
🐶ココの名付け|名前が決まるまでの攻防戦🐾
犬を迎えて最初にやることは、トイレの場所を教えることでも、エサ皿を用意することでもない。まず名前である。名前が決まらない犬は、家族の一員になりきれない。
呼ぶたびに「この子」「ワンちゃん」「えーと」では、犬も困るだろう。たぶん犬のほうも「この家、大丈夫か」と思うはずである。
ココを迎えた帰り道、車内ではさっそく家族会議が始まった。小さなトイプードルを抱えながら、娘は目を輝かせて言った。
「この子、“ここね”がいい!」
ここね。
パパの頭の中に、ひらがな三文字がふわっと浮かんだ。可愛い。たしかに可愛い名前である。だが、目の前にいる犬はオスである。そこを無視して突き進むには、パパの常識がまだ邪魔をした。
「いや、この子、オスやで?」
「でも、可愛いもん!」
当時の娘は、アニメ『アイカツ!』にどハマりしていた。栗栖ここねちゃんというキャラクターが好きで、その名前を犬にも授けようとしていたらしい。子どもの名付けには勢いがある。大人のように画数や響きや将来の呼びやすさなど考えない。好きだから付ける。ある意味、いちばん純粋で、いちばん危険な命名方式だ。
パパは抵抗した。「ここね」は可愛い。可愛いが、どうしても女の子感が強い。これから動物病院で名前を呼ばれるたびに「ここねちゃん」と言われ、オスですと訂正する未来が見えた。
しかし、娘も引かない。犬本人は何も分かっていない顔で、ただモフモフしている。妻は「なんでもいい」という顔をしていた。こうなるとパパの立場は弱い。家族会議とは名ばかりで、実際は幼稚園児の情熱に大人が押し切られる場である。
最終的に、妥協案として「ココ」に決まった。
ここね、ではなく、ココ。
娘も満足し、パパもぎりぎり納得できる絶妙な着地点である。呼びやすい。可愛い。しかも、元ネタの気配もほんのり残っている。犬の名前としては、かなり優秀だ。
こうして、ココになった。
あれから何年も経ち、娘のアイカツ熱はどこかへ消えた。カードもたくさん買った。おもちゃも買った。歌も覚えた。なのに今では、あの熱狂が存在した証拠すら、家のどこにあるのか分からない。
一方で、ココという名前は残った。
毎日呼ばれ、怒られ、甘やかされ、布団の中でパパの股を占領しながら、今も当たり前のようにそこにいる。
💬 ……あんだけ買ったアイカツカードより、名前のほうが長持ちしとるやんけ。
🐶 ココのアンサー①:オレ、オスやで🚹
🐶 ココのアンサー②:名前、崩壊中😑
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🐾 ココの自己紹介:トイプー界のチャラボーイ🐶