
【月を見る】#シロクマ文芸部(1分ストーリー)
月を見るため、人々は皆、足を止め、身を乗り出し、一斉に空を見上げていた。
月が少しずつ、太陽を食べていく。
大事にとっておいた甘いお菓子を一口ずつ噛みしめるように。
やがて世界に夜が訪れた。
周りはしんとして、人々は一心不乱に月を見ていた。
ビルの大きなモニターに、黒い背景に赤い文字で「あと10秒」と表示された。
ー9秒 誰かが、「なんだあれ」と呟く。
ー8秒 ざわめきが波のように広がっていく。
ー7秒 気配を察したカラスが一斉に飛び立つ。
ー6秒 不安が連鎖する。悲鳴をあげて、人々は行くあてもなく走り出す。
ー5秒 街中の電気が一瞬で途絶えた。
ー4秒 クラクションと鈍い金属の衝突音。
ー3秒 暗闇の底から、地を揺るがすようなサイレンが鳴り響く。
ー2秒 月が太陽を吐き出していく。
ー1秒 月の隙間から降り注ぐ光の雨。
欠けていくその輪郭は、まるで世界を見下す悪魔の薄笑いそのものだった。
ー0秒
映像はそこで途切れていた。
誰かが、最期まで月を見ていた。
ここまで読んでくださりありがとうございます。ちょこりんと申します🍀
シロクマ文芸部 様のお題
「月を見る」に参加させていただきました。
小牧幸助 様 素敵なお題をありがとうございます🐻❄️
前回は、こちらのお題にも参加させていただきました。
いつもスキ❤️してくださる方のおかげで続けられております。
ありがとうございます😊
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