
なんでSOなるの? Carly Simon Dire Straits Carole King Joni Mitchell Japan Paul McCartney
上記の記事の続きから始めさせていただく。「躁」状態の末期、僕は壮大な妄想に取りつかれていた。簡単に言うと「大阪から全国へ、洋楽を中心とした音楽の発信を行っていくムーヴメントを起こすこと」。具体的な構想も何もなく、ただ熱に浮かされて、賛同してくれそうな人たちに声をかけていった。各レコード会社、FM802、ケーブルTV、雑誌社の若手スタッフに呼びかけ、ある日、懇意にしている中古レコード屋の社長の事務所に20人くらいの人を集めてしまった。思えば、付き合いとはいえ、よくぞ集まってくれたものだ。そこで何を熱く語ったかは今では何も覚えていないが、集まってくれた人たちは文句も言わず、2時間近い会合に耐え抜いてくれた。
それから数日後、東京に帰省した僕は実家で動悸がして動けなくなり、救急車で病院に運ばれた。その1週間後、退院した僕は憑き物でも取れたように数日前の妄想が雲散霧消し、何事もなかったかのように職場に復帰した。
ということで、今回も前回に引き続き、タイトルに「SO」がつく名曲の数々を紹介できればと思う。
「You're So Vain」Carly Simon
今回の曲は必ずしも最初に「SO」がつくとは限らない。ということであれば、最初に思い浮かぶのは、カーリー・サイモンの「うつろな愛」。
退院した僕はうつろな表情で、むなしさばかり感じていた。なんてことはさらさらなく、以前と同じように働いていた。当人が「躁」だったという自覚がないのだから仕方がない。以前と変わらず、「うつろな愛」が収録されたアルバム「ノー・シークレッツ」のジャケットに胸をときめかせ、コーラスで聴こえるミック・ジャガーのいやらしいハモり声に嫉妬を覚えた。
「So Far Away」Carole King
必ずしも最初に「SO」がつくとは限らない、と言ったにもかかわらず、「SO」が最初につく曲が次々に現れてくる。その代表が名盤「つづれおり」に収録されているキャロル・キングの「ソー・ファー・アウェイ」。
当時は気づかなかったが、退院後に「躁」は遠い彼方に行ってしまった。
「So Far Away」Dire Straits
「ソー・ファー・アウェイ」と言えば忘れてはいけないのが、キャロル・キングと同名異曲のダイア・ストレイツの「ソー・ファー・アウェイ」。
実はこの頃のアメリカ型シアター・ロックを意識したダイア・ストレイツの曲はあまり得意ではないのだが、初期の頃のテイストを残したこの曲のことは、例外的に気に入っている。けばけばしい女性よりはナチュラルな女性の方が好きということかもしれない。
「So Bad」Paul McCartney
またしてもタイトルの頭に「SO」がついてる曲になってしまったが、それでも取り上げたいのが、ポール・マッカートニーの「ソー・バッド」。
今までこの曲を忘れてしまってたことは、ひとえに僕が、「とても悪い」。
「躁」がどこかに行ってしまった後も、迷惑をかけていたであろう人たちに謝るわけでもなく、平然と付き合い続けていたことも、今になれば僕が「とても悪い」ことが明白だ。それに比べるとポール・マッカートニーの「ソー・バッド」は題名に反して非常に良いバラードだ。
「Sometimes I Feel So Low」Japan
初期の元気が良かった頃のジャパンの代表曲が、この「孤独の安らぎ」。
多くの男性が初めの頃は「So Low」にならないか心配することがあるが、ジャパンはそんなことを歌っているわけではない。「躁」の後には時々気分が
「So Low」になりそうなものだが、僕に限っては、熱に浮かされたような妄想がなくなっただけで、相変わらず能天気なままだった。一方ジャパンの方は、僕とは裏腹に月日を追うごとに「孤独の影」が増していき、初期の元気さは影を潜めたが、曲のクォリティは徐々に上がっていった。
「You're So Square Baby, I Don't Care」Joni Mitchell
最後はエルヴィス・プレスリーのロックンロールの名曲をジョニ・ミッチェルがカヴァーした「ユー・アー・ソー・スクウェア・ベイビー・アイ・ドン・ケア」でお別れしたい。ジョニ・ミッチェルがこんなにノリノリに歌っているのは、彼女も「躁」気味だった時期の録音なのかもしれない。
「躁」があれば「鬱」があるように、青春時代には「光」と「影」の両方があるのだろう。「青春の光と光」では良い曲になりそうもない。最後なので、「So Long」で締めようと思ったが、「躁」が長く続くといけないので、そうすることは控えさせていただく。ベイビー、俺は気にしないぜ!
2回にわたって「SO」特集を続けてしまった。ジョー・ウォルシュやマイルス・デイヴィスには「So What?(だから、どうした)」と言われそうだし、コント55号のふたりには「なんでそうなるの?」と突っ込まれそうだ。