メインコンテンツへスキップ
見出し画像

#12 「なんで、あたし、こうなんだろ」前編 (♪話しかけたかった/南野陽子)

    「なんで、あたし、こうなんだろ」
    サークル「映画同好会」で同期だった、ミホの言葉。

    ミホは、自分と共にサークルの副代表を務めていた。
    はっきりした性格で、物事をズバズバ言うタイプ。
    頑張り屋さんでリーダーシップがあり、みんなから信頼もされていて
    女子メンバーの中ではサークル中心人物だった。

    ミホが幹事の合宿

    大学2年の夏休み。
    歴史の浅い「映画同好会」で、初めての合宿が開催された。
    自然の多い避暑地へ遠出をして、ペンションを4泊5日貸し切り、
    班に分かれて、ショートフィルムを撮影する、という内容だった。

    新歓で入部してくれた後輩たちもサークルに馴染み始めて、
    全員の名前やキャラが浸透し始めたタイミングでの合宿。
    活動のほかにも、BBQ・花火・部屋での深夜トランプなどなど。
    やること全てが楽しかった。
    自分にとって学生で1番の思い出だ。

    この合宿の幹事はミホだった。
    責任感が強く抜け目のない彼女が、
    旅行会社とのやりとりや、会計まわりなど、全て担ってくれたおかげで、
    合宿は大成功だった。

    淡い恋心

    合宿には、もうサークルを引退した先輩たちも来てくれた。
    その中に、ミホが想いを寄せていた人がいる。
    1つ上の先輩・和泉さん。
    とにかく優しく、同性からも好かれるような先輩だった。

    小さなサークルだったため、ミホが和泉さんを好きなことは、誰しも知っていた。
    しかし不器用なところもあるミホは、誰にも気づかれてないと思っていたようだ。
    ただ、誰が見ても分かるぐらい、ミホは和泉さんのことが好きだった。

    ミホは恋愛に関してはかなり奥手のようだった。
    和泉さんにメールはするものの、ご飯に誘ったりはできていないようだった。
    そんなところまで、周囲にはバレていた。

    結果、ミホの想いは、残念ながら成就しなかった。

    目撃談

    「アヤトさん、面白い話聞いてくださいよ」
    合宿3日目のBBQのとき、後輩のムードメーカーキャラのカズヨシが自分に声をかけた。
    「俺見ちゃったんすよ。昨日の深夜、和泉さんとアサミさんが一緒にペンションから外に出てくとこ」

    アサミは、自分やミホの同期。
    和泉さんが、それまでも何度かアサミをデートに誘っていることは
    自分も人づてに聞いていた。

    「そのこと、ミホには言わないであげて」と自分はカズヨシに言った。

    打ち上げでの悲劇

    合宿最終日の夜、ペンションの一番広い座敷で打ち上げが開かれた。
    宿のオーナーが差し入れてくれたフルーツや、
    1年生が買い出しした駄菓子を広げ、みなでワイワイ楽しんだ。
    乾杯の音頭をとったのは、ミホ。
    合宿幹事という大役を成し遂げた彼女を、全員で労う会でもあった。

    深夜2時頃。
    部屋に戻る人もチラホラ出てきて、座敷が半分くらいの人数になったとき。
    突然、酔っ払ったカズヨシが部屋中に聞こえる声で叫び出した。
    「ここで!尋問会を行いたいと思います!!」

    嫌な予感がした。
    カズヨシは、典型的な"飲むとダメになるヤツ"だった。
    止めようとした時にはもう遅かった。
    カズヨシは、部屋の隅にいた和泉さんを指差した。
    「和泉さんに質問です!!アサミさんとは付き合ってるんですかー??」

    和泉さんは、しどろもどろになりながらも「う…うん…」と答えた。
    カズヨシ含め、数人の男子たちが囃し立てた。

    部屋にはアサミもいた。
    突然の出来事に呆然としていた。

    ミホは部屋にはいなかったが、
    最悪なことに、この一部始終を廊下で聞いてしまっていた。

    (続く)


    【この思い出に紐づく歌】
    ♪話しかけたかった/南野陽子 (1987)

    大学生のサークルには恋愛がつきもの。
    そして、三角関係になってしまうこともしばしば…。

    当時 恋をしていた初々しいミホと重なる1曲です。


    [12] 2009年8月の思い出(話しかけたかった/南野陽子)


     
     
    30代。ギリ平成生まれの会社員。 3歳の娘を寝かしつけた後、好きな懐メロ(昭和・平成)について書いてます。 水曜・日曜に更新予定。 ・自分と同じく社会人の方 ・昭和歌謡や懐メロが好きな方 ぜひ読んでいただきたいです。

    あなたへのおすすめ