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390円のアワビを食べに行ったのに、200円のアラ汁が気になった。【下船グルメ#04】


    神田駅前に、390円でアワビの刺身が食べられる居酒屋がある。
    「漁師酒場あらき」。
    約1年5か月ぶりに訪れた。

    以前、漁師をしていた頃は、オフシーズンの春から夏にかけて、神田のシェアハウスを借りて半年ほど暮らすことが多かった。

    当時は神田の街をよくぶらぶらしていた。


    店先には「実家が漁師やってます」の文字がある。

    私の実家も漁師だ。

    前回来たときも注文したアワビの刺身は、今回も390円(税抜)。天ぷらは460円(税抜)。

    アワビの刺身には、高知の甘口醤油をかけてみた。


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    安い。しかもうまい。
    でも、今回いちばん気に入ったのは、200円(税抜)のアラ汁だった。


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    私はアラ汁に少々うるさい。
    骨ばかりで、食べるところがほとんどないアラ汁に当たると、少しがっかりする。
    もちろん、アラ汁は出汁を楽しむ料理でもある。
    それはわかっている。
    でも、身が食べたい。
    ここのアラ汁には、ちゃんと魚の身が入っていた。
    200円である。
    しかも、この店はお通しがない。
    アワビの刺身、天ぷら、真イワシの刺身、漁師のおすすめ漬け丼、アラ汁、桃サワー。


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    アワビの天ぷら


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    これだけ注文して3,111円だった。
    神田駅前である。
    実家が漁師の私でも、こんな値段でいいのかと思う。
    食べ物については、私は少々おかしなことも考える。

    以前は漁師めしイベントを開催していた。
    最近はカップラーメンに青海苔をどっさり入れてみた。

    カニは北海道の漁師さんから、生きたまま直送で仕入れている。
    実家でもちょくちょく食べているが、「こんな値段で、こんなにおいしいの?」と毎回驚く。
    だったら、カップラーメンにカニを入れたらどうなるのか。
    カニラーメンである。
    もちろん、カニはちゃんと茹でてから。
    そんな冗談を言っていた。

    天然うなぎをたこ焼きに入れることも考えている。
    普通のたこ焼きに混ぜて、誰に当たるかわからなくする。
    逆ロシアンルーレットだ。
    当たった人が得をする。
    ただし、天然うなぎが入っていることに気づいてもらえなかったら、少し悲しい。

    そんなことを考えていると、また漁師めしイベントをやりたくなってきた。
    それにしても、390円のアワビを食べに行ったのに、いちばん記憶に残っているのは200円のアラ汁である。


    以前の訪問記事
    『390円のアワビと、“想いの厚み”を噛みしめた夜』【下船グルメ#02】


     
     
    文藝春秋SDGsエッセイ大賞2025グランプリ/『文藝春秋』本誌掲載。 サンクチュアリ出版「第3期 正直レビュアー」選出。 市場調査、漁師(実家)などを経た現役の船乗りエッセイスト。漁師飯イベント再始動。2026年10月、武蔵大学社会学部ゲスト登壇。テレビ局からの取材経験あり

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