
「アニメの9割はマンガが原作」って本当?──多様化する日本アニメの現在地
「アニメの90%はマンガが原作だ」
この言葉、どこかで聞いたことありませんか? 日本のアニメを語るとき、よく出てくるフレーズですよね。でも実は、この数字、じつは誤解なんです!
マンガDXのスタートアップ「コミチ」のCEOとして毎日マンガ業界と向き合う中で、「なんとなく聞いた話」じゃなくて「ちゃんとしたデータで物事を見る」大切さをヒシヒシと感じます。
そこで今回は、データや参考資料を元に、「アニメとマンガの本当の関係」を探ってみたいと思います。
アニメの原作、実際のところどうなの?
まず、「アニメの90%はマンガが原作」って言われてるけど、実際どうなの?って話。
日本社会学会の増田のぞみさんの研究によると、1963〜2010年の全テレビアニメを調べた結果、マンガ原作は約35%、アニメオリジナル作品が約30%、小説原作が約10%、ゲーム原作が約7%、玩具・キャラクター商品企画が約2%、その他10%、不明6%だったそうです。

さっそく「9割」ではなかったですね。
もっと最近のデータ、2016〜2017年放送のアニメ393作品を海外のアニメファンが調べた結果でも、マンガ原作は約40.7%、オリジナルアニメが26.5%、ライトノベル原作が約9.7%、ゲーム原作が約12.7%、小説原作が約4.8%、その他が約5.6%という結果でした。
これも全然「9割」じゃないですね!
じゃあ、なんでみんな「アニメの90%はマンガ原作」だと思ってるんだろう?
まず思い当たるのは「印象バイアス」。人気アニメの多くがマンガから生まれてるから、そんな気がしちゃうんですよね。
あと「原作付きとオリジナルの混同」もあります。確かにアニメ業界では既存IPを使った作品が多いけど、その「既存IP」にはライトノベルやゲームなどマンガ以外のメディアもたくさん含まれています。
「長寿アニメ」の影響も大きいのかもしれません。『ドラえもん』や『ONE PIECE』みたいなマンガ原作の人気シリーズが何年も放送されます。その一方で、オリジナルアニメは1クールで終わるケースが多いんです。
だから「今やってるアニメ」で見れば、マンガ原作の割合は高くなるかもしれません。でも、作品数で数えたら、全然9割にはならないんですよね。
マンガ原作以外でもヒットした作品はある
過去10年くらいの流れを見ると、すごく面白い変化が起きています。
最近の大きなトレンドは「ライトノベル原作アニメの台頭」。2010年頃はラノベ原作はまだ少なかったけど、「異世界転生」とかラノベ発のヒット作が爆発的に増えました。

2018年ころに年間20本ちょっとだったラノベ原作アニメが、2023年には約60本と3倍近くになったらしいです! テレビアニメ全体で見ると、ラノベ原作の比率が2010年代初頭の1割未満から2020年代には2割前後にまで伸びてきたってことです。
マンガ原作はまだまだ最多を保ってるけど、その比率は相対的に少しずつ下がってきています。アニメ本数自体が増えてるし、原作の供給源が多様化してるからですね。
それでも、マンガ原作は今でも30〜50%くらいで、アニメ原作の中心的存在であることに変わりはありません。
さらに最近は、紙の雑誌連載じゃなくWebマンガ(縦スクロールコミックとか)やウェブ小説から生まれるヒット作も増えてきています。2022年春アニメでは、紙の雑誌掲載作品が全体の40%、ネット発作品が25%を占めたという分析もあるぐらいなんです。
では、ビジネス的な成功という観点はどうでしょうか?
国内市場では、少年向けマンガ雑誌で人気を博した作品がアニメ化され大ヒットするパターンがよくあります。『鬼滅の刃』『進撃の巨人』なんかは、マンガでも注目されてたけど、アニメ化で一気に社会現象になりましたよね。
コロナ禍だったという背景もありますが『鬼滅の刃 無限列車編』は、なんと興行収入404億円という歴代1位の記録を打ち立てました。

マンガ原作は、国内ファン層の裾野が広いから、メディアミックス展開でお互いの売上を相乗効果で押し上げる傾向があります。
でも、オリジナルアニメや非マンガ原作から生まれる予想外のヒットも見逃せません!
特に劇場アニメでは、ジブリ作品や新海誠監督作品みたいなオリジナル映画が国内外で大成功してますよね。原作のない宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』は316億円で国内歴代2位、新海誠監督の『君の名は。』も251億円で歴代3位ですから。
映画の興行収入ランキングのトップ10を見ると、「少年ジャンプ系のマンガ原作」「ジブリのオリジナル作品」が多くを占めています。ジブリといえば、OpenAIのアップデートで世界中に「ジブリ風画像」があふれて様々な議論を呼び起こしたことが記憶に新しいですね。

マンガ原作以外でヒットした作品を以下に挙げてみます。
『機動戦士ガンダム』シリーズ(1979年〜):テレビ発のオリジナルロボットアニメが一大産業に発展!
『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズ(1995年〜):深夜アニメブームの先駆けとなった伝説的作品
『ポケットモンスター』(1997年〜):任天堂のゲームを原作とする国民的人気アニメ
『涼宮ハルヒの憂鬱』(2006年):ラノベ原作で国内外の大ヒット
『魔法少女まどか☆マギカ』(2011年):口コミで広がった衝撃的な展開と高品質な演出が話題を呼ぶ
どれも知らない人が少ないぐらいの大ヒット作品ばかりですね。こうしてみると、「どの原作が有利か」は一概に言えないことがわかります。
マンガはファンの熱意で広がっていく
オリジナル作品は大成功すれば独自IPとして巨大なリターンを生み出せる一方で、既存ファンという下地がない分のリスクも少し高いんですよね。
ライトノベルやゲーム原作は最近のトレンドに乗ったヒットが出やすいけど、当たり外れが大きかったり、原作を限られた時間でうまくアニメ化するのが難しかったりする課題もあります。
だから製作委員会方式では、まだまだ人気原作付き企画が好まれる傾向にあります。マンガ原作は知名度が高くてファン層も厚いから安定したヒットが期待できる。
さらには、マンガのキャラクターたちは、単に作品の中に留まるだけではありません。熱心なファンに愛されることで、その活躍の場は多岐にわたります。
魅力的なキャラクターは、キーホルダーやフィギュアといった様々なグッズとなり、日常に彩りを与えます。また、クレーンゲームのプライズとして登場すれば、獲得を目指すファンによって新たな熱狂を生み出します。作品への愛情を示す表現として、ファンによるコスプレという形で現実世界に現れることも珍しくありません。
このように、マンガはファンの熱意によって、様々な場所に浸透していく力を持っていると思います。
最後に
私たちのマンガDXというビジネスに引きつけて考えると、マンガは「作品そのもの」の魅力を引き出すのと同時に、「ファンの体験」をどう設計するかが超重要だと感じます。
私たちコミチが「Webマンガとグッズの連携」にチャレンジしたのも、作品の世界観を追体験できる「ファングッズ」こそが、ファンにとって大切なものだと思ってるからです。
コミチが目指す「マンガを世界に知らしめる」というミッションは、多様な原作生態系の中で、マンガというメディアの魅力をさらに高めていくことです。私たちがいちばん、マンガの可能性を信じるチームでありたいと思っています。
マンガDXのスタートアップ「コミチ」は、いっしょにIPOを目指す仲間を募集中です。特にマンガメディアのプロデューサーやアナリスト、テックリード/エンジニアを急募しています。売上は前年同月比2.9倍、MAU500万超、会員数200万超の急成長スタートアップです。カジュアル面談からでも、ぜひお声がけください!(詳細は下記HPをご覧ください)