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【風まかせ文芸部】『7月32日』【ホラー】

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    ​ようこそ、皆さま! セイウチです。

    今日も波打ち際を散歩していたら、いい感じのボトルメッセージを見つけちゃいました。

    ​お気に入りの深煎りコーヒーを片手に、さっそく栓を抜いてみましょうか。

    ​今回の中に詰まっていたのは……どうやら、あるオカルト雑誌の編集者さんが遺した「取材メモ」のようです。

    ​それでは、奇妙な漂流記のページを開いてみましょう。

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    ​「7月31日の23時59分、四ツ辻の道祖神前で自撮りをすると『7月32日』の世界に取り込まれる。」

    ​オカルト雑誌の編集者である私は、そんな使い古されたような都市伝説の取材のため、人里離れた山あいの村へと足を踏み入れていた。
    ​昼間の聞き込みでは、これといった収穫はなかった。
    近くの村人に尋ねても「そんな話は聞いたことがないねぇ」と首をかしげるばかりだった。
    しかし、村人は去り際にふと思い出したようにこう付け加えたのだ。

    「そう言えば……昔、その道祖神の奥にもう一つ村があったはずだが……。」

    役所の古い資料には確かにその村の記録が残っていたが、現地をどれだけ探しても痕跡すら見つからなかった。
    まるで村ごと地図から消えてしまったかのように。


    ​◇

    ​夜が更け、いよいよ例の時間が近づいてくる。
    草むらからは虫の合唱と、時折夜行性の動物が跳ねる音が響いているだけだ。
    闇の中にぽつんと佇む古い道祖神。
    ここが、噂の四ツ辻だ。
    ​手元の時計の針が23時59分を指した。

    「……いよいよだな」

    ​私は首から下げたインスタントカメラを構え、自分と道祖神が収まるようにレンズを向けた。

    ​(3……2……1……カシャッ)

    ​白いフラッシュが一瞬だけ闇を切り裂く。
    ほんの一瞬、網膜に焼き付いた視界の中で、道祖神の表情がわずかに歪んだような気がした。

    ジーッと鈍い音を立てて、カメラの吐き出し口から1枚のフィルムが押し出されてきた。
    ​周囲が気になり辺りを見渡す。

    ……何も起きない。

    風が木々を揺らし、虫の声が聞こえるだけ。
    空間が歪むわけでも、異形が現れるわけでもない。
    都市伝説なんてこんなものか、と吐息をつく。
    ​フィルムを手にして約一分半、闇の中でじわじわとぼんやりとした像が浮かび上がってきた。

    ​そこに写っていたのは——ー……

    ​あわてふためき、顔を歪めて助けを求めて叫んでいる、「私自身の姿」だった。

    ​写真の中の「私」と目が合った瞬間、【カメラを手にしていた“私”】は、満足そうにニヤリと口元を歪め、写真をそっと胸ポケットへしまい込んだ……。



    (了)

    ​

    ※この物語はフィクションです。
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    最後まで読んでいただきありがとうございます!

    今回初めて【i】さんの「風まかせ文芸部」企画に参加させていただきました!

    是非、また機会がありましたら参加させていただけると嬉しいです♪


    毎週火曜日に自分の作品を投稿、企画に参加させていただく時は不確定的に投稿しています!


    気に入った方は是非スキやフォロー、シェアしてもらえると嬉しいです。


    ↓こちらの企画に参加させていただきました!


    ↓『7月32日』後編


    ↓今までの #風まかせ文芸部 企画参加 作品集


    現在連載中❗『世界でいちばん遠回りな呪いの殺し方』 〜10年かけて俺を殺すはずの黒羽さんが、婚姻届を出してくるまで〜
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    寄せては返す波打ち際で、流れ着いたボトルメッセージを拾い集めるセイウチです。 ​ここに並ぶショートショートや日記は、すべて海が運んできた「誰かの漂流物」。 いつかあなたの心に届く言葉が見つかりますように。 ゆっくりしていってください。

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