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コーヒーは「発酵食品」じゃない。でも、発酵なしでは語れない話

    あなたは、ワイン好きの友人に「コーヒーも発酵してるんでしょ?」と聞かれて、答えに詰まってしまった経験は無いだろうか。

    調べてみたら想像以上に「似て非なるもの」だった。

    ワインは「発酵の結果」を飲む

    ブドウの糖を酵母がアルコールに変える。数日から数週間、菌が働いた結果がそのままグラスに入る。発酵が主役で、シンプルでかっこいい。

    味噌は「発酵した本体」を食べる

    麹菌が大豆のタンパク質やデンプンを分解して、旨味と甘みをつくる。そこに酵母や乳酸菌が加わり、数か月から数年。菌たちの仕事場ごと、いただいている。

    コーヒーは、ちょっと変な立ち位置

    収穫したコーヒーの実は、果肉と種(豆)の間に、ぬるぬるしたミューシレージというものがくっついている。これを取り除くために水槽に浸けておくと、酵母や乳酸菌が勝手に増えて、ミューシレージを分解してくれる。時間はだいたい半日から一日半。

    つまり、発酵の相手は豆じゃない。豆のまわりのぬるぬるなのだ。

    しかもそのあと、豆は洗われて乾かされ、最後は200℃前後で焙煎される。菌はもちろん全滅する。ワインや味噌みたいに「菌がつくったもの」を味わうわけじゃない。発酵中に生まれた酸や香りの成分が豆に影響した、その痕跡を、焙煎で花開かせている。

    違いを一言でいうと

    • ワイン:発酵の「結果」を飲む
    • 味噌:発酵した「本体」を食べる
    • コーヒー:発酵の「痕跡」を焙煎で引き出す

    こう並べると、コーヒーだけ間接的で、ちょっと奥ゆかしい。

    最近のコーヒーは、他の発酵から学んでいる

    空気を遮断して発酵させるアナエロビック、ワイン造りの炭酸ガス浸漬(カーボニックマセレーション)の応用、麹菌を使った実験的な豆まで出てきている。コーヒー業界は今、ワインや味噌の先輩たちに弟子入りしている最中なのだ。

    初めて発酵系のコーヒーを飲んだとき、思わず笑ってしまった。「え、これ本当にコーヒー?」と。ラム酒のような、熟した果実のような、あの香り。正直、好き嫌いは分かれると思う。私は最初の一口で戸惑って、三口目で好きになった。

    もし次にコーヒー屋さんで「ナチュラル」「アナエロビック」という言葉を見かけたら、ぬるぬるの果肉と微生物たちの、半日の仕事ぶりを思い出してほしい。いつもの一杯が、ちょっと違って見えるはずだ。

     
     
    スペシャルティコーヒーの自家焙煎を始めました。 新しい発見や驚きの連続に、ワクワクが止まりません。 コーヒー好きが高じて、毎日コーヒーのことばかり考察中。 あなたの一杯が、もっと好きになるきっかけを届けます☕

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