
仕事から、図面から逃げて、川へ
毎日見ているはずのいつもの景色が、
やけに心へ染み渡るときがあります。
仕事に行き詰まり、
数字や図面ひしめくパソコンから逃げるように、
昼休みの外へ飛び出す日。
向かうのは、職場からすぐそばにある川。
土手に腰を下ろすと、そこにはさっきまでの息苦しいモニターの中とは全く違う、広大な空間が広がっています。

思い返せば、働き出してからこの川の風景を少しずつ写真に撮り溜めていました。






単に美しいからという理由だけではありません。
それは、事務所と家の往復だけの日々で、
毎日また同じ景色だ…
と嫌になって気が狂わないために。
季節の移り変わりを写真に残すことで、
わずかでも記憶という潤いを運んでくれること
を期待している自分がいるのです。
誰にでも見てもらえるけれど、
自分にしか見えない感情のタイムカプセルのようなものかもしれません。
美しい空の色。
ただ止めどなく流れ続ける水。

そんな風景をぼんやり眺めていると、世界は確かに生きていて、私という存在がいかにちっぽけなものかという事実を突きつけられます。
でも、それが不思議と心地いいのです。
極論を言ってしまえば、
私が明日急に仕事を飛んだとしても、
世界は何事もなかったかのように回り続けます。
進行中のプロジェクトも、職場も、結局は誰かがカバーしてなんとか回っていくものです。
そう思えば、今抱えている仕事量にも、
「まあ何とかなるか」
と強張っていた肩の力がふっと抜けていくのを感じます。
(もちろん、そんな無責任なことはしませんが)
私が日々向き合っているのは、
何度でも修正できるけれどそれだけでは完成しない仮想の空間です。
だからこそ、時々はこうして外の空気を吸い、パソコンの中だけでは見えない現実を見つめ直す時間が必要なのでしょう。
水辺を歩く人々や
それぞれの生活の営みを感じながら、
「よし、自分ももうひと踏ん張り生きねば」
と思い、デスクに戻ります。
そんな仕事の合間の
短い短い逃避行のお話。

ちなみに、夏の暑い日に川岸へ降りて、冷たい水に素足をつけながら食べる昼飯は最高におすすめです。
川の中から見知らぬ外国人のおっちゃんがザバッと現れたり、鵜が濡れた翼を広げて乾かしていたり、寝てたら蛇にサワサワっと近づかれたり…🐍
それもまたコントロールできない現実世界の面白さです。
遠くの景色をぼーっと眺めるのは、図面で酷使した目にもすこぶる良いですからね。皆さまご自愛くださいませ。
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