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Photo byaoisora374

スクロールのゆくえ

    オレはTalesを開き、
    『読書傾向からのおすすめ』の一番上の作品をクリックした。

    さて、読むぞ〜

    スマホ画面を上へ上へと滑らせて、オレは無心に読み始めた。

    気がつけば、1時間が経過していた。
    目がチカチカする。
    一度も改ページが無かったのだ。

    オレの読書スピードは普通だと思う。
    1分に500文字くらいだろうか。
    1時間で3万文字。

    オレはスマホで読み始めると、改ページがあるところまで休みなく読み進めることにしている。
    例え途中で地震があろうが、読むことをやめたりはしない。

    そろそろ改ページを入れてくれないと、休めない。

    もうすぐ、

    次のエピソード
       ↓

    の文字が現れるはずだ。

    そうすれば、クリックすれば良い。
    クリックすれば休めるのだから。

    電話がかかってきた。

    ミユキからだ。
    コーヒーショップにいたので、マナーモードに切り替えて音を消した。
    留守電に切り替わった。

    「ちょっと、待ち合わせ11時の約束だったよね? あと10分待って来なければ帰るから。二度と会うことはないと思うけど、元気でね」

    しまった😱
    スクロールに気を取られていて、待ち合わせ時間を過ぎていた。

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    オレはスマホ画面に指を密着させたまま立ち上がり、店を出た。
    画面をスクロールし続けなければ、オレの読書は終わらない。

    道路の向こうに苛立つミユキの姿が見えた。
    オレは禁断の歩きスマホで道路を横断した。

    車のブレーキ音が鼓膜を刺激したが、かまっていられない。

    オレはスマホをスクロールしながら歩き続けた。

    道路を渡りきると目の前にミユキがいた。
    腕を組んだままオレを睨みつけている。

    「いつまで待たせるつもり?」

    「Talesでおすすめを読んでいたら、改ページがなくて……」

    「改ページとわたし、どっちが大事なの?」

    「そりゃ、かいペ、いや、ミユキに決まってるだろ」

    「どうだか、あやしいものね」

    「ミユキを喜ばそうと思って、ずっとミユキの誕生日プレゼントを選んでたんだから」

    「おすすめを読んでたんでしょ」

    「女の子を喜ばせるための、おすすめプレゼント記事だよ」

    オレは口からでまかせを言いながら、ようやく現れた

    次のエピソード
       ↓

    をクリックした。

    Talesのトップ画面に戻る。

    なんとか苦境を乗り切った、はずだった。

    そのとき、天から声が降ってきた。
    「うまく落としましたね」

    ​オレは汗を拭きながら答えた。
    「はい、かろうじて」

    ​ミユキが満面の笑みでオレを見ている。

    ​……いや、違う。
    ミユキはオレの顔を見ていない。
    画面の向こうの、「読者」を見ている。

    ​そして告げた。
    ​「正直、すべってると思うよ、この作品」

    ​オレの手から、スマホが滑り落ちた。

    ジ、エンド

    ・・・・・・・

    作法はこれであってますか?

    人見知りなので、知らない場所には近づかないようにしていますが、サンゴっち(sanngo様)がいたので、安全地帯と見なし寄らせていただきました(´ε`;)ウーン…