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インドネシアはWebtoonを読む国から作る国へ

    インドネシアは、Webtoonの読者が多い国として語られます。しかし、現在起きている変化は読者数の増加だけではありません。

    現地の作家を育て、作品を制作し、海外企業と共同でIPを作る。インドネシアは、Webtoonを消費する市場から供給する市場へ移ろうとしています。

    こちらでも書いています。

    300人超の作家と70作品超

    韓国コンテンツ振興院のインドネシア企業調査では、Kisai Entertainmentが同国初かつ最大規模のWebtoon制作会社として紹介されています。

    同社は7年間で、東南アジア各地の300人を超えるアーティストと協力し、70作品を超えるWebtoonを制作しました。

    2024年には、日本のWebtoon企業ソラジマとインドネシア企業から、同国業界で最大規模とされる100万ドルの投資を受けています。

    専門人材を育てる段階へ

    Kisaiは韓国のYLAB Academyと協力し、インドネシア初のWebtoon専門アカデミーを2025年に開設予定とされました。2025年3月には作家育成プログラムも実施しています。

    作品を輸入して翻訳するだけなら、現地の制作人材は増えません。アカデミー、編集、脚本、作画、制作管理が揃うことで、国内で継続的に作品を生み出せるようになります。

    日本企業にとって競争相手か、パートナーか

    インドネシアの制作会社が成長すると、日本作品の競争相手が増えるようにも見えます。

    一方で、現地市場向けの共同制作、作画協力、翻訳、縦読み化、背景制作といった協業の可能性も広がります。

    重要なのは、安い制作拠点として見るのではなく、現地の物語とファンを理解するIPパートナーとして向き合うことです。

    インドネシアらしい作品とは

    人口、宗教、民族、都市と地方の差が大きいインドネシアでは、生活の題材が豊富です。

    学校生活、家族関係、都市の若者文化、地域の伝承、ホラーといった要素は、海外作品の翻訳だけでは十分に表現できません。現地作家が中心にいることで、読者が自分の生活と重ねられる作品が生まれます。

    数字から見える産業の段階

    300人超のアーティストと70作品超は、Kisai Entertainment一社の実績として紹介された数字です。インドネシア全体の作家数や市場規模ではありません。また、100万ドルの投資がどの期間に、どの事業へ使われたか、投資後の売上がどれだけ増えたかは、公開情報だけでは判断できません。

    それでも、個人作家が投稿する段階から、会社が複数作品を同時に管理し、人材育成へ投資する段階へ進んでいることは分かります。縦読み作品は、作画だけでなく、脚本、絵コンテ、着彩、背景、編集、品質管理を分業することがあります。作品数が増えるほど、個人の才能だけでなく制作工程を管理する人材が必要です。

    アカデミーの開設予定についても、開校した事実、修了者数、就職実績は別に追う必要があります。計画発表だけで人材不足が解決したとは言えません。今後は、育成された作家が継続的に報酬を得られるかを見ることが重要です。

    制作拠点化に伴う課題

    産業が成長すると、納期と低価格を優先する受託競争が起こる可能性があります。作家一人あたりの作業量、報酬、著作権、クレジット、連載終了後の扱いを明確にしなければ、作品数が増えても持続可能な市場にはなりません。

    共同制作では、誰が原作権を持つのか、海外翻訳や映像化を誰が決めるのかも重要です。日本側が資金と配信網を持ち、インドネシア側が制作するだけでは、現地にIPが残らない場合があります。利益だけでなく、権利と意思決定を共有する設計が必要です。

    日本企業が始めやすい協業

    最初から長期連載を共同制作するより、短編や読み切りで検証する方法があります。インドネシア語と日本語で同時公開し、完読率、コメント、キャラクター人気を比較する。現地編集者がテーマ選びに入り、日本側が海外配信と権利管理を支援する形です。

    ホラー、学園、恋愛など、両国で読まれるジャンルでも、家族観や宗教表現は異なります。日本語原稿を翻訳するだけでなく、企画段階から現地の読者像を入れることで、表面的ではない共同作品になります。

    インドネシアを巨大な読者市場としてだけ見ると、現地企業が制作力を持ったときに初めて競争相手として気づくことになります。今の段階から作家、編集者、スタジオの動きを追うことが、次のWebtoon市場を理解する近道です。

    まとめ

    インドネシアのWebtoon市場で注目すべきなのは、読者の多さだけではありません。

    100万ドルの投資、300人超の作家ネットワーク、専門アカデミーの動きは、制作産業が育っていることを示します。日本企業に必要なのは、作品を売る相手としてだけでなく、一緒に作る相手として市場を見ることです。

    参考資料

    ※投資額や制作実績はKOCCA資料に掲載された企業情報

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