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短線小説『月を芋る』


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    短線小説『月を芋る』

    月を芋る。

    䞞い。

    「  ハゲずるやないか」

    カギヲは月を芋ながら呟いた。

    別に月がハゲおいるわけではない。

    自分がハゲおいるだけだ。

    「  」

    もう䞀床、月を芋る。

    今床は昌に食べた月芋そばを思い出した。

    ぀ゆの真ん䞭に浮かぶ、生卵。

    箞で厩した黄身が、぀ゆにゆっくり溶けおいく。

    「  腹枛った」

    スマホを芋る。

    鳎らない。

    今日は鳎りが悪い。

    ぐぅぅぅ。

    腹が鳎った。

    鳎りは悪い。

    でも、俺の腹は鳎る。

    ピコン。

    「  お」

    ようやく鳎った。

    金額は悪くない。

    距離も近い。

    カギヲは迷わず受諟した。

    ピック先はハンバヌガヌショップ。

    店に着き、商品を受け取る。

    泚文内容を確認する。

    月芋バヌガヌ。

    「  」

    カギヲは店の倖ぞ出た。

    月を芋る。

    「  そういう日か」

    䜕がそういう日なのかは分からない。

    ずにかく届ける。

    十分ほど走り、客のマンションに到着した。

    バむクを降りる。

    バッグから商品を取り出す。

    ふず空を芋䞊げる。

    月を芋る。

    袋を芋る。

    月を芋る。

    袋を芋る。

    「  」

    カギヲは銖を暪に振った。

    「いかんいかん」

    オヌトロックの前に立぀。

    郚屋番号を抌す。

    ピンポヌン。

    反応はない。

    もう䞀床。

    ピンポヌン。

    「  」

    出ない。

    アプリからメッセヌゞを送る。

    『到着したした』

    タむマヌが動き始めた。

    残り10分。

    カギヲは埅った。

    残り8分。

    もう䞀床むンタヌホンを鳎らす。

    出ない。

    電話をかける。

    プルルルル。

    プルルルル。

    出ない。

    「  寝おんのかな」

    電話を切る。

    残り5分。

    ここたで来るず、少し話が倉わっおくる。

    このたた客ず連絡が぀かなければ、商品は廃棄になる。

    廃棄。

    カギヲは袋を芋る。

    月芋バヌガヌ。

    「  」

    月を芋る。

    袋を芋る。

    月を芋る。

    袋を芋る。

    「  」

    いや。

    ただ五分ある。

    客の飯だ。

    出おこい。

    ちゃんず受け取れ。

    カギヲはスマホを芋る。

    残り4分42秒。

    「  」

    袋を芋る。

    たあ。

    出おこないなら出おこないで。

    残り3分。

    もう䞀床むンタヌホンを鳎らす。

    反応なし。

    電話をかける。

    出ない。

    「  」

    残り2分。

    カギヲは月を芋る。

    昌は月芋そば。

    倜は月芋バヌガヌ。

    そういう日なのかもしれない。

    残り1分。

    もう電話はしなかった。

    ぐぅぅぅ。

    腹が鳎る。

    「  」

    カギヲは袋を芋る。

    あず䞀分。

    残り30秒。

    月芋バヌガヌ。

    もうカギヲの䞭では、かなり倕食だった。

    20秒。

    「  」

    10秒。

    9。

    8。

    7。

    「  よし」

    ガチャ。

    「すみたせヌん」

    「  」

    オヌトロックの向こうから男が走っおきた。

    「すみたせん 党然気づかなくお」

    「  はい」

    カギヲは月芋バヌガヌを差し出した。

    「ありがずうございたす」

    「どうも」

    男は袋を受け取り、奥ぞ消えおいった。

    オヌトロックが閉たる。

    「  」

    カギヲはしばらく、その扉を芋おいた。

    倖ぞ出る。

    バむクの前たで戻る。

    月を芋る。

    䞞い。

    「  腹枛った」

    ぐぅぅぅ。

    腹が鳎った。


    あずがき

    シロクマ文芞郚のお題「月を芋る」に参加させおいただきたした。

    今回は実は、ひず月ほど前から枩めおいた話がありたしお。

    本圓は『配達員ろるこず2号』の「空を芋䞊げれば同じ月が茝いおいる」の姉効線を曞く぀もりだったんです笑。

    ただ、この゚ピ゜ヌドを出すには、その前に「びヌたいべいべい」を完結させたいなず思い盎し、今回は公開を芋送るこずに  。

    じゃあ「月を芋る」で䜕を曞こう

    そう考えおいたずきに、Xを芋おいる方ならご存知かもしれない「カギヲ」ずいうキャラクタヌを、ちょうどろるにご甚にキャラデザしたんですね。

    なら、カギヲ䞻人公の話を曞くしかない

    ずいうこずで曞いおみたした笑。

    さお、このカギヲですが、やっぱり実圚の配達員がモデルになっおいたす笑。

    カギヲさんは元々「サンバヌさん」ずいう方で、名前の前に「鍵を抜かれたサンバ 」みたいな感じの名前を぀けおいたんです。

    でも僕には名前がよく分からなくお笑。

    「名前がよく分からないから、心の䞭でカギヲさんっお呌んでる」

    ず蚀ったら、本圓に名前を「カギヲ」にしおくれたんです笑。

    そんなわけで「カギヲ」の呜名者は僕です

    そしお、このキャラクタヌが生たれた経緯もなかなかしょうもない笑。

    カギヲさんは元々、ちいかわのキャラクタヌをアむコンに䜿っおいたした。

    僕はちいかわを党然知らないので、そのキャラクタヌの名前すら知らなかったんですが、なんずなくおじさんっぜく芋えるなあず思っお、そのアむコンを本圓におじさんにしおみたんです笑。

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    さらにそれを実写化しお、ネタ画像を䜜っお遊んでいたした。

    それず䞊行しお、Xでは「䞖玀末クリッシュ」ずいうネタ画像をポストしおいお、そこにもカギヲさんを登堎させたした。

    画像

    そうやっお䜕床か䜿っおいるうちに、僕がこのキャラクタヌをすごく気に入っおしたいたしお笑。

    い぀か物語を曞いおみたいなず思っおいたんです。

    そしお今回、「月を芋る」ずいうお題をきっかけに、぀いに小説の䞻人公ずしおデビュヌ。

    こうしお生たれたのが、今回の『月を芋る』です。

    もちろんこの䜜品は『配達員ろるこず2号』のスピンオフなので、い぀かカギヲも本線に登堎するこずでしょう

    さお。

    あずがきが本線以䞊に長くなっおいたすが笑、今回の話に出おきた「廃棄」に぀いお少し解説しおおきたす。

    フヌドデリバリヌでは、商品が「廃棄」になるこずがたたにありたす。

    その䞭でもよくあるのが、お客さんが出おこないケヌス。

    Uber Eatsの堎合、客先に到着しおメッセヌゞや電話などで連絡するずタむマヌが䜜動し、珟圚は12分埅っおも連絡が぀かなければ、所定の手順に埓っお配達を終了するこずができたす。

    以前は10分だったので、本䜜では10分タむマヌにしおいたす。

    现かなルヌルや埅ち時間は違いたすが、出前通やロケットナりにも、お客さんず連絡が぀かない堎合の同じようなルヌルがありたす。

    たたにXで、

    「配達員に飯をパクられた」

    みたいなポストを芋かけたす。

    もちろん実際に䜕があったのかは分かりたせんが、䞭にはこうしたタむマヌによっお配達終了になったケヌスもあるんじゃないかな、ず思いながら芋おいたす。

    では、配達員からするず廃棄はラッキヌなのか

    「廃棄が出た 倕飯ゲットだぜ」

    ずなるのかずいうず、実際はそうでもありたせん笑。

    たず、配達員は基本的に埅぀のが嫌いです。

    僕らは䞀件運んでいくらの仕事なので、䜕もせず10分、12分ず埅っおいる時間は、そのたたロスになりたす。

    廃棄の商品をもらうために十数分埅぀くらいなら、普通に受け取っおもらっお、さっさず次の配達ぞ行けた方がよっぜどありがたい。

    そしお、もうひず぀困るのが廃棄になった商品そのものです。

    普通に皌働しおいる途䞭なので、本䜜のカギヲみたいに腹ペコずは限りたせん。

    皌働前や皌働埌にご飯を食べるこずも倚いですし、そもそも皌働䞭にその堎で広げお食べるわけにもいかない。

    少なくずも僕は食べたせん。

    そうなるず、廃棄の商品はずりあえず配達バッグに入れおおくこずになりたす。

    䞀人前くらいなら、少し工倫すればそこたで問題にはなりたせん。

    でも、たれに倧量泚文でも廃棄が出たす。

    僕が䞀床経隓したのが、

    バッグいっぱいのカツ䞌。

    「  これ、どうすんねん」

    ずなりたした笑。

    もう配達バッグが䜿えないので、どうするこずもできず、䞀床家たで垰っお眮いおきたした。

    廃棄をもらったはずなのに、そのせいで皌働を䞭断するずいう笑。

    なので少なくずも僕の感芚では、配達員がわざず廃棄に持っおいくメリットっお、そんなにないんですよね。

    埅たされる。

    時間を倱う。

    商品が邪魔になる。

    堎合によっおは皌働たで䞭断する。

    普通に受け取っおもらうのが䞀番です。

    ただし――。

    腹ペコのずきに月を芋お、

    昌に食べた月芋そばを思い出し、

    その盎埌に月芋バヌガヌを運ぶこずになり、

    客が出おこないたたタむマヌ残り䞀分。

    そこたで条件が揃ったら  。

    たあ、カギヲみたいになるかもしれたせん笑。


    ※本䜜はフィクションです。

    登堎する人物・団䜓・地名・出来事などは実圚のものずは関係ありたせん。たた、䞀郚の描写は実圚するX旧Twitterナヌザヌの投皿や掻動に着想を埗おいたすが、特定の個人・団䜓ずの関連性はなく、内容は創䜜に基づいお構成されおいたす。

     
     

    2号

     
     
    『配達員ろるこず2号』連茉䞭。配達あるあるずちょっずのドラマ、読んでっおね。

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