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ニイアスに移住しました!

    これは、壮大なファンタジーを描くアイさんによる『猫征』の世界にアイシャが移住させてもらったお話です😊

    アイさんに『移住したい!』と丸投げしたらこんな素敵な人物にしてくれました。

    この物語の世界にいたら、この子はどんな生活をするかな?と妄想してみました😆

    元ネタ⬇️


    ニイアスに移住しました!



    私は、長いこと旅をしていた。

    海を渡り、山を越え、知らない街の石畳を歩いた。

    世界には、美しいものがたくさんある。

    朝日に透ける花びら。
    雨上がりの匂い。
    市場で交わされる知らない言葉。
    旅先の酒場で、誰かがふとこぼした昔話。

    私はそういうものを拾い集めて、詩にした。
    そして、歌った。

    嬉しい人にも、恋をした人にも、故郷をなくした人にも。

    もう何も信じられない、と泣いていた人の隣で、一晩中歌ったこともある。

    翌朝、その人は私に言った。

    「あなたの歌に救われました」

    私は笑った。

    「私は歌っただけですよ。歩き出したのは、あなたでしょう?」

    そうやって私は、また次の街へ向かった。誰かに歌を残して、私だけはどこにも残らなかった。

    ーーーーー

    ニイアスに着いたのは、よく晴れた日の昼だった。


    最初に見えたのは、青い旗だった。
    白い狼が描かれた旗が、風にはためいている。

    その向こうでは家を建てる音がして、荷馬車が行き交い、遠くでは鉄を叩く音が響いていた。

    立派な街だった。
    でも、不思議なことに、完成した街には見えなかった。
    街そのものが、まだ生きながら形を変えているようだった。


    「旅の方ですか?」
    声をかけてきた獣人の女性に、私は頷いた。

    「はい。吟遊詩人です」


    女性は、この街の始まりを教えてくれた。
    最初は、ほんの小さな隠れ里だったこと。

    居場所を失った獣人たちが集まり、家を建て、道を作り、少しずつ街になったこと。

    そして、その始まりは、たった一人の少女の居場所を作るためだったということ。


    私は世界を旅して、たくさんの人に、あなたの居場所はきっとどこかにある、と歌ってきた。


    なのに、自分の居場所について考えたことは、一度もなかったのだ。

    ーーーー


    数日だけ、滞在するつもりだった。
    それが、一週間になった。
    原因の半分くらいは、たぶん本屋だった。

    「また来たんですか?」
    店主のアイさんが笑う。

    「....資料収集です」

    「昨日もそう言ってましたよ」

    「吟遊詩人には大量の資料が必要なんです」

    三日連続で同じ椅子に座っている私を見ながら、アイさんは何も言わなかった。

    たぶん、全部ばれている。
    この店が好きなのだ。本の匂いも、窓から見える街も。

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    そして、ここでは旅をしていなくても、少しだけ世界が広がっていく気がした。

    その店で、ミホさんとも出会った。
    最初は同じ本に手を伸ばしただけだった。

    「あ」

    「あ」

    譲り合って、結局ふたりで笑った。

    それから街を案内してもらって、一緒にパンを食べて、気づけば次の日も会っていた。
    美味しい塩について、色々教えてもらった。

    旅先で友達ができることは珍しくない。

    でも私はいつも、別れの日を知っている。
    ここではなぜか、それを考えなかった。

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    ーーーー


    ある夜、狼の集い亭で歌った。
    昔、泣いていた誰かのために作った歌だった。


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    歌い終わると、店の隅にいた壮年の獣人の騎士が、小さく拍手をした。

    「久しぶりに昔のことを思い出したよ」

    そう言って、少しだけ笑ったその顔を見た瞬間、私は思った。

    この街の物語を、もっと見たい。

    誰が誰を好きになって、誰が喧嘩をして、誰が明日、新しい店を始めるのか。

    それを歌にしたい。
    旅に出なくても、美しいものは見つかるのかもしれない。

    翌朝、私は移住申請書を出した。

    職業欄には、吟遊詩人。
    住所の欄には、ニイアス。そう書いた。

    私の家は、南東の川沿いに決まった。
    木造の小さな家。
    窓を開ければ川の音がして、向こうにはニイアスの街が見える。

    小さな庭と、楽器を鳴らせるテラスもある。
    世界中の宿を渡り歩いてきた私に、初めて『帰る場所』ができた。

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    ーーーー

    その日の午後、いつものようにニイアス書房のテラスで本を読んでいると、妙な視線を感じた。

    顔を上げると、向かいの席に、いつの間にか知らない人が座っていた。じっとこちらを見ている。


    「……あの」
    「さっきから何を見てるんですか」

    返事はない。
    ただ、見ている。

    私はそっと本を閉じた。

    ニイアスでの暮らしは、思っていたより平穏ではないのかもしれない。




    吟遊詩人アイシャは甘いものに目がないため、スイーツを差し入れしてくれると喜びます😆🍰🍮🍓


    あなたなら、獣人とヒューマンが共存するこの街でどんな暮らしをしたいですか?
    どんな職業につきたいですか?


    本編やこの世界が気になった方は、アイさんの「猫征
    の世界へ⬇️


    この記事を書くきっかけをくれたミホさんの記事はこちら⬇️


    アイさんが作ってくれた、ニイアスでのアイシャ⬇️

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    この世界で見つけた美しさを、あなたに届けたい。 日常と物語の間をうろうろしています。 文学とカフェと、真顔でふざける人が好きです。エッセイと小説を書いています。

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