投資家を一発退場させるのは、「暴落」ではなく「ポジションサイズ」
株式投資の世界に足を踏み入れると、誰もが「暴落」を恐れるものです。しかし、多くの投資家が相場から立ち直れなくなってしまう本当の理由は、「ポジションサイズ」です。
ポジションサイズとは何か
ポジションサイズとは、投資資金の中で、特定の銘柄に資金を投じている割合です。このポジションサイズこそが、あなたの投資における成功と失敗を分ける、最も重要な要素だと考えています。
ポジションサイズが大きすぎるとどうなるか
もし、保有している株の、株価がとにかく気になって、場中の板をじっと見てしまうなら、それはポジションサイズが大きすぎるサインです。
人は、自分の心の許容範囲を超える金額を市場に晒していると、株価の日々の上下に感情が激しく揺さぶられてしまいます。「もっと下がるのでは」という恐怖や、「早く何とかしないと」という焦りから、本来であれば冷静に判断すべき場面で、誤った行動を取ってしまいがちなのです。
「ナンピン」の真実。ポジションサイズがその性質を変える
投資の世界では、「ナンピン(買い下がり)」について、全く正反対の意見が飛び交います。「ナンピンは危険だから絶対にするな」という人もいれば、「ナンピンこそが有効な武器になる」と言う人もいます。なぜこれほど意見が分かれるのでしょうか。これもまた、ポジションサイズの違いから生まれているのです。
たとえば、あなたが全投資資金の1%、ごく小さな金額からある1銘柄への投資を始めたと想像してみてください。もしその株が10%値下がりしたとしても、ポートフォリオ全体への影響はわずかです。この状況でさらに1%や2%と、少量ずつ買い増し(ナンピン)をしたところで、全体に占める割合はまだ小さいままです。
これくらいのポジションサイズであれば、株価が下がっても精神的なダメージは少なく、「むしろ魅力は増したから買い足そう」と、冷静に判断しやすいでしょう。相場の不確実な動きを、むしろ自分の味方につけられる可能性すらあります。だからこそ、「小さなナンピンは有効な場合がある」という考え方が生まれるのです。
これは、あなたが軽々と持ち上げられる重さのバーベルに例えることができます。適度な重さであれば、正しいフォームでコントロールでき、少し負荷を加えて(少しナンピンして)も、トレーニングとしてさらに有効です。万が一バランスを崩して落としても、大きな怪我には繋がりません。
一方で、もしあなたが最初から全資産の20%といった大きな割合を一つの銘柄に投じていたらどうでしょう。エントリーした後に株価が10%下落しただけで、精神的に追い詰められ、「どうしよう、もっと下がったらどうなるんだ...」と恐怖に支配されるかもしれません。
これは、あなたがコントロールできない重さのバーベル(大きなポジションサイズ)に例えることができます。少しでもバランスを崩した(少し株価が下がった)だけで体勢を立て直すのは困難になります。そんな状態でさらに重りを追加する(ナンピンする)と、再起不能な大怪我(相場から退場)となります。
結局のところ、「ナンピンが危険なのか、それとも有効な武器になるのか」は、ナンピンという行為そのもので決まるのではなく、あなたがどれくらいのポジションサイズで投資に臨むか、という「あなたの投資スタイル」によって決まることなのです。
あなたに「心地よい」ポジションサイズを知る
ポジションサイズは、あなたの感情と投資判断に直接的な、そして絶大な影響を与えます。不思議と集中投資の緊張感が合う人もいれば、銘柄の買値を忘れてしまうぐらいに分散投資した方が合う人もいます。
自分の感覚に合わない無理のあるポジションサイズは、あなたの冷静さを奪い、適切な判断を妨げます。
また、同じ「ナンピン」という行為も、ポジションサイズが小さければ有効な場合がある一方で、大きすぎれば一瞬にして破滅を招く危険な行為へと姿を変えます。
相場で常に冷静さを保ち、適切な判断を下し続けるためには、あなたに「心地よい」、つまり、緊張感はあっても、期待が嬉しく感じられ、コントロール可能な範囲のポジションサイズを知ることが何よりも大切なのです。
自分の「心地よい」ポジションサイズは一度で決まるものではなく、経験を積みながら調整・変化していくものです。サイズに対する感覚は様々です。まったく気にしない人、銘柄によって差が激しい人、相場環境に応じて気分が変わる人などがいます。
現在持っている銘柄や、過去のトレードを振り返って、「ポジションサイズ」が大きすぎることで、悪い習慣や焦りが発生していないか、素直に考えてみるのが良いです。
自分が限界を超える要素や数値感は、自分の中にしか答えはありません。「この割合を抱えると普段の投資にならないな」「この株数にすると、自然に持てるな」。こういった感触を、自分に聞きながら確かめてゆくしかありません。