
発達障害の私が聴く「52ヘルツの色」 旅レポ
「52ヘルツの色」に会いにいく ── 西早稲田「時の雨」企画展レポート


あなたは「音に色が見える」と感じたことはありますか?
今日はそんな感覚と深くつながる展示に出会った。
2025年8月29日。
数日前のゲリラ豪雨が嘘のように晴れ渡った空の下、私は西早稲田を“よりみち”していた。

向かう先は、ギャラリー「時の雨」。

そこで待っていたのは──地球上で最大の生き物、クジラ。
そのクジラが放つ「52ヘルツの声」が、色として描かれているという。
「52ヘルツ」とは、周波数の単位「ヘルツ(Hz)」の数値で、世界で最も孤独なクジラが鳴く周波数として知られます。本来、クジラが仲間とコミュニケーションをとるために出す声の周波数とは異なるため、その声は仲間のクジラには届かず、聞いてもらえない──そんな境遇から「52ヘルツのクジラ」は孤立した存在を象徴する言葉となっています。
仲間に届かない声。
それは、発達障害の私が生きづらさの中で感じてきた孤独にも重なるものでした。

海に包まれる空間
扉を開けると、いつものようにオーナーの笑顔が出迎えてくれる。
その笑顔は、まるで海辺の保養地に吹く穏やかな潮風のようだった。
各部屋には、それぞれの「海」が広がっている。

青のグラデーションに包まれながら歩くと、心も静かにほどけていく。
出展者のひとりが語った言葉が耳に残った。

「私が思った、空想の海が好き」
──私も深くうなずいた。想像の海ほど自由で、広がりのあるものはないから。

体験する海、残す想い
今回の展示にはVRゴーグルが用意されていた。
装着した瞬間、目の前の景色が一気に切り替わり、海や山、雪原へと体が吸い込まれるような感覚になる。
「ここまで没入できるのか」と息をのんだ。
さらに印象的だったのは「ボトルレター」の企画。
来場者がそれぞれ手紙を書き、ボトルに入れる。
そして別のボトルを引き取り、誰かの思いを受け取る。
瓶の口を開けるとき、知らない誰かと心がつながるようで、少し鼓動が速くなった。
もちろん私も、一通したためた。
次に訪れた人が、それを開いてくれることを願いながら。

関連リンク
このギャラリーで過ごす時間は、いつも私に新しい“気づき”をくれる。
過去に訪れた展示も忘れられない。
今回の記事とあわせて読むと、「時の雨」が持つ独自の空気感と、私の旅の軌跡がより深く伝わるはずです。
また、ここで海に出会うために
展示をあとにする頃、私は「またここに戻ってきたい」と強く思っていた。
音も色も香りも、ここでは確かにつながっている。
そんな体験をくれる場所に出会えることは、旅のご褒美のひとつだと思う。
もしこの展示に間に合わなくても、あなたの街の小さなギャラリーを訪れてみてください。
きっと“心の52ヘルツ”に出会えるはずです。




オフィシャル情報
「52ヘルツの色」|時の雨
「私たちは海に浮かぶ島のようなものだ。
表面上は離れているが、深い場所ではつながっている。」
会期:2025年8月23日(土)〜8月31日(日)
時間:13:00〜18:00
会場:時の雨(東京都新宿区西早稲田2-21-19)
こんな人におすすめ
アートを通じて「音」や「色」の感覚を味わいたい人
海や自然をテーマにした作品に惹かれる人
心が静かに満たされる時間を求めている人
発達障害やHSPなど、感覚に敏感な自分を大切にしたい人
誰かの思いを受け取り、そっと繋がる体験をしてみたい人