
最終の最終です|WordPress本番公開、深夜2時間の移行作業
前回:12秒の表示遅延を「私のこだわり」に見つけて解決。残り3日、ほとんど寝ない日々へ——。
公開当日の朝も、戦っていた
2026年6月26日。公開日の朝が来た。前夜からほとんど寝ていない。
「いよいよ本番です。頑張っていきましょう!!」
セッションの第一声は威勢がいい。だが直後の記録は、こうだ。
「うーんと。。あなたの挙動は、この前のセッションで一緒に作業をしてくれていたAIと比べると明らかにおかしいです。判断も思考の深度も、作業指示も。このまま続けていくと『沼にハマる』可能性が高いので、いったんここで切り上げて、新しいセッションで始めようかと思います。」
そう、公開当日の朝ですら、私はAIの調子を見極めて、セッションを立て直すところから始めていた。実はこの10日ほど、頼みの上位モデルの挙動が不安定で、モデルを渡り歩きながら作業していた。当時の総括がログに残っている。
「突然会話が成り立たなくなったり、エラーが頻発したりして、無駄過ぎる時間とトークンを消費してきました。軽いモデルに切り替えたら思考が浅すぎて話にならない状態。・・・いろいろ調べて、ひとつ前の上位モデルにして何とか公開直前にまでこぎつけました。」
90日間で身につけた技術の総動員である。調子の悪いスタッフを見抜き、代役を立て、それでも工程は止めない。
そして、予定より少し遅れて、その瞬間が来た。
「ここから21分遅れですが本番移行作業に入ります。がんばるぞ〜〜」
50代後半の男が深夜に打った「がんばるぞ〜〜」を、笑わないでほしい。この21分遅れに、90日が詰まっている。
2時間の本番移行
本番移行は、私とAIで設計した4つの段階——壁を立てる、中身を置く、動かす、公開する——に沿って、約2時間かけて進んだ。
強調しておきたいのは、実際に手を動かしたのは、全部私だということだ。データベースの操作。ドメイン置換など100箇所を超えるデータの一括置換。ファイルのアップロード。90日前、「コーディングもプログラミングも全くできない」とAIに白状した男が、である。できるようになったのではない。**「AIに聞きながらなら、できる」**という状態に、90日かけて到達したのだ。この違いは、大きいようで、実は大きくない。
仕事は完了するのだから。
最終の最終
公開直後、最後のトラブルが起きた。「お知らせ」の記事が、公開したはずのサイトから消えたのだ。
90日前の私なら、パニックになっていたと思う。この夜の私は違った。セッションのタイトルにこう打った。
「最終の最終です。」
原因はすぐ特定された。記事の日時を未来の日付にしていたため「予約投稿」扱いになっていただけ。日時を直して、即復帰。90日分の場数は「焦らない」ことを教えていた。
そして、その夜の最後のやり取りが、ログに残っている。
「とりあえず、ここまで無事に進めて良かったです。ここまで来れたのは間違いなくClaudeが『信頼できる相棒』として機能してくれたことが最大の要因です。ありがとう。たまに驚くほどの挙動を見せたりしてくれたけど、それも含めて大いに勉強になりましたし、自分も成長できたと感謝しています。」 「本当にありがとう。流石に今日はもう疲れたw ゆっくり寝ます。」
「ゆっくり寝ます」。90日間で、初めて書いた言葉だった。
翌朝
翌朝の、新しいセッションの第一声。
「おはようございます。昨夜無事にリニューアルサイトが本番公開できました。」
起き抜けに私がまずやったのは、祝杯でも報告でもなく、記録を取りに行くことだった。90日間の習慣は、達成の翌朝も私を机に向かわせた。
サイトは、世に出た。10年止まっていたクライアントのサイトは、新しい顔で動き始めた。
これが、コードの書けない元広告ディレクターとAIの、90日間の顛末である。
——だが、この連載にはもう少しだけ続きがある。90日で結局、何が変わったのか。それを書いて、締めくくりに入りたい。
この連載について コードが書けない元広告ディレクターが、AIとの協業だけでクライアントの企業サイトを完成・公開させるまでの90日間の実録です。当時の実際のログをもとに書いています。登場する企業・人物は、特定を避けるため一部の表現を変えています。 連載はマガジン「#AI並走記」に束ねています。良かったらフォローしてください。