Shiftを迎えた。

    それまで、
    「見たものを残す」ことは、
    絵画の大きな役割だった。

    でも、写真が、
    それをものすごい精度でやり始めた。

    じゃあ、

    絵画は、何をすればいい?

    ここからの考察は、また次回。
    ……なんのはなしですか。🤣

    今日は、
    「違うって、案外いいかもしれない」
    という話でした。

    💧 BLUEのしずく

    同じ世界に住んでいても、
    同じ景色を見ているとは限らない。

    だからこそ、
    誰かの見え方に出会ったとき、

    自分の世界も、
    少しだけ広がるのかもしれない。

    《A Drop Remains.》💧

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