
今年の二月。
ヨガをやる為に、ぜい肉を落としたい。効率良くぜい肉を落とすには、できるだけ長く歩いたほうがいい。そう思った。
できるだけ長く歩きたいなら、まずは正しく歩く。間違った歩き方は身体の故障を招く。そんな気がした。
そしてそんな気がしている場合、人に直接教わるより、間違いながらでも独学で進めた方が早く身につく。本で探す。ネットで探す。
まず長く歩く為に、ヨガの本に書いてあった「視線のそらし方」を実践する。
左ななめ上を5秒。右ななめ下を5秒。右ななめ上を5秒。左ななめ下を5秒。真上を5秒。真下を5秒。
これをランダムに繰り返す。どこを見るでもなく、全体を見れる。同時に、両腕の力も抜き切っておく。両肩の力をひたすら抜く。
四肢で歩く感覚は薄れて、胴体だけで歩いてるような感覚になる。歩ける距離はどんどん伸びていった。
背筋を伸ばして10km歩いてみる。だが、気持ちいいけど何かが違う。ヒザが壊れそうな気がする。
正しく歩こうと意識するあまり、ヒザが伸びきってスキージャンパーみたいな姿勢で歩いてしまってる。普通に考えても、やがてヒザが壊れる。
その問題の解決を、日本の古武術の本に求めた。柳生新陰流の本いわく、「ヒザをゆるめなさい」と。なるほど、ヒザをゆるめる。かなり楽になる。
そこで思う。もっと根本的に正しい体の使い方ができるようになれないか。すべてが連動した自然な感じで。
別の古武術の本に答えはあった。「一本足のゲタをはきなさい」と。
現代の日本人はスピード重視である「つま先重心」で動いている。でも明治以前は、実はみんな「かかと重心」で動いていた。
かかとに重心があるから、普通の主婦が米俵を何俵も背中に持つ事ができたし、飛脚は一日何十キロも歩き、忍者は飛ぶことができた。
古武術の先生は言う。かかと重心を身につけるには、一本足のゲタが最も効率が良い。一本足のゲタで生活しなさいと。
すぐにAmazonで一本足のゲタを2足注文した。正確には一本足のゲタと同じ効果が出るスリッパ。一足1900円程度。
一足は日常用。もう一足は会社用。6月に入ってから、僕は毎日一本足のゲタで生活するようになった。
家族や職場の同僚はみんな心配した。「一体あなたは何になろうとしているの」。一日一食にしたり一本足のゲタで生活したり、普通じゃないと。
何になろうとしてるって。
うーん、五次元?
うん、五次元になりたい。
それしかない気がする。
(終わり)
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