
【三題噺】文具店員じゃなくなります
睡眠不足にはならないように気をつけてる。でも日付が変わるか変わらないかくらいに寝にいくのは仕方ない。
サンドイッチは、トランプゲームに興じていた伯爵が命令して作らせたものらしい。
私もシェフに命じてご飯を作ってもらいたい。
それくらい、締め切りに追われながら平穏に創作に打ち込むつもりだった。
人生を揺るがす大事件が起きた。
タイムセールが始まってすぐ、課長が私に近づいてきて「僕に時間をください」と言って私を連行した。
なにも言わず、空いてた教育室へと誘導される。
めちゃくちゃ怖い!!
いや、課長、考えてくれ。何も言わずに誘導されるのは怖いよ?
こっちは全く身に覚えないんだ。やましいこともなにもしてない。
……いや、この間堪えきれずに店内で泣いていたのがバレたのか?
なんせ、気を抜くとまだ創作大賞を引きずる始末だ。
教育室のドアが閉まり、開口一番
「僕は、このフロアの構造をぶっ壊していきたいと思っています」
この課長には、私は以前、業務について直談判したことがある。
店の現状として、自分の担当の仕事以外の業務もさせられている。それが我慢できなくて、私と同じ担当のメンバーがもう辞めると言い出したのだ。
徐々に負担が大きくなっていく他部署への“応援”は、私も納得がいってなかった。
・店に人員がいないのは知ってる
・入れようにも苦労することも知ってる
・社員も応援に行ってるのも知ってる
・けど、私たちは時間が限られたパートタイマーだ
・負担に思って、不満が爆発しそうな人がいる(誰か。や、辞めそう。とは言っていない)
そういうことを、課長をとっ捕まえてなるべく感情的にならずに話した。
それでも途中で課長が苛立ったのが分かったし、課長の立場も分かってはいるとフォローしたりしてね。
以前のそれで、そして普段の働きぶりをどう見ていたのか。
人事の玉突きの結果、私は文具担当から離れることになった。
「波さんが、文具が好きなのはわかってます」
って、言ってくれたのは嬉しかったけどね。
私も、課長からの詳しい経緯を聞いて、この先の私の動きとかをその場でシミュレーションしてたりさ。
うん、確かに、穴埋めというよりかはこの際新しい体制で立て直したい。っていう方向に動きたいのは分かった。
……わかっちゃうところを、読まれてるのかしら。
考えた時に浮かんだリスクを思いついて、その場で言ってたりしたからね。
仕事内容的に全体での懇親会とか出来ないから現実的じゃないんだけど、鳥貴族とかでお酒飲みながら「本当のところ」を聞きたい人の五本の指に入る人だ。
いや、ひょっとしたら「それはこっちのセリフだ」と言われそうな程、私の方が謎の人物なのかもしれない。
少なくとも、今書いている原稿を落とさなければ小さな文芸誌には名前が載るはずだからね。
《今週の三題噺》
1.睡眠不足
2.サンドイッチ
3.鳥貴族