
高知|四万十の酒はこんなに面白い!文本酒造5本飲み比べと土佐の郷土料理
ブドウ、桃、スモーキー。四万十の酒にびっくり!
今日も「はなのまがり」さんで日本酒の飲み比べ。
今回は高知県四万十町の文本酒造さん。「四万十」シリーズを中心に、個性豊かな5本をいただいた。
高知の日本酒というと、カツオのたたきに合わせる淡麗辛口のイメージが強い。
ところが、今回の5本はまったく違った。
マスカットや巨峰を思わせる華やかな香り、桃のような濃醇な果実感、さらにはバニラとスモーキーな香りまで。
同じ蔵のお酒とは思えないほど、香りの表情が違う。
しかも、今回は土佐の郷土料理も一緒に楽しめるという、なんとも贅沢な飲み比べ。
いやぁ、これは面白かった!
四万十川の町で酒を醸す、文本酒造
文本酒造は、高知県高岡郡四万十町に蔵を構える酒造会社。
今回のラインナップで印象的だったのは、酒米と酵母の組み合わせによって、それぞれのお酒に異なる個性を持たせていること。
四万十町産の仁井田米を使ったお酒も多く、地元の米を生かした酒造りがうかがえる。
特に興味深かったのが酵母の違い。
深海AC26、CEL-24、A-14とAA-41、KW-77、そして小川酵母。
それぞれの香りを実際に比べると、日本酒の香味の世界がいかに広いか、改めて実感できた。
さて、さっそく飲んでいこう。
① 四万十 SS 純米吟醸|マスカットと巨峰が華やかに香る!
原料米:新潟県産 春陽
酵母:深海AC26

まずは黒いボトルに「SS」の文字だけという、シンプルな一本。
一口いただいて、びっくりした。
これはすごい!
マスカットか巨峰か。そんなブドウを思わせる甘やかで爽やかな香りが、パァッと立ち上がる。
味わい自体は中口からやや甘口くらいだろうか。
面白いのは、実際の甘味以上に、香りによって甘さを強く感じること。
さらに、ごく微かな渋みがある。
これがまたいい。
ブドウの果皮を思わせるニュアンスが加わって、ますます本物のブドウを連想させてくれる。
華やかだけれど、ただ甘いだけではない。
香りと味わいが綺麗につながっている。
いやぁ、これは美味い!
土佐の郷土料理「田芋のころばし」と
合わせたのは、田芋のころばし。
里芋を使った煮っ転がしで、今回いただいたものは甘さ控えめ。柚子の香りと胡麻の香ばしさが心地よい。
これがSSによく合う。
柚子の爽やかさと胡麻の香ばしさが、SSのブドウ系の華やかな余韻と重なっていく。
それぞれの香りが喧嘩せず、一緒になって楽しませてくれる。
お酒単体でも素晴らしいけれど、料理と合わせても気持ちがいい。
今回、特に印象に残った一本だ。
② 四万十 GREEN 純米大吟醸|南国果実の香りと、ちょっと気になる個性
原料米:高知県仁井田米
酵母:CEL-24

続いては緑のラベルのGREEN。
こちらはパイナップルや青リンゴを思わせる香りが特徴という。
飲んでみると、なるほど!確かに頷ける。
南国果実を思わせる華やかさに、青リンゴのような爽やかなニュアンス。
味わいはやや甘口。
多少の酸味と渋みもあり、それが味わいにコクを与えている。
これも美味しい。
ただ、ひとつ気になることがあった。
最初に立ち上がる香りに、少し蒸れたような、こもったニュアンスを感じる。
爽やかな果実香の中に、ほんの少しだけ違和感があるのだ。
もちろん、これが酒質の欠点なのか、私の好みとの相性なのかは分からない。
ただ、どうしても気になってしまう。
味わいそのものは良いだけに、ちょっと惜しい。
きびなごの「ほおかぶり」と合わせてみる
ここで登場したのが、土佐の郷土料理「きびなごのほおかぶり」。
きびなごと、おからを組み合わせた料理だ。
きびなごの酸味に、おからのモチャモチャとした食感。
口の中で両者が暴れる(笑)。
普通の寿司とはまったく違う、独特の面白さがある。
GREENと合わせても悪くはないのだけれど、やっぱり最初に感じた蒸れたような香りが気になる。
料理と合わせれば印象が変わるかと思ったけれど、
今回はそうでもなかった。
こういう発見も、飲み比べの面白さだね。
③ 四万十 PINK|桃のジューシーさに、思わず唸る!
原料米:高知県仁井田米
酵母:A-14、AA-41

続いて、鮮やかなピンクのラベル。
これがまた、とんでもなく美味しかった!
うひょー!桃だ。
熟した桃を思わせる甘やかな香りに、ほんのりヨーグルトのようなニュアンスが重なる。
味わいは濃醇でジューシー。
やや甘口だけれど、甘ったるさはない。
口当たりは滑らかで、濃厚な果実感を楽しませながら、最後はするりと消えていく。
この引き際が実にいい。
濃醇なのに、くどくない。
アルコール度数は13%と比較的低めだが、味わいが薄いわけではない。むしろ、しっかりとした果実感がある。
先ほどのSSとは、まったく違う方向性の美味しさだ。
SSが華やかで爽やかなブドウなら、こちらは濃醇ジューシーな桃。
これは甲乙つけがたい!
カツオの藁焼きと合わせたら、また美味い!
高知の郷土料理といえば、やっぱりカツオの藁焼き。
香ばしく焼かれた表面に、もちもちとしたカツオの身。
これだけでも十分に美味しい。
ところがPINKと合わせると、また違う楽しさがある。
藁の焦げた香ばしい香りと、PINKの桃を思わせる甘やかな香り。
まったく違う方向性の香りなのに、これがよく合う!
スモーキーな香ばしさと、甘い果実香の組み合わせが実に気持ちいい。
カツオのもちもちした食感も楽しく、PINKの滑らかな飲み口が後味を綺麗につないでくれる。
土佐酒とカツオというと辛口酒を思い浮かべがちだけれど、こういう華やかな甘口寄りのお酒もいいものだ。
日本酒も美味い。魚も美味い。
やっぱり高知に住みたい!
④ 四万十 BLACK 純米吟醸|日本酒なのにスモーキー&バニラ!?
原料米:高知県産 土佐麗
酵母:KW-77

次は黒いラベルのBLACK。
これには本当にびっくりした。
なんだ、この香りは!スモーキーなのだ。
日本酒を飲んでいるのに、どこか燻したような香りが立ち上がる。
さらに、バニラを思わせる甘く柔らかな香りも感じる。
日本酒ではあまり出会わない、不思議な香りだ。
裏ラベルを読んで、またびっくり。
そこには、バニラの香りとスモーキーな味わいという説明が書かれていた。
まさにその通り!
テイスティングノートがここまで的確だと、なんだか嬉しくなる。
香りはかなり個性的なのに、味わいは意外なほど軽やか。
中口で、さらりと流れていく。
スモーキーという言葉から想像する重厚な味わいとは違い、飲み口はすっきりしている。
このギャップが面白い。
田芋のころばしとも好相性。
胡麻の香ばしさとBLACKのスモーキーな香りが重なり、里芋の優しい味わいともよく馴染む。
香りは個性的、でも飲み疲れしない。
これも気持ちのいい一本だった。
⑤ DARUMA GLITCH WHITE|桃と麹のミルキーな世界
純米大吟醸 にごり
原料米:高知県仁井田米
酵母:小川酵母

最後は、だるまのラベルが印象的な「DARUMA GLITCH WHITE」。
真っ白なにごり酒だ。
飲んでみると、これもいい!
桃を思わせる甘やかな香りに、甘酒を連想させるミルキーなニュアンスが加わる。
まったりとした甘味、滑らかな口当たり、そしてしっかりとした厚み。
濃醇でありながら、嫌な引っ掛かりがない。
口の中を優しく満たして、心地よく流れていく。
PINKも桃系の香りだったけれど、こちらはミルキーさが加わることで、まったく違う表情を見せてくれる。
これは美味いね。
そして、本日のベストペアリングが誕生!
ここで、先ほどGREENと合わせた「きびなごのほおかぶり」を、もう一度いただいてみた。
すると、これがすごかった!
おからの素朴な大豆の風味と、にごり酒のまったりしたミルキー感。
この組み合わせが抜群にいい。
おからのモチャモチャした食感と、だるまの滑らかで厚みのある口当たりが一緒になると、なんとも気持ちがいいのだ。
さらに、きびなごの酸味がアクセントになって、後味まで心地よく楽しめる。
先ほどGREENと合わせたときには、口の中で暴れるように感じた料理だった。
それが、合わせるお酒を変えただけで、ここまで印象が変わるとは!
今回のベストペアリングは、間違いなくこの組み合わせ。
おからの風味と、にごり酒のまったり感。
食感から後味まで、見事に一体となった。
いやぁ、これはいいものを食べさせてもらった。
5本飲み比べて見えてきた、四万十の面白さ
今回の5本を振り返ると、本当に個性豊かなラインナップだった。
中でも、SSとPINKは特に印象的だった。
SSのマスカットや巨峰を思わせる鮮烈な香り。
PINKの濃醇な桃の果実感と、綺麗に消えていく後口。
どちらも、この一年で飲んだ日本酒の中でも、強く記憶に残る一本になった。
そして、もうひとつ忘れられないのが、郷土料理との組み合わせ。
田芋のころばし、きびなごのほおかぶり、カツオの藁焼き。
お酒の香りと料理の香りが重なったり、食感が一体になったり、同じ料理でもお酒を変えると印象ががらりと変わったり。
今回のだるまとほおかぶりは、その楽しさを改めて教えてくれた。
それにしても、土佐の食文化は本当に魅力的だ。
美味しい酒があって、美味しい魚があって、面白い郷土料理がある。
いやぁ、美味かった!
やっぱり高知に住みたい!
※本記事の香りや味わいの表現は、実際に飲み比べた際の個人的な官能印象です。酒米・酵母・精米歩合などの仕様は、試飲した商品のラベルをもとに記載しています。
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