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AI Transformation(AX)とは?DXに続く生成AI時代の新たな企業変革

    こんにちは、Algomatic 執行役員 AXカンパニーCEOの鴨居(@hktech94)です。生成AIに特化したスタートアップである株式会社Algomaticにて、AIを活用した企業変革を推進する事業の責任者をしております。元々はコンサルティングファームでデータサイエンティストをしていました。

    今日はひそかに注目ワードになりつつある、AI Transformation(AX)というテーマに関する記事です。弊社では、2024年5月の時点でAXをテーマにした事業を立ち上げており、いちはやくこのテーマに注目しておりました。

    その後1年弱で20社以上の大手企業を支援してきた我々が、AI Transformation(AX) を推進してきた中で見えてきた企業変革におけるAIの活用ポイントと推進上の落とし穴についてご紹介します。AIを活用した企業変革に携わるビジネスパーソンの方々に、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。

    なお、本記事に書かれていることは弊社のYoutubeチャンネル内の動画でも弊社代表の大野と対談しております。あわせてご覧ください。

    生成AI、なんかすごいかも。

    「生成AI、なんかすごいかも。」
    当時コンサルにいた私は、ChatGPTの登場をきっかけに生成AIをクライアントの社長にわかりやすく伝える資料作成に関わることになりました。いわゆる第3次AIブームのド真ん中でキャリアを進めていた私にとって、AIとは「まとまったボリュームのデータを学習させることで、ある特定の課題がやっと解けるようになる」という認識だったので、調べていく中でChatGPTが個別のデータ学習をしない状態でさまざまな応対や問題解決をしていく様をみて大変驚きました。

    その後ほどなくして、生成AIがビジネスや社会の前提を大きくひっくり返すだろうと感じ生成AIに特化したスタートアップであるAlgomaticに入社しました。

    人によって生成AIのすごさに気づくきっかけや場面はそれぞれ異なると思いますが、多くの皆様がこの2年間のどこかのタイミングでその影響力を意識するようになったのではないでしょうか。

    生成AIの影響は日常生活だけでなく、ビジネスの場にも当然現れています。もともと企業や組織がデジタル技術を使って業務を変革することを、Digital Transformation(DX)と呼んでいましたが、ここまでAIが進化した今、生成AIを前提とした企業変革はもうDXとは別の次元に来ている、と感じることもしばしばあります。

    そこで弊社では、AIを活用した企業変革を「AI Transformation(AX)」と呼ぶことにしました。生成AIの登場によって、DXで超えられなかった数々の壁をこの1年間だけでも越えてきているのを目の当たりにしています。そんな企業におけるAI Transformation(AX)の事例について、最前線で取り組んでいる目線からご紹介させていただきます。

    AI Transformation(AX)とこれまでのDXの違い

    みなさんご存じのとおり、DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、ビジネスプロセスをデジタル化し、生産性や価値創造のレベルを引き上げる取り組みです。

    日本でDXという言葉が本格的に普及してきたのは経済産業省が「DX推進ガイドライン」を発表した2018年頃からと言われています。また、昨年発表されたDX動向レポートでは、大企業の96.6%が何かしらの形でDXに取り組んでいるという報告がされており、ほとんどの企業でデジタル領域の変革が推進されていることがわかります。

    もはやDXは多くの企業で「当たり前に進めるべきもの」となっているわけです。

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    DX動向2024レポートより

    しかしながら、DXの主なスコープは手順やルールが明確な作業のシステム代替でした。

    たとえば、請求書の発行、勤怠管理、経費精算、在庫管理、顧客情報の登録といったような、明確なフローとルールに従えば処理できる業務が代表的です。これらの業務はRPAや業務システムによって比較的容易に自動化・効率化されてきました。また、営業管理におけるSFA導入や、経理業務でのERP活用なども、定型的なデータ入力や報告作業のデジタル化に該当します。

    一方で、「人による思考や発想力が必要」「状況に応じた曖昧な判断が求められる」ような業務についてはどうしても、最終的に人間が介在する必要がありました。それがDXの限界でもあったわけです。

    では、なぜいまAI Transformation(AX)が注目されるのか?
    それは「LLM(大規模言語モデル)」によって、人間の思考や曖昧な判断を再現できるようになったから、なのです。
    これまで「人間でしかできない」と思われていた領域が、一気に自動化の射程圏内に入ってきました。

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    AI TransformationとこれまでのDXの違い(メール営業の例)

    このようにLLMの登場によって、「思考や曖昧な判断」が含まれる業務も含め、End-to-endで自動化できるようになってきました。
    これこそが、DXでは実現しきれなかった「業務のフルオートメーション」を見据えられるようになった大きなポイントです。

    この違いをしっかり理解しておくと、AXがもたらすインパクトの大きさをイメージしやすくなるのではないでしょうか。

    企業におけるAI Transformation(AX)のパターンと具体事例

    AI Transformation(AX)は、特定の業界に限られたものではありません。実際に弊社が支援してきた企業も、不動産、小売、飲食、物流、製造業など多岐にわたります。どの業界でも、人が「考えて判断していた業務」がある限り、AI Transformation(AX)は価値を発揮します。

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    弊社によるAI Transformation(AX)の支援事例

    私たちはAI Transformation(AX)の目的を次の2つのパターンに分類しています。

    1. 人間の知的単純労働の代替

    2. 人間が本当はやりたかったが、できていなかったことの実現

    大規模言語モデル(LLM)の登場により、AIは単なる定型業務の自動化を超えて、「人の思考」や「曖昧な判断」にも対応できるようになりました。
    この能力をどう活かすか──それが、上記2つの観点から明確に見えてきます。

    それぞれ、実例を交えて解説していきます。

    人間の知的単純労働の代替

    まず「AI活用」の話をするときに思いつくのは人間の仕事をAIに置き換えることです。「人間の仕事がAIによって奪われる」「いまの業務をAIに置き換えてコストダウンしよう」みたいな話をしている時は、ほとんどの場合知的単純労働を置き換えようということが頭にあるはずです。

    例えばAIで人間の業務を置き換えましょうと言った際には「会社の事業戦略の大きな方向性に関する意思決定をAIに任せよう」という話はあまりされず、「数ある問い合わせの回答を自動化したい」や「メールの仕分けから返信を自動化したい」などといったことをイメージするケースが多いです。

    このような、「やることは大体決まっているが、細かい判断や意思決定は経験のある人間に任せたい」といった業務がまさに知的単純労働と呼ばれるものです。このような業務は、ルールを言語化することが難しいため暗黙知化され業務の属人化の原因となるだけでなく、業務を遂行する当事者にとっては工夫するポイントも少なくモチベーションを維持しづらいものとなります。

    例えば、マーケティングや広告で使われるような画像や文章をチェックする業務などはひとつの例です。完全なルールベースだけでは違反チェックできないような業務でも、生成AIと組み合わせることで過去事例などを参照しながら判断するといったことができます。

    もう少し高度なものでいうと見積書の作成業務も知的単純労働のひとつです。受注単価の高い案件の見積もり業務は多くの場合人間が思考を重ねた上で意思込めされるべきですが、製造現場などで高頻度で繰り返し見積提示が必要とされるケースでは見積書の作成業務も知的な作業と化します。

    これらのように、これまでは人間でしかできないと思われていた業務をシステムに置き換えることができるのが、AI Transformation(AX)の最大の特徴といえます。

    人間が本当はやりたかったが、できていなかったことの実現

    AIの活用方法を想像するときは一般的に「人の仕事をどう置き換えるか」から考えがちですが、実はいままで人ができなかったことをAIにやってもらう方がインパクトが大きいケースがあります。

    例えば、製造業などにおける機械の組み立て現場や製造ラインにて、作業員が適切な作業手順を守れているかをモニタリングしたいとします。たとえカメラを設置したとしても、人間の監督員が複数のモニターを凝視しながらひとりひとりの作業レベルを確認するのは現実的ではありません。

    大型の飲食店におけるテーブル状況の監視なども同じ課題があります。しかし、次の記事にもある通り、生成AIを活用すればかなり細かい情報がリアルタイムで取得できていることがわかります。

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    飲食店におけるテーブル状況をAIによりリアルタイム解釈させる例

    AIの進化により、これまでは大量の学習データと正解ラベル付与が必要だった画像・動画認識の領域においても低いコストで高い精度を実現することができるようになってきました。画像や動画などのマルチモーダルデータをこれまでより簡単に扱うことができるのも生成AIの特徴です。


    また、人間が本来やりたかったことをAIで実現する例でいうと、弊社がリリースしている営業AIエージェントサービスの「アポドリ」があります。
    アポドリは、狙いたい企業リストを渡すだけで人間の代わりに営業の商談獲得をしてくれるAIエージェントサービスですが、ただ人間の知的作業を置き換えるだけでなく、人間がこれまでやりたかったけどできなかったことまでを代行してくれます。

    例えば、企業にアプローチするメッセージを作成する際に、対象企業に関連する公開情報をすみずみまで把握した上でアプローチしたいとします。しかし、企業が直近公開しているIRなどを読み込むことはできても、過去1年のプレスリリースを全て把握したり、キーマンが出ているインタビュー記事などを全て読み込んでメッセージを書ける営業パーソンはほとんどいないと思います。

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    1社に対してそれをできたとしても、これを数百〜数千社に対して大量データを一気に読み込んで、それを分析・解釈してアクションに落とすということは極めて難しいです。

    AIを活用すれば、「人間が本当はやりたかったけどできなかったこと」も含めて実現できます。大量のデータを取り込んで分析をし、そこから示唆を出してアクションにつなげるといったことはAIの得意領域であり、今後AI Transformation(AX)の中心になってくるでしょう。

    AI Transformation(AX)推進における落とし穴

    ここまで、AI Transformation(AX)がどのような業務に適用できるか、そして人間の知的単純労働だけでなく“できなかったこと”すら可能にする力を持っていることをご紹介してきました。しかし、AXは魔法ではありません。多くの企業を支援する中で、推進の現場では3つ“落とし穴”が存在していることに気づきました。

    「全て外注」の思考停止──AIは自社で扱える時代に

    DX時代までは、業務アプリケーションの開発やシステム導入はSIerやITベンダーに外注するのが一般的でした。しかし、AXでは生成AI基盤やローコードツール(例:Difyなど)を組み合わせることで、現場主導でのツール構築が十分可能になっています。

    にもかかわらず、「生成AI=難しいから外注」という発想のままプロジェクトを設計してしまうと、スピードも柔軟性も失われます。特に業務知識の深い現場メンバーを巻き込まず、AI導入がIT部門や外部委託先だけのプロジェクトになってしまうと、業務にフィットしない「使われないAI」が生まれてしまいがちです。

    直近AIエージェントを内製すべきかというテーマでウェビナーをしましたので、具体的なアプローチを知りたい方はそちらの資料もご覧ください。

    ✔ ポイント:まずは簡易な生成AI活用基盤を構築し、社内の現場メンバーとともに内製で回していくことがAX成功の第一歩です。


    「全社員プロンプト習得」の幻想──“AIと気づかせないUX"が鍵

    最近では「全社員に生成AIリテラシーを持たせる」「全員がプロンプトスキルを磨くべきだ」といった話がよく聞かれます。しかし、私たちの経験から言っても、これは現実的にうまくいきません。

    特に法人向けのチャットツール(社内GPT)を導入している企業にありがちなこととして、全社員のチャット利用率をKPIに置いているケースがありますが、社内のリテラシー研修を推進したところでKPIが向上しない場合がほとんどです。

    DX時代も同じでしたが、業務の第一線で働く現場作業員や事務職の方々が、日々の業務の合間にプロンプトの工夫をする余裕は基本的にありません。むしろ、AIを活用していることすら意識させずに、自然に生産性が上がっている状態を作ることが理想です。

    ✔ ポイント:「AIを使っている感覚がないUI/UX」「ファイル等をアップロードするだけで出力が出てくる仕組み」など、“非AI人材にも優しい体験設計”が重要です。


    「PoC止まり」では意味がない──“業務の再設計”がAXの本質

    AI Transformation(AX)をPoC(概念実証)で終わらせてしまう企業が多くあります。新しいツールを試すところまでは進むものの、現場で本格運用される前にプロジェクトがフェードアウトしてしまう──これはDX時代にも繰り返されてきた構図です。

    ただ、AXの本質は「生成AIツールを導入すること」ではなく、業務のあり方そのものをAI前提で再設計することにあります。
    どこをAIに任せ、どこを人が担うのか。現場のフローや役割分担はどう変わるべきか。こうした問いに向き合わないままでは、いくら高度なAIを導入しても業務は変わりません。

    特に生成AIは「完成形を作ってから使ってもらう」よりも、「まず使ってもらいながら現場で改善していく」ことに向いています。
    完璧なデータ整備や業務要件定義を待つのではなく、2週間で簡易なプロトタイプを作り、現場でのフィードバックをもとに改善していく。このようなアジャイルな進め方が、AX成功の鍵を握ります。

    ✔ ポイント:AXは“ITシステムの導入プロジェクト”ではなく、“業務設計そのもののアップデート”。PoCはゴールではなく、現場とともに改善を続けるスタート地点です。


    最後に──DXの次にくる企業変革、それがAX

    本記事では、DXの限界とその先にあるAI Transformation(AX)について、概念の違いから具体的な事例、推進の落とし穴まで幅広くご紹介してきました。

    これまでのDXは、定型業務の効率化や自動化を目的としてきましたが、生成AIの登場により、企業変革はまったく新しいフェーズへと突入しました。「人間の思考や判断を含む業務までも自動化・再構築できる」──このインパクトは、業務単位ではなく企業構造そのものに及びます。

    つまりAXは、ただのテクノロジー導入ではなく、企業の意思決定や組織のあり方を根本から変える“経営改革”そのものになりつつあります。

    私たちAlgomaticは、「AIによって企業はどう変わるべきか」「どのようにAIと人が共に働く組織を作るべきか」といった問いに真剣に向き合い、答えをつくり続けているチームです。

    そして今、この新しい企業変革の時代を共につくる仲間・共創パートナーを募集しています。少しでもご関心をお持ちいただけた方は、ぜひ以下をご覧ください。





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