
中学生に「命の重さはどれくらい?」と聞いてみた…
お疲れ様です。
あおぞらです🍵
突然ですが、
みなさんに質問です。
「命の重さは、どれくらい?」
もし、
そう聞かれたら──
あなたなら、
何と答えますか?👂
実はこの質問、
私がまだ若く、
救助隊員として活動していた頃、
中学生たちに投げかけた言葉です。
今日は、
そんな少し昔の話を書いてみようと思います。
中学生が消防署にやってきた
消防署では、
中学生の職場体験学習を受け入れる機会があります。
私が所属していた消防でも、
毎年5〜6名ほどの中学2年生を受け入れ、
3日間にわたり、
消防、救助、救急といった仕事を体験してもらっていました。
将来、
消防士を目指している学生にとっては、
実際の消防の仕事に触れられる、
またとない機会です。
そして、
私たち職員にとっても、
消防という仕事を知ってもらう大切な時間でした。
自分たちの仕事を知ってもらう。
そして、
自分たちの経験を伝える。
それは、
意外とこちら側のモチベーションにもつながるものです💪
ちなみに、
中学2年生というと……
まだまだ、
かわいいんですよね🥰
男の子は、
なぜかモジモジ……👨
女の子は、
比較的ハキハキ……👧
もちろん、
あくまで私の印象ですが(笑)
ちなみに、
中学生時代の私はというと……
間違いなく、
モジモジする側でした😅
「救出、はじめ!」
職場体験の中で、
中学生たちに体験してもらっていた訓練があります。
それが、
救助訓練です。
訓練塔の高さは約7メートル。
高所に設置された鉄パイプにロープを通し、
そのロープは地上まで垂れています。
その先には、
救助用の縛帯を装着した要救助者。
今回は、
中学生たちの力で、
その要救助者をロープを使って引き揚げてもらいます。
いわゆる、
引揚救助訓練。
準備が整い、
いよいよ──
「救出、はじめ!」
の合図。
中学生たちは、
一斉にロープを引き始めます。

……重い。
最初は、
みんな元気です。
「せーの!」
「よいしょ!」
声を掛け合いながら、
一生懸命ロープを引きます。
ところが……
重い。
とにかく、
重い。
思ったように、
要救助者が上がっていきません。
少しずつ、
中学生たちの表情が変わっていきます。
腕が疲れる。
手が痛い。
握る力がなくなっていく。
そして、
次第に……
心まで折れそうになっていく。
「もう無理かもしれない」
そんな空気が、
少しずつ漂い始めます。
ついには、
救出を諦めようとする子も。
そこで──
救助隊員の登場です。
もちろん、
優しく見守るだけでは終わりません(笑)
「大切な人を思い浮かべてみろ!」
「そんなんで諦めるのかよ!」
喝が飛びます。
今振り返ると、
なかなか熱いですね🔥
でも、
当時の私たちは、
人命救助という仕事に、
本気でした。
だからこそ、
つい力が入る。
つい、
声も大きくなる。
そして、
いよいよ──
あの言葉が出ます。
「これが、命の重さだよ」
ロープの先にいるのは、
ただの「重り」ではありません。
一人の人間です。
もし、
そこにいるのが、
自分の家族だったら。
大切な友人だったら。
愛する人だったら。
簡単に、
「もう無理です」
と、
諦められるでしょうか。
もちろん、
現実の救助活動は、
気持ちだけで何とかなるものではありません。
安全管理。
救助技術。
資器材。
隊員同士の連携。
さまざまな要素が必要になります。
それでも、
目の前にいる一人を、
何とかして助けたい。
その思いもまた、
人命救助という仕事を支えているものだと思います。
だから、
私は言いました。
「これが、命の重さだよ」
「命の重さは、どれくらいだった?」
残念ながら、
中学生たちだけの力では、
最後まで要救助者を引き揚げることはできませんでした。
途中から職員も手を貸し、
全員で要救助者を救出。
そして、
訓練は終了しました。
その後、
みんなで振り返りをします。
そこで、
私は最初の質問を投げかけました。
「命の重さは、どれくらいだった?」
少しの沈黙。
そして、
中学生たちは口をそろえるように答えました。
「重かったです」
もちろん、
実際にロープを引いたのですから、
物理的にも重かったのでしょう。
でも、
私はその言葉の中に、
それぞれ違った思いが込められているように感じました。
思った以上に大変だった。
途中で諦めそうになった。
人を助けることは簡単ではない。
そして、
もしかしたら──
「命」というものを、ほんの少しだけ感じた子もいたのかもしれません。
中学生にとっては、
少し厳しい体験だったかもしれません。
それでも、
それぞれの心の中に、
何かが残ってくれたらいい。
そんな思いで、
私たちは毎年、
この訓練を続けていました。
そして、年月が流れて──
それから、
長い年月が過ぎました。
私自身、
救助隊から救急隊へ。
さまざまな現場を経験しながら、
人命救助という仕事に向き合ってきました。
そして、
私が消防人生に一区切りをつけようと考えていた頃。
所属に、
一人の新人消防士が入ってきました。
彼女は、
まだ初々しさの残る、
新人消防士でした。
新人職員の自己紹介。
「なぜ消防士を目指したのか」
そんな話になった時でした。
彼女が、
自分が消防士を目指すことになった理由を話し始めました。
そして──
私は、
思わず耳を疑いました。
それは、
中学生の頃に経験した消防署での職場体験の話だったのです。

あの時の救助訓練。
ロープを引いたこと。
そして、
あの時に感じたこと。
彼女は、
その経験が、
消防士を目指すきっかけの一つになったと話してくれました。
……あの時の女の子だった。
あの日、
消防署にやってきた中学生。
一緒にロープを引いた、
あの子。
年月が流れ、
今、
目の前にいる。
新人消防士として。
あの体験。
あの訓練。
そして──
「これが、命の重さだよ」
あの時、
私たちが伝えようとしていたもの。
もしかしたら、
ちゃんと届いていたのかもしれない。
そう思った瞬間、
胸の奥から、
いろいろな思いが込み上げてきました。
少しだけ……
目から汗も出ました。
いや。
たぶん、
結構出ていました😭
あの訓練は、正解だったのか
正直なところ、
今でも思うことがあります。
あの訓練は、
本当に正しかったのだろうか。
あの言葉で、
よかったのだろうか。
中学生には、
少し厳しすぎたかもしれない。
もっと、
違う伝え方もあったかもしれない。
でも──
目の前にいる彼女は、
新人消防士として、
これから人を助ける仕事を始めようとしている。
そして、
消防士を目指すきっかけの一つに、
あの日の職場体験があった。
それを聞いた時、
私は思いました。
あの日の体験は、無駄ではなかった。
いや、
もしかしたら。
あの時の私たちが、
知らないうちに、
一人の人生に、
小さな種を蒔いていたのかもしれません。
「命の重さ」は、どれくらい?
あの日、
中学生たちに投げかけた質問。
そして今、
長い消防人生を振り返りながら、
もう一度、
自分自身に問いかけてみます。
「命の重さは、どれくらい?」
もちろん、
物理的な重さの話ではありません。
人の命は、
その人一人だけのものではないと思います。
その人を大切に思う家族がいる。
友人がいる。
恋人がいる。
一緒に笑った人がいる。
そして、
その人が、
これから出会うはずだった人もいる。
その人には、
これから歩んでいくはずだった未来があります。
一人の命が失われることで、
誰かの人生が、
大きく変わってしまうこともあります。
だから、
命の重さを、
数字で表すことはできません。
世界に一つ。
いや、
宇宙に一つしかない。
誰かの代わりにはなれない。
替えることのできない、
唯一無二の存在。
そして、
その命と命をつないでいるもの。
それが、
かけがえのない「絆」なのかもしれません。
あの日、ロープを引いた中学生たちへ
あの時、
一緒にロープを引いてくれた中学生たちは、
今、
どんな人生を送っているのでしょうか。
消防士になった人。
別の仕事を選んだ人。
家庭を持った人。
夢に向かって頑張っている人。
それぞれ、
違った人生を歩んでいると思います。
でも、
もしこの記事を読んで、
「あれ? これ、自分のことかも……」
と思った人がいたら。
あの時、
みんなで必死に引いたロープ。
私は、
今でも覚えています。
そして、
あの時の経験が、
ほんの少しでも、
あなたの人生のどこかに残っているのだとしたら。
消防士として過ごしてきた時間の中に、
また一つ、
大切な意味が生まれたような気がします。
最後に
「命の重さは、どれくらい?」
あの日、
中学生たちに投げかけた質問。
そして、
今でも私は、
自分自身に問い続けています。
答えは、
一つではないのかもしれません。
でも、
これだけは言えると思っています。
人の命は、
誰かの人生とつながっている。
だから、
かけがえがない。
だから、
簡単に数字では表せない。
そして、
だからこそ──
重い。
あの日、
中学生たちと一緒に、
必死にロープを引いたこと。
そして、
その中の一人の女の子が、
年月を経て、
新人消防士として目の前に現れたこと。
消防人生の中で、
私は数え切れないほど、
人と出会ってきました。
その一つひとつの出会いが、
今になって、
こうしてつながっている。
だから、
消防士という仕事は、
面白い。
そして、
やっぱり、
人と人をつなぐ仕事なのだと思います。
あの日、
私たちが引いたロープ。
あのロープの先には、
一人の要救助者がいました。
でも、
もしかしたら。
あの時、
私たちが本当に引き寄せていたのは──
「命の重さ」を感じるという経験だったのかもしれません。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました🍵
この記事を読んで、
あなた自身の大切な人や、
「命」について、
少しでも思いを巡らせる時間になったなら嬉しく思います。
これからも、
私自身が消防人生の中で経験してきたことを、
少しずつ、
こうして残していけたらと思っています。
そして、
その中の何か一つでも、
誰かの心に残ってくれたら。
それだけで、
あの頃の自分も、
少し喜んでくれるような気がします。
あおぞら🚑