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昨夜の続きです。

入院生活が始まった翌朝、5つの職場に電話する。
勤務の振り替えを依頼するためだ。

スクールカウンセラーとして勤務している学校は、どこも快諾してくれた。
しかし電話相談員をしている教育センターの課長には、「年休扱いにしてほしい」と言われた。

「検討します」と言ったら話が長くなったので、「すみません、今お腹痛いんですよ」と言って電話を切った。
俺も普段は健康なので、調子が悪い人の状態を想像できるようになりたい。

入院生活は暇だ。
スマホで木の板をずらして外に出すパズルを、エンドレスでやる。

本は読んだっけな。
不思議と膨大な時間をどう過ごしたのかは、よく覚えていない。

特別なことだけ覚えている。
たとえば心電図検査の時、看護師さんが5人くらい来た(笑)。
そんなに必要か?

あとは病院内で服をクリーニングしてもらい、地下に取りに行くと、服を渡す人の手が滑り、服がゴミ箱の中に落ちてしまった。
その人が「ゴメンなさいね、オホホホホ」みたいな態度だったので、イラッとした。

そう、入院中は常にイライラしていた。
理由は単純、腹痛と絶飲食だ。

腹痛はまあしょうがないとして、4日間の絶飲食は辛かった。
なぜ絶飲食する必要があるかって?

腸を休ませるためと、抗生物質の純度を保つためだ。
だからこれも仕方ない。

点滴で水分を摂っているので、尿は出る。
水分管理のためか、自分で尿をトイレで採り、専用の機械に入れる。
これでどれだけ尿が出ているか分かるのだ。

それは良いとして。

食べ物はおろか、水を一滴飲むことも許されない。
そうすると口の中がどうなるか、想像できるだろうか?

ネチャネチャになるのだ。

その口の状態で、院内放送を聞く。

「お食事の時間です」

俺は4人部屋で、基本カーテンを閉めていたが、外で食事が運ばれ、食べている様子が分かる。

ほかの3人はみな初老で、顔見知りなのか、雑談がうるさい。
それもイライラした。

空腹や口の不快感はすぐに限界に達し、飲食解禁まで「あと2日」「あと5時間」とカウントダウンした。

そしてついに、飲み物が解禁になった。

最初は水かスポーツドリンクならOK。
病院の自販機で、スポーツドリンクを買う。

ペットボトルのフタをねじ切り、ひと口喉に落とす。

液体が、喉に、染み込む。

ああ。

人間が水分を摂るって、こういうことなんだね。

幸いそれから15年以上、絶飲食の経験はないので、普段はそんな感覚を忘れている。

しかし「水を飲むのだって、本当はありがたいことなんだ」という感覚は、どこかに持っておいたほうが良い。
それも入院中の大きな学びだった。

続く。

 
 
横浜に住む臨床心理士です。 生きやすくなる考え方をしましょう! 仕事やプライベートで気づいたことをもとに、生きやすくなる考え方を見出していきます。 サポート校勤務後、公立小、中、高校で23年間スクールカウンセラー。 元大学非常勤講師。 中3時不登校、通信制高校出身。

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