
直美より深刻な「中堅流出」〜売り時を逃した外科医の話〜
2026年2月、読売テレビ「かんさい情報ネットten.」で直美特集が放送されました。10年でおよそ10倍。MBSの報道では12倍。数字のインパクトは大きい。
ただ、僕がこの動画で一番引っかかったのは、本編ではなくコメント欄でした。
「直美よりやばいのは、10年以上経験を積んだ中堅の医師が美容に行っていること。医療を支える中心の世代が減っている」
これまで直美問題について2回書いてきました。国会答弁の空虚さ、やりがい搾取の構造、台湾やフランスとの比較。
今回は、まだ書いていなかったことを書きます。中堅医師の流出です。
入口と心臓部
若手が美容に直行する直美は、入口の問題です。将来の医療を担う人材が保険診療に入ってこない。
中堅が抜けるのは、心臓部の問題です。今まさに医療を支えている人間がいなくなる。
脳外科で10年以上の経験を持つ医師が一人抜ければ、その穴を埋めるのに同じだけの年月がかかります。でも穴は今日開く。チームで手術する診療科では、一人が減った影響が他科以上に重い。残された側の負担が増え、それがまた次の離脱を招く。
読売テレビの動画に出てきた藤沢医師は、小児外科で8年働いてから美容に転身しています。「メスの握り方一つにしても修練を積んでないとうまくできない」と語っていました。保険診療で叩き込まれた技術が、美容での武器になっている。
以前の記事で紹介した僕の友人の美容形成外科の院長も同じ構図です。整形外科の専門医を取った直後に美容へ転じた。外科の経験があるから骨切りを含む大手術ができる。それが彼の最大の強みになっている。
美容側から見ても、経験を積んだ医師の方が価値が高い。だから中堅には声がかかります。
売り時
中堅医師には「売り時」があります。