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社会人になってから26年。
俺が病気で仕事を休んだのは、1週間しかない。

2011年5月。
3月11日に東日本大震災があった。

その後も度重なる余震、原発事故による放射線漏れの心配、計画停電、物資不足などで、日本全体が不安を抱えていた時期だ。

俺は36歳で一人暮らしを始めてから、1年弱。
ゴールデンウィークも、いつもの休日と同様に、電話相談の仕事で教育センターに詰めていた。

昼間。

「ふ、腹痛が痛い」

日本語として間違ってるのも気にならないくらい、腹痛が痛い。
ヘソのあたり。

盲腸?
いや、盲腸は右下腹だったよな。
腹全体に痛みが広がる。

夕方、仕事が終わり、賃貸マンションに帰っても痛みは治まらない。
少し吐く。

明日からスクールカウンセラーの仕事だ。
痛みで眠れず、夜中の1時半頃、休日深夜に受診可能な病院を検索する。

あった。
マンションからクルマで20分くらいの大きな病院。
そこに電話する。

幹「腹痛で我慢できなくて、今から診てほしいんですけど」
病院窓口「明日の朝まで待てませんか?」

明らかにめんどくさそう。
そこを何とか頼み込み、当時の愛車アルテッツァで、腹を押さえながら運転して向かう。

到着。

医師「大丈夫だと思うけど、まあ、一応検査してみようかね」

いや、そのテンションより、もうちょい重いと思うんですけど。

造影剤を用いた検査。
「造影剤使用の場合、0.001%の確率で死亡するリスクがあります」
という書類にサイン。

怖いけど、早く痛みが治まってほしいから、四の五の言ってられない。

結果。
急性虫垂炎(盲腸)。

ホラやっぱり。

医師も態度が変わり、「今から入院しましょう」。

大学生の頃、スケートで捻挫した時以来の車椅子に乗る。
小柄な看護師さんが押してくれる。

幹「重くないですか?」

自分の心配をしろって話。

というわけで、人生初の入院生活が始まった。

アルテッツァは、夜中の駐車場でポツン。
自分で運転してそのまま入院なんて、レアケースだよな(笑)。

医師と治療方針の話。

医「切りますか? 散らしますか?」

なにその寿司屋みたいな質問。
要するに「盲腸を手術で切るか、それとも抗生物質で炎症を鎮めて、保存するか」という選択らしい。

幹「散らしで」

ビビリな俺は、できるだけ手術を避けたい。
そして人生初点滴、丸4日間の絶飲食生活が始まった。

気がつくと、腹痛が右下腹に固定されていた。

医「最初は腹全体が痛むんですよ」
幹「半年前もすごく痛くなって、それは治まったんですが、何か関係はありますか?」
医「あー、それは分からないね」

ちょいちょいタメ口が混ざる横柄な医師だったが、この時は信用できた。
医師でも、分からないことは「分からない」と言う。

知ったかぶりをされるよりも、そのほうが信用できる。
入院中、最初の学びがそれだった。

続く。

 
 
横浜に住む臨床心理士です。 生きやすくなる考え方をしましょう! 仕事やプライベートで気づいたことをもとに、生きやすくなる考え方を見出していきます。 サポート校勤務後、公立小、中、高校で23年間スクールカウンセラー。 元大学非常勤講師。 中3時不登校、通信制高校出身。

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