
連続達人事件【毎週ショートショートnote】
先に秋田柴子さんのこの物語を読み連続してお読みいただけると嬉しいです。
※【はじまります】
田原翔斗のせいで。
『スーパーたらは』で働く、原田翔也、二十一歳は唇を噛んだ。
『田原は特別』とわかっていても、他の店員に求められるレベルも上がっている気がしてならない。
4番レジにいる原田は、スピードをレジのスピードを落とし5番レジ田原を見た。
(早い。早すぎる)
原田の手元からポロリとパンが床に落ちる。
「申し訳ございません!!」
「ね、商品変えてくれる?あー5番レジに並べばよかった」
神経質そうな女性客はため息混じり。
優秀な人材は、人災を起こす。
田原のせいだ。
原田はダンボールをカッターで素早く開けながら思いだす。
客も店員も、田原を見てから原田を見ることを。
田原原田田原原田。
間違いない。昨日も今日もその視線を感じた。
せめて名前だけでも似てなければ。そんなことを考えつつ、原田はお菓子を陳列していく。
そこへ田原がくる。
「あのさ、こんなこと言っていいのかわからないけど」
原田は構える。ついに田原から仕事のクレームか。目を落としたまま返事をする。
「何?」
「原田さん、品出しが早すぎ。かつ綺麗。達人すぎて、みんな困ってるんです」
【完】
※※
秋柴さんのストーリーに刺激を受けて久しぶりに書きました。