メインコンテンツへスキップ
見出し画像

今日の日付が書かれた手紙|図書館|地図にない灯り

    閉館まで、あと十五分。

    僕は図書館の奥にある古い書庫で、返却された本を整理していた。

    館内には、ほとんど人影がない。

    壁掛け時計の秒針が、静かな空間に規則正しい音を響かせている。

    そのとき、一冊の古い本が目に留まった。

    背表紙には、かすれた文字で『忘れられた記録』と書かれている。

    何気なくページをめくると、薄茶色の封筒が一枚、床に滑り落ちた。

    中には、古びた便箋が入っていた。

    誰かの忘れ物だろうか。

    そう思いながら、僕は手紙を開いた。

    そこには、丁寧な文字でこう書かれていた。

    『この手紙を読んでいるあなたへ。

    もし、あなたがこの本を見つけたのなら、どうか最後まで読んでほしい。

    私は、ずっとあなたに伝えたいことがありました。

    あの日、言えなかった言葉を。

    あなたが今、どんな人生を歩んでいるのか、私は知りません。

    それでも、いつかこの手紙があなたに届くことを願っています』

    手紙の最後には、差出人の名前が記されていた。

    その名前を見た瞬間、僕の手が止まった。

    そこに書かれていたのは、僕と同じ名前だった。

    「……どういうことだ?」

    偶然にしては、できすぎている。

    僕はもう一度、手紙の最初から読み直した。

    すると、便箋の裏側に小さな文字があることに気づいた。

    『この手紙を書いた日を、忘れないでください』

    その下に記されていた日付を見て、僕は息をのんだ。

    今日の日付だった。

    何度確認しても間違いない。

    今日、僕がこの図書館でこの本を開くことを、誰かが知っていたとでもいうのだろうか。

    時計を見る。

    閉館まで、あと三分。

    僕は慌てて書庫を見回した。

    誰もいない。

    ただ、遠くのカウンターから、職員の声が聞こえてくる。

    「まもなく閉館のお時間です」

    手紙をもう一度見つめる。

    そこには、まだ続きがあるような気がした。

    けれど、便箋はそれ以上、何も語ってくれなかった。

    画像

    僕は手紙を封筒に戻し、本の間にそっと挟んだ。

    そして、書庫を後にした。

    帰り際、ふと振り返る。

    誰もいないはずの書庫の奥で、一冊の本がゆっくりと閉じる音がした。

    ……気のせいだろうか。

    僕は何も言わず、図書館の扉を開けた。

    外は、いつもと変わらない夜だった。

    ただ、明日もう一度、あの本を開いてみよう。

    そう思った。


    #地図にない灯り

    今回は、雪綴ゆきさんのショートショート企画『地図にない灯り』

    第3回目のお題

    「図書館」

    に参加してみました。

    今回は全く自分に当てはまらない(図書館は国家試験の勉強場所である)ので、わかモンさんのプロンプトをお借りして(毎回お借りしている🤣)
    作成しました。

    ちなみに、今回の記事も進化させた自動投稿機能を使っておりますが、
    上手いこと機能したのかな?

    画像
     
     
    50代の猫好きのおっさん🤣 人生まだまだこれから。 順風満帆とはいかない人生ですが、50代から新たな挑戦として、事業の立ち上げを目標に色々綴っていきます。 「この歳からでも始められる✨」 「自分の人生を楽しみたい✨」 人生の後半戦、ここから面白くしていきます😆

    あなたへのおすすめ