
Vintage 30の「Vintage」は、何の復刻だったのか。部品ではなく、コーンの動きを測って作り直した
Vintage 30。
ギターアンプのキャビネットに、これほど何度も載ってきたスピーカーはそう多くない。モデラーのキャビネット一覧にも、IRのファイル名にも、必ずと言っていいほど出てくる。
名前は素直に読める。ヴィンテージ。30。
だから、こう受け取られやすい。古い名機のスピーカーを、当時のまま作り直した製品である、と。
これは、正確ではない。
1986年にCelestionが行ったのは、古いユニットと同じ部品を並べ直すことではなかった。古いユニットが、どう動いているかを測ることだった。
そして、測った挙動を、まったく別の材料で組み直した。
復刻という言葉の中には、少なくとも二つの違う作業が入っている。この一本は、その違いがはっきり見える例である。
1986年に、何が足りなかったのか
まず、当時の状況を押さえておく。
1980年代半ばのギターアンプは、出力もゲインも上がりきっていた。100Wのヘッド。多段の歪み。それを何時間も鳴らす使われ方。
スピーカーの側は、その要求に対して二つの方向で応えていた。
一つは、耐える方向である。
G12T-75は、Greenback系の高出力版として1980年代に作られたユニットで、許容入力は75W。後にはさらに上の許容入力を持つ型が続く。アンプが大きな歪みを作り、それを破綻させずに受け止める終端としてのスピーカーである。
この方向で言えば、1986年の時点で問題はほぼ解決していた。壊れないスピーカーは、もうあった。
だが、もう一つの問題が残る。
耐えることと、良い音であることは、同じではない。
1950年代末から60年代にかけて使われていたユニット——アルニコ磁石のBlue、その後のGreenback——には、演奏者が価値を認めた鳴り方があった。小さな許容入力の中で、コーンが素直に動き、早い段階から音そのものが押し出される感触である。
しかしBlueは15W級であり、アルニコの価格を理由に1970年代には一度生産から退いていた。Greenbackも大出力の現場では余裕がない。
つまり、こういう状態だった。
耐えるスピーカーには、欲しい鳴り方がない。欲しい鳴り方をするスピーカーは、耐えられない。
Vintage 30は、この二つの間に置かれた製品である。
この先は、CSL公式サイトの全文で続けている。
「復刻」には、二つのやり方がある
コーンを「測る」とは、何を測ることか
測った動きを、別の材料へ移す
名前より先に、モデリングがあった
復刻されたものが、復刻の対象になる
まとめ
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