
船を1日出すのに、いくらかかるのか。潜水漁師の経費の話
朝、港でエンジンをかけます。
今日どれだけ獲れるかは、海に入ってみないと分かりません。
でも、お金が出ていくのは先です。
船を出すと決めた時点で、経費はもうかかっています。
1日出すだけで、2万円台が先に出る
僕の潜水漁で、1日にかかる主な経費は2つです。
油代が、8,000円から10,000円くらい。これも、昔と比べると倍くらいに上がっています。
人件費が、15,000円。
合わせると、1日で23,000円から25,000円です。
つまり、貝を1つも獲れない日でも、この金額はそのまま出ていきます。
獲れた貝がこの金額に届かなければ、その日は赤字です。
実は、経費がかからない方の漁です
意外かもしれませんが、潜水漁は経費がかからない方の漁だと思います。
網も使わないし、餌もほぼ使いません。出すたびにかかるものは、他の漁と比べて少ないです。
それでも、1日2万円台です。
経費の軽い漁でこの金額なら、大きな船や網を使う漁は、もっと重いんだろうと思います。
水産庁の資料でも、油にかかる費用は沿岸の個人漁業で支出の16%ほどを占めるとされています。油の値段が上がれば、その分だけ「出すコスト」が上がります。
たまに来る、大きな山
日々の経費とは別に、たまに大きな出費が来ます。
代表が、エンジンです。
この前、エンジンを替えた同業の人は、エンジンだけで1,200万円かかったそうです。
昔は違いました。
大雑把な話ですが、昔のエンジンは500万から600万円くらい。それに補助金があって、半額を負担してもらえました。実質的には、今のほぼ4分の1くらいの負担で済んでいた計算です。
今は、エンジン自体の値段が倍くらいになっています。
しかも、うちの漁種は補助金がもうもらえなくなってしまいました。
値段が倍になって、補助もなくなると、実質の負担は4倍くらいになります。
船もエンジンも、古くなれば替え時が来ます。その山が、昔とは比べものにならない大きさで待っているんです。
入る方は減って、出る方は増えた
前回、漁獲量が昔の1/3から1/4まで減った話を書きました。
入ってくるお金は減っています。
一方で、日々の経費は上がり、大きな出費の負担は4倍くらいになりました。
魚や貝の値段が上がっても追いつかないのは、この出ていく方の変化も大きいからです。
休めば、その日の経費はかかりません。
でも、休めば収入もゼロです。エンジンの替え時のような先の出費が消えるわけでもありません。
だから今日も、獲れるかどうか分からないまま、エンジンをかけて船を出します。
次は、浜で売れる値段と、店に並んだときの値段の差の話を書こうと思います。自分が売った貝の値段を店で見ると、毎回驚くので。
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