
「ありがとう」 | 駅のホーム | 地図にない灯り
(1,169字✏️2分で読めます✨)
こんにちは、あけみです😊🌷
今回は、雪綴ゆきさんの、
こちらの企画でお届けします↓
この作品は、
わかモンさんのプロンプトで作成しました↓
わかモンさんは、
私にnoteのいろはを教えてくださった方です。
今一番大変な時だと思いますが、
私はわかモンさんにとても感謝しています。
「さすがに小説なんて作れないよ!」という方でも、
私のように小説初心者でも、
簡単に素敵な物語と挿絵を作ることができます!
それでは、私だけの物語を、
どうぞご覧ください😊📕

終電が行ってしまったあとの駅には、
星が降り積もっていた。
彼女は、古びたベンチに腰を下ろした。
長い髪を夜風に揺らしながら、
手の中の押し花のしおりを見つめる。
いつ、どこで手に入れたのだろう。
思い出せそうで、思い出せない。
ただ、花びらの色だけは知っていた。
幼いころ、道端で見つけた小さな花を、
あの人と一緒に本にはさんだことがある。
「きれいだね」
そう言って笑った横顔が、胸の奥をかすめた。
もう会えない人だった。
いつも自分の味方でいてくれた。
失敗しても、泣いても、
何も言わず隣にいてくれた人。
なのに、最後に交わした言葉は、
なんでもない挨拶だった。
本当は、伝えたかった。
ずっと、ありがとう。
けれど、そのひと言は喉の奥にしまわれたまま、
とうとう届かなかった。
ふいに、隣のベンチが小さくきしんだ。
彼女は顔を上げる。
誰もいない。
それなのに、そこだけ空気がほんのり温かかった。
昔、冷えた手を包んでくれた
大きな手のぬくもりを、彼女は思い出した。
線路の向こうに、小さな灯りが揺れている。
駅の案内板にも、
地図にも載っていない場所だった。
しおりの花びらが、かすかに光った。
彼女はそっと目を閉じた。
「……ありがとう」
声に出すと、思っていたよりも、
ずっと優しい響きがした。
風が吹いた。
頬をなでるその風は、
まるで「うん」と返事をするように、
髪をそっと揺らした。
彼女が目を開けたとき、隣の温もりは消えていた。
線路の向こうの灯りも、
いつの間にかなくなっていた。
けれど、不思議と寂しくはなかった。
空には、さっきよりもたくさんの星が瞬いている。
彼女はしおりを胸にしまい、
ゆっくり立ち上がった。
駅の出口へ向かう途中、
暗がりで立ち止まっている誰かを見つけた。
小さな子どもが、
帰り道を探すように辺りを見回している。
彼女は足を止め、微笑んだ。
「大丈夫? 一緒に行こうか」
その声は、かつて自分を支えてくれた人の声に、
少しだけ似ていた。

子どもが笑う。
彼女も笑った。
見上げた夜空に、ひとつ、星が流れた。
もう会えない人は、
いなくなったわけではないのかもしれない。
誰かから受け取った優しさは、
知らない誰かへ渡っていく。
地図には載らない場所で。
言葉にならなかった想いの、その先で。
小さな灯りは、今夜もどこかにともっている。
#地図にない灯り
