
『海峡』―道なき海底を掘り進んだ男たち。今年の夏、新幹線で北海道へ行きたくなるほどの壮大なロマンを!
こんにちは。クリエイティブディレクターの木村博史です。
そろそろ「夏休みの旅行の計画を立てようかな」という時期で、北海道旅行を計画している人も多いと思うのですが、飛行機ではなく新幹線で北海道に行きたくなるような作品があります。
今回ご紹介するのは、本州と北海道を結ぶ「青函トンネル」の過酷な掘削工事に人生を懸けた人々を描いた1982年公開の映画、『海峡』です。
🎞️ 1.『黒部の太陽』と対をなす、もう一つの「トンネルに命を賭けた男たち」
以前、『黒部の太陽』をご紹介しましたが、『海峡』も同じくトンネル掘削の最前線を描いた骨太な物語です。
時代背景も同年代ということもあり、登場人物の役回りの配置が非常に似ています。
特にクリエイティブな視点で面白いのが、現場を束ねる「掘削チームの親方」の存在です。
『黒部の太陽』では辰巳柳太郎が圧倒的な泥臭さとリアリティを放っていましたが、『海峡』でそのポジションを担うのは森繁久彌です。
同じ「現場の親方」という役どころでも、アプローチや表現がどう違うのか。そんな視点で二つの作品を比べてみるのも、非常に面白い楽しみ方です。
🎞️ 2.最果ての地「竜飛崎」を切り開いた奇跡
物語の主な舞台となるのは、青森県の竜飛崎。ここも以前取り上げた『砂の器』のロケ地としても知られています。あの映画を観た方ならお分かりの通り、一切の妥協を許さない、過酷で荒々しい自然が絵になるほど凄まじい場所です。
そんな寄せ付けない最果ての地を切り開き、あろうことか「海の底」にトンネルを掘ったという事実に、改めて身震いするような感動を覚えます。
🎞️ 3.監督・森谷司郎を突き動かした「太宰治の一節」と「ロマン」
本作のメガホンを取ったのは、『八甲田山』でも知られる森谷司郎監督。
青森という繋がりもさることながら、この映画が生まれるきっかけがとてもドラマチックなのです。
1975年に森谷監督が『八甲田山』のロケハンで津軽半島を訪れた際、「本州の最北端はどんなところなのか」と竜飛岬へ足を向けました。
そこで、太宰治の『津軽』の一節が頭に浮かんだそうです。
「この部落を過ぎて路は無い。あとは海にころげ落ちるばかりだ」
その道のないところに、海の底を掘って道を作ろうとする男たちがいる。「なぜ彼らはそんな苦しい工事をしているのか。それは洞爺丸事故が引き金になっている。では、もっと遡れば何があるんだろう」。監督はそこから、「そんな道をつけている親子三代のホームドラマがやれないか」と構想を膨らませました。
『八甲田山』の完成後、過酷なプロジェクトに挑む男たちのロマンと、それを支える女たちのロマンを、映画ならではのホームドラマとして描き出そうとしたのです。
🎞️ 4.「しょこたん」のお父様も出演
本作には、中川翔子(しょこたん)さんのお父様である中川勝彦さんが、主演の高倉健さんの息子役で出演しています。
ただ、現場で監督とぶつかってしまったそうで、残念ながら出番は少なめになっています。そんな現場の熱量や、画面の外にある人間模様を想像しながら観るのも一興かもしれません。

🎞️ まとめ:今だからこそ胸に迫る、先人たちの功績
この映画、公開当時の興行収入は決して大ヒットと言えるほどの成績ではありませんでした。
しかし、新幹線に乗って海底を通り抜け、あっという間に北海道まで行けるようになった「今」だからこそ、ぜひ観てほしいのです。
当たり前のように海を越えられる今の便利さが、どれほどの血と汗と執念の上に成り立っているのか。それを知った時、先人たちの偉大な功績に感動するしかありません。
観終わった後、無性に新幹線で北海道へ行きたくなる。
そんな壮大なロマンが詰まった名作です。
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木村博史(きむら・ひろふみ)
インプリメント株式会社 取締役社長/COO。
企業の動画プロモーションやオンラインシフトのサポート、SNS活用などを幅広く手掛けるクリエイティブディレクター。
『はじめての動画制作読本』『改訂 YouTube 成功の実践法則 60』『スマホだけ×顔出しなし 隠れYouTuberで毎月3万円を稼ぐ』など著書11冊。
📕 書籍は下記を参照ください。
https://www.amazon.co.jp/stores/木村博史/author/B00JLHMTU2
📖 wikipediaで紹介されています
https://w.wiki/JG$t