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おじさんのアップデート②「日本酒」

    日本酒って、美味いんだけど……
    悪酔いする。
    記憶がなくなる。
    だから、もう飲まなくなった。
    ……これ、「いつの日本酒の話ですか?」


    昔、よく日本酒を飲みました。
    と言っても、今みたいに「日本酒を楽しむぞ」
    という感じではありません。
    仕事が終わって、先輩や上司と飲みに行く。
    「とりあえずビール」のあとに、

    「日本酒いきますか」
    なんてこともある。
    そんな感じです。
    当時の僕にとって、日本酒は、
    「美味い酒。でも、悪酔いする酒」
    でした。
    もちろん、美味しい。
    でも、
    「ものすごく美味しい!」
    というほどでもない。
    それなのに、飲みすぎると翌日が大変。
    記憶が飛んだり、気持ち悪くなったり。
    だから、いつの頃からか、
    「日本酒は美味いけど、
     そこまでリスクを取って飲む酒じゃないな」

    と思うようになりました。
    そして、飲まなくなった。


    あれから、日本酒はどうなった?


    最近、日本酒を飲むことがあります。
    すると……
    「ほう⁉」
    となる。
    なんだか、昔と違う。
    香りが溢れ出す。
    とってもフルーティー。
    甘みもある。
    酸味もある。
    スッと飲める。

    昔、甘口とか辛口とか言ってましたね。
    もちろん今でもあります。
    でも、香りの高いフルーティーな日本酒を飲んでいると、
    なんだか「甘い・辛い」だけでは語れない。
    軸が違う。
    そんな感じがします。
    僕が知らない間に、日本酒の世界で何か起きていたようです。
    もちろん、日本酒そのものが別の飲み物になったわけじゃありません。
    米と水、麹と酵母。
    基本は、昔から変わらない。
    でも、その組み合わせ方や、発酵のコントロール、
    酵母、精米、貯蔵や出荷まで。
    酒造りは、少しずつ変わってきました。

    ~実際、吟醸酒の香りを生み出す酵母の研究は1980年代から行われています。1990年代にも、高い香りをつくる酵母や、より香りのある吟醸酒を造るための仕込み方法など、さまざまな研究が続いていました。~

    でも、
    「1990年代に研究されていた」
    =
    「1990年代に、今のような日本酒が普通に飲めた」

    ではありません。
    そこは別の話なんですよね。


    研究されたものが、すぐ普通になるわけじゃない


    新しいものって、だいたいそうです。
    誰かが考える。
    ↓
    試してみる。
    ↓
    うまくいったり、失敗したりする。
    ↓
    また改良する。
    ↓
    商品になる。
    ↓
    少しずつ広がる。
    ↓
    気がついたら、
    「あれ? これ、普通にあるじゃん」
    となる。

    日本酒も、たぶん同じ。

    ~1980年代には吟醸酒や生酒が人気を呼び、1990年には「清酒の製法品質表示基準」が制定されました。吟醸酒についても、より精米した米を低温でゆっくり発酵させ、特徴的な香りを出すための技術が発展してきたことが、国税庁の資料にも書かれています。~

    ~そして、実際に消費者が買う「市販酒」がどうなっていたのかについても、国税庁は1977年から全国調査を続けています。~

    つまり、
    研究する人がいて、
    造る人がいて、
    飲む人がいて。

    その間を、
    何年も何十年もかけて、日本酒は少しずつ変わってきた。
    そう考えると、
    「俺が日本酒を飲まなくなったから、日本酒もそのまま」
    ではなかったんですよね。
    僕が知らなかっただけでした。


    昔の日本酒がダメだった、という話じゃない


    ここは、ちょっと大事です。
    昔の日本酒が悪かったわけじゃありません。
    僕らが日本酒を飲んでいた頃には、
    「淡麗辛口」
    という価値観がありました。
    スッキリしていて、料理の邪魔をしない。
    これはこれで、確かに美味しい。
    僕も好きでした。

    だから、
    「昔の日本酒はイマイチだった」
    と言いたいわけじゃない。
    むしろ、
    その時代には、その時代の美味しさがあった。
    ただ、その後も酒造りは続いていた。
    新しい酵母を試したり。
    米を変えたり。
    精米を変えたり。
    発酵の仕方を工夫したり。
    保存や流通の方法を考えたり。
    いろんな人が、いろんな方向に試してきた。

    その中から、
    「お、これいいじゃん」
    というものが残っていった。
    そして今、僕たちはその結果を普通に飲める。
    そういうことなんじゃないでしょうか。


    じゃあ、今の日本酒を飲んでみる?


    ここまで読んで、
    「じゃあ、何飲めばいいの?」
    となるかもしれません。
    昔なら、「越乃寒梅」やら「久保田」と言うところですが、
    僕なら、まずこのあたり。
    「風の森」


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    そして、
    「作」

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    です。
    どちらも僕自身が飲んだことがあります。
    結構メジャーです。

    だから、
    「最近はこういう日本酒があるらしいですよ」
    ではなく、
    「僕は実際に飲んで、こう感じました」
    と言える。

    「風の森」は、1998年に地元・奈良の秋津穂を使った
    「搾ってそのままの生のお酒」として始まったそうです。
    現在も無濾過の生酒に特化し、
    開栓直後には発酵由来の自然な炭酸ガスによる、
    プチプチとしたフレッシュ感を楽しめます。
    時間が経つと、そのガスが落ち着いて、
    米の旨みや甘み、酵母がつくる果実のような香りや酸味が見えてくる。
    これなんか、
    「昔の日本酒しか知らないおじさん」
    には、結構面白いと思います。

    一方の「作」は、香りの華やかさだけじゃない。
    蔵元は「柔らかな味わいとキレ」「クリアで洗練された透明感」を特徴として挙げています。
    酒屋で見かけたら、
    「あれ?」
    となるかもしれません。
    昔の日本酒のイメージとは、ちょっと違う。


    もちろん、飲みすぎれば酔います


    ここは、ちゃんと言っておきます。
    「今の日本酒は悪酔いしません」
    という話ではありません。
    そんな魔法のような酒はありません。
    酔う原因になるのは、結局アルコールです。

    でも、僕自身が今の日本酒を飲んでみると、
    「昔感じていたものと、ちょっと違うな」
    と思います。
    もちろん、これは僕個人の感覚です。

    厚生労働省も、酒の影響を考えるときには
    「何を飲んだか」より、摂取した純アルコール量を
    見ることが重要だとしています。
    だから、
    「今の日本酒なら、いくら飲んでも大丈夫」
    ではない。

    そうではなくて。
    「日本酒=昔飲んでいた、あの酒」
    と決めつけるのは、ちょっともったいないんじゃないか。
    僕が言いたいのは、こっちです。


    「それ、いつの日本酒ですか?」


    僕らは、経験が増えました。
    だから、
    「これはこういうもの」
    と判断するのも早い。

    それは悪いことじゃありません。
    経験があるからこそ、判断できる。
    でも、ときどき。
    その「こういうもの」が、
    10年前のものだったり、20年前のものだったりする。
    日本酒だってそう。
    僕の中にあった、
    「美味いけど悪酔いする酒」
    という日本酒のイメージ。

    それは、

    「僕が昔飲んでいた日本酒についての
     バイアスがかかった記憶です。」


    今の日本酒についての情報ではありません。
    そう考えると、
    「日本酒は飲まない」
    ではなく、
    「今の日本酒も、一度くらい飲んでみようかな」
    くらいでいいのかもしれません。
    昔の良さがなくなったわけでもない。
    今のほうが100点だ、と言いたいわけでもない。

    ただ、
    昔とは違うものも、ちゃんと増えている。
    それなら、一度くらい試してみてもいい。
    僕は、そう思っています。


    「日本酒、久しぶりに飲んでみるか」


    そう思ったら。
    まずは、風の森。
    あるいは、作。
    このくらいからで、いいんじゃないでしょうか。
    僕も、久しぶりに飲んでみます。
    ……いや。
    もう飲んでますけどね(笑)。
    おじさんのアップデート。
    次は、何をアップデートしようかな。


     
     
    仕事も家族も大切にしてきた。 これからは自分自身もアップデートしていきたい。 50代のおじさんが、 「これ、今はどうなってる?」をロジカルに研究します。 脱・メンタル論。 ※本文は太字だけ読んでも何となく分かるようにしてます。 お急ぎの方は太字だけでも読んでいってください。

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