
美容整形を繰り返す人がSNSで顔を晒す理由〜医師が見たもう一つの死への行列〜
前回の記事で、摂食障害の話を書きました。SNSに痩せた体を晒し続ける人たち。「崖に向かって歩く行列」という表現を使いました。
今回は、もう一つの行列について書いていきます。
この行列は、もっと巧妙です。もっと見えにくい。そして、ある意味ではもっと残酷かもしれません。
理由は明白です。
「病気」ではなく「美容」と呼ばれているからです。
周囲は心配しません。むしろ称賛します。
医療者も止めません。むしろ加速させます。
そして何より、直接的に死なないからこそ、誰も気づかないまま人生を蝕んでいきます。
身体醜形障害。美容整形を繰り返す人たちの話です。
ある美容整形アカウントの記録
タイムラインに流れてきた投稿がありました。美容整形の前後を比較した写真です。
左側。施術前の写真を見ると、客観的に美しい顔立ちでした。問題のある部分は見当たりません。むしろ整った印象を受けます。
右側。施術後。鼻も目も口元も、すべてが変わっていました。
キャプションには、こう書かれています。
「無整形の頃は鼻がコンプレックスで、マスクで隠していました。肌も荒れて、マスクが外せない日々でした。現代の美容医療に本当に感謝しています」
閲覧数は1400万回を超えています。コメント欄を見ると、「綺麗」「羨ましい」「目標」という言葉が並んでいました。
アカウントをたどってみました。
フォロワーは1.5万人。月に一度、韓国へ渡航しています。実施した施術を並べてみると:
鼻の美容整形
口元手術(内側人中短縮、Cカール形成、外側人中短縮、口角挙上、横幅拡大)
植毛手術(2,000毛)
その他「全顔整形済み」と本人が表現
プロフィールには「歯列矯正したい」とあります。
終わっていません。次の「欠陥」を探し続けています。
医師として診断すれば、答えは明確です。
これは美容ではありません。病気です。
構造は同じ、反応は正反対
前回の記事と比べてみます。
構造だけ見れば、摂食障害と驚くほど似ています。

ここまでは同じです。
でも、周囲の反応が真逆でした。

摂食障害なら、家族は心配します。友人は病院を勧めます。
身体醜形障害で美容整形を繰り返していても、周囲は称賛します。「綺麗になった」と褒めます。次の美容整形まで応援してしまいます。
最も残酷なのは、医療者の対応でした。
摂食障害の患者に「もっと痩せましょう」と言う医師がいたら、免許剥奪です。
でも、身体醜形障害の患者に「もっと美容整形しましょう」と言う美容外科医は、成功者として扱われています。
これが現実です。